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彼女は
「……はあ……」
星のない真っ暗な夜、静か過ぎる家の中、自分の部屋で勉強。静か過ぎるとかえって集中出来ないんだっけ、そうかもしれない。何だか今日は変な感じがする。
その理由は昨日にあるってことは分かっているけれど。
「……わっ!」
頬に当てていた左手がずるっと滑り、顎はがくっと落ちる。
全く、何やっているんだろう。と肩を竦めると、気持ちを切り換えてノートと向き合う。
すると、ノックの音が聞こえた。
誰だろう、足音が聞こえなかったのだけれど。思わず身構える。
「大丈夫?」
……はあ。何で今日はノックをするのか。溜息をつきながら、ぎしりと椅子を鳴らして扉に近付く。警戒心はあるけれど、少し影を潜めている。何故だろう、安心?
「大丈夫じゃない。あんたのせいで」
「随分な物言いだね」
銀色の髪と瞳の少年――ソラが、微笑みをその顔に浮かべて、立っていた。