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彼女は
「そんなことない」
最初は謙遜だと思った。だけど顔を上げてみるとそうじゃなくて、ソラは本気だってことが表情から分かった。
ソラの本質のような、少しだけ、自嘲を含んだような微笑み。
「僕より優れている人なんて星の数ほどいると思うよ。こんな小さなコミュニティで僕が誇れることなんてない」
はっとした。私が思ったこととそっくり、そのまま。
私――私達なんて、ただの小さな人間で、何の能もなくて、少しだけ浮いている。それだけだよね。
私は椅子に座って、溜息をつく。それを見てからソラは次の言葉を紡ぐ。優しげに、家族、妹とかに言い聞かせるように。
「だけど、それで良いと思うよ。ただ幸せでいられたら」