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彼女は
ほんの少し、嬉しいって感情が混じっているのを無視して、溜息をわざと大きくついてみる。まあ、溜息をつきたい気持ちは嘘ではないのだけれどね。
でも、ソラは私の感情全て理解しているようで、肩を竦める。その間、微笑みは絶やさずに。
「もういいや。……、ソラにお願いがあるんだけれど」
ソラのそんな反応に投げやりになって、それから思い出してソラの目を見て言う。頼みごとがある時はこうした方が良いって何かに書いてあった。
「何?」
いきなりそんなことを言われて戸惑うかと思ったら、すぐに言葉を返してくる。温厚なのか図太いのか、良く分からない人。あれ、いつの間にか他人から人に格上げになってる。
「時雨?」
時雨が私の呼び名だと気付いて顔を上げる。
「あ、ごめん。これこれ」
机のところまで戻って、試験管を一本持って来る。中身は勿論水。
「これで何かやって」