消えた姉、強敵出現(3)
みぃ姉がいなくなってからもう3日がたつ。そんなときでも父は私に稽古をつけてくれる。
「お父様、少しお伺いしたいことがるのですけれど、よろしいでしょうか?」
「稽古が終わったらな。」
と厳しい父の一言。私は「わかりました。」とそれだけ答えて、稽古を始めた。みぃ姉がいなくなってから、稽古はより一層厳しくなり、この3日間だけで、ヘトヘトだった。だが少しでも手を抜くことはできなかった。手を抜くと、この後の練習が今よりもっと厳しくなるからだ。だから、常に集中していた。稽古が終わり、ヘトヘトの状態で、父のもとへ行った。
「それで、なんだ。」
「はい。小耳に挟んだのですが、近頃、武家同士の戦争が起こる聞きました。これは本当に怒るのでしょうか?」
「対立関係にあるところはある。しかし、今は戦争などしても無益なことはわかっている。ただ、もしそれが起こるのであれば、私たちは臨機応変に動くとしようか。」
ということは、あくまでもウワサでおこったらおこったで決める。ということだった。父もそのような類のウワサを聞きつけていたと思われる反応だった。そのため最近の稽古が厳しかったのかもしれない。
「あと、もうひとついいですか?」
「いいぞ。言ってみろ。」
「美雨姉さんのことなのですが。」
「知らないな。私はそのことについては何も知らない。」
「そうですか・・・・。」
父も知らなかった。多分みぃ姉はこのウワサを聞いて、ほかの武家の家へ行って戦争を起こさないでください。そう頼んでいると私は勝手に思い込むことにした。
翌朝、学校へ行くと桶谷が私の席で待っていた。
「何で私の席に座っているのかしら。」
「え?あ、いやこれは、その・・・・。ただ・・・・。」
「ただ?」
「お前に知らせたいことがあって・・・・・。」
桶谷にしてはいつになく真剣な表情だった。
「何よ。」
「お前の姉の美雨さんを昨日みたんだよ。」
「どこで!」
私は無意識に、大声で言ってしまった。
「駅前の公園で近くのカフェへ入っていくのをみて、アイサツに行こうと思ったら、知らない奴がいて、そいつと話してた。美雨さんなんかいつもと違う表情だったから話かけるの避けておいたんだけど・・・。」
あの坂の時のみぃ姉の顔か・・・・。と私は思い出していた。
そういえば、なにかおかしい・・・・・・。
「ねぇ。今日って平日で学校のある日の午前よね?」
「ああ。そうだけど、そんなこと聞いてどうすんだ?」
「おかしいと思わない?どうして私たち二人だけなの・・・・・。」
「あ、確かに・・・・。」
シャキンとなったあとに、後ろの壁が崩れ落ちる。
「桶谷!逃げて!」
敵と見られる人の太刀が次は横に大きく振られ、黒板が真っ二つになった。
「どうなってんの!コレ!」
桶谷は戸惑っていた。私が桶谷を守らなくちゃ・・・・!
壁を壊したときにできた砂埃のなかから、人影が見えた。
「桶谷!立って走れる?」
私は桶谷が逃げれる状態か確認する。
「動けるし、走れるけど、なんでこんな目に!」
確かに、武家同士の戦争なら私はともかく桶谷も狙われる理由が・・・・・・。
「桶谷、あんたカフェでみぃ姉みたっていったわよね?」
「ああ。それがどうした!」
「きっとそれよ!あんたがみぃ姉と知らない奴の会話を聞いたと勘違いされてるのよ!それでみぃ姉がまずいと思って、多分手下の人に頼んだのよ!」
「何で実の妹がいるときに!」
「わかんないわよ!」
「しかも俺話なんて聞いてないぞ!」
「とりあえず、定規かなにかもってない?」
「あるけど、なにに使う気だよ!」
「戦うのよ!」
「そんな無茶な!」
無茶なことはわかっていた。でも、桶谷が逃げるくらいの時間なら定規でも十分稼げるからだ。
「いいから貸して!貸したらすぐにあんたは逃げてよ!」
「わかったよ!お前絶対死ぬなよ!」
「わかってる!」
こんにちわ、こんばんわ、おはようございます。picoです。今回で3回目の「雨晴道」。なんと、お友達が漫画を書いてくれることになりました!ちょっとワクワクしています。小説でも漫画でもこの「雨晴道」が多くの人に楽しんでもらえたら!と思っています^^次回も頑張るので楽しみにしていてください~。