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第1話 花の少年と海賊少女

「う~ん・・・・・・」


 ソウラは目を覚ました。


「ここは・・・・・・?」


 辺りを見回してここは何処(どこ)なのか、今自分に置かれている状況はどうなっているのかと把握しようと頭を右に向いてから左に向くと・・・・・・。


「おはよう」


 隣に一緒になって横になっている者がいた。短く切った金髪で宝石の(よう)に煌びやかな青色の眼に綺麗(きれい)な顔立ちでソウラと同じ背丈(せたけ)(ぐらい)の少女だ。それが一糸まとわない姿で。


「わ~~!?」


 裸の少女が真近くにいた(こと)に驚いて跳び上がった。


「って、わ~~僕も裸~~!?」


 自分も裸である(こと)を今気付いた。


 裸の少女は、海に放り込まれたソウラを助けたのだと話した。その後でずぶ濡れたソウラを風邪をひかせない(よう)に服を脱がして自分も裸となって抱いていたのだ。


「いや~危ないとこだったわね~。あんたがあの海に遭難していた所、ぼ・・・あたしが偶々(たまたま)通りかがらなければ(おぼ)れ死んでいた所よ~。それにしても一目見た時は女の子だと思ったんだけどカワイー男の子なのね~。・・・って、あー(なん)で暗くなるのー?」


 頭からシーツを(かぶ)って裸体を隠し、体育座りの態勢になって恥ずかしかっているソウラの姿に気付いく金髪の少女。


「あっ、大丈夫よ。あんたの貞操は()ってないから・・・あたしもまだ処女だから流石に心の準備がまだ出来ていなかったから・・・・・・」


 金髪の少女は頬を赤らめて少々恥ずかしそうにしながらも話した。


「いや・・・そこじゃなくて・・・見られたくなかった所を・・・見られて・・・すごく恥ずかしいんですよ・・・・・・」


 シーツを(かぶ)った頭を抱えて震え出した。


「それってちん〇んと、頭と右腕の花の(こと)?」


「うぅ・・・・・・」


 ソウラの股間に付いている男の証は未だに未経験で気にしていたが、その(こと)と同時、他人には見せたくなかった秘密、シーツの下に隠されたソウラの頭、(へき)色の髪の上には、花が咲いていた。

 全てが血の(よう)な赤色の花で、一見、頭には花の冠を(かぶ)っていて、右腕には花の蔓を螺旋(らせん)状に巻いただけに見えるがそうではなく、なんと本当に皮膚から茎が出て咲いているのだ。これは精霊教会入る前、ソウラの家族や医者、彼を入団する(よう)に勧誘した信徒以降は誰にも見せていなかったのだ。


「それ、恥ずかしいの?」


「当然だよ!? 頭と腕の花だって、普通に変ですよ! こんなの見られたら笑われるよ・・・・・・」


 (ただ)でさえ、ソウラは愛らしい顔立ちで体付きも華奢(きゃしゃ)なので女に見えてしまい、本人も気にしていた。それが体から花が咲いているという姿を見られたら益々(ますます)女々(めめ)しい姿だと悪立ちされそうでそれが嫌だからのだと今までフード付きの外套(コート)で頭と右腕の花を隠して来たのだ。


「あたしは面白くてカワイーから()いんだけど」


「君が()くても僕は気にしてるんだよ・・・てゅーか、君は恥ずかしくないの?」


「へ? 別に減るもんじゃないけど」


 (さら)された裸を隠そうとはせず堂々として自慢としている大きめの乳房を持ち上げて見せた。


「いいから前隠して!」


 こうしてジェニファと名乗った少女が焚火で乾かした服を着た二人(ふたり)


「それで、あんたの名前は?」


「ソウラ・・・ソウラ・スカイハイ・・・」


「ソウラね。随分(ずいぶん)変わった名前だね」


「よく言われています・・・・・・」


 ソウラの名付け親である母の方の祖父は"三國界(さんこくかい)"の和の国出身で"空"から(もじ)って名付けたと聞いた(こと)があった。


「あたしはジェニファ。歳は十七」


(あ・・・僕と同い歳だ)


「海賊"太陽の真珠(サニー・パール)団"の船長しているの♪」


「ああ、ジェニファさんですね? さっきは混乱してて言い忘れていたけど助けてくれでありが・・・・・・え、海賊!?」


「そう、海賊よ♪」


 ジェニファと名乗った少女はにっこりと微笑みながら答えた。

 見れば彼女の服装は、黒色のビキニ、短パン、本人の身長よりも明らかに大きいジャケットを着ていて頭に(かぶ)っている三角帽子にはニカっと笑っている目と口が付いた丸い太陽とその下にバツの字に交差させた()本の刀剣(カットラス)意匠(デザイン)された絵が刺繍されていた。

 この三角帽子に描かれた太陽の絵は海賊(たち)が揚げ示す髑髏(ドクロ)の代わり描かれたジェニファの"太陽の真珠(サニー・パール)団"とかと言う海賊旗の合印であろう。

 ソウラが知る限り、海賊と名乗るギルドが現代でも各海で活動していると記憶にあった。


(だけどこんな子が海賊だなんで・・・・・・)


「ねぇ、ソウラ」


 ジェニファはソウラの顔を近づけた。澄んだ青い瞳の美少女に見つめられソウラは思わず心臓をドキっと動悸(どうき)し、頬を赤らめた。


(や・・・やっぱり可愛(かわい)いなこの子・・・・・・)


 ジェニファの方も頬を赤みが薄っすらと帯びていた。

 初対面の(はず)なのだが、その昔に会った(こと)がある気がした。


「あたしはね、あんたを助ける時・・・キスしちゃったのよ」


「あ・・・・・・」


 ソウラは自分が海で溺れていた時、ジェニファに接吻(キス)された(こと)を思い出して更に赤くなった。


「それであたし・・・あんたの(こと)が、その・・・一目惚(ひとめぼ)れしちゃったみたいなのよ・・・。だから・・・あたしの仲間になってよ!」


 ソウラの人生で二度目の、それも海賊の勧誘が来た。

主人公ソウラと海賊にしてヒロインのジェニファとの自己紹介から始まり、ふたりの冒険は次回から始まる。

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