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作文
「……ごちそうさまでした」
「はいはい」
何だか負けた気分。家事は私がやってるのに、不器用そうなソラの料理がこんなに美味しかったなんて。まあ、食べたのはただのお粥だけど。
「ところで」
私の言葉を「ところで」でさっさと放っちゃうのはどうかと思ったけれど、耳を傾ける。
「この散らばってる原稿用紙、どうするの?」
随分大衆的な文章を書くようだけど。そんな言葉が聞こえてきて、耳を疑ったよ。
回らない頭でしばらく考えてから、低めの声で尋ねる。
「読んだの?」
天然そうだけど、しっかり空気を読んでいそうな彼は、空気を読んでくれて。
うん、と頷いた。