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プロローグ

聖天魔物語、青の外伝の始まり。

 大きく白い雲が浮かぶ青空。その下に広がる紺碧の海。そこに一人(ひとり)の少年が浮木に(つか)んで漂っていた。


「・・・・・・どうしてこうなったんだ・・・・・・」


 フードを被った少年の目から涙を(にじ)み出て悲しげに(つぶや)いた。

 彼の名はソウラ・スカイハイ。理術(りじゅつ)と呼ばれる精霊に通じて自然現象を引き起こす術の若き使い手で精霊を信仰する精霊教会の理術(りじゅつ)使いとして弱気人々の為に役立つ気でいた(はず)の彼が何故(なぜ)、この海にただ一人(ひとり)漂っているのか、自身の生い立ちから思い返した。

 ガリア大陸の帝国領、蒸気の国"ダンテリオン"内にあるとある辺境の町で生まれたソウラは両親と姉に愛されて不自由無く育ってきたが、七年前、十歳の時、運命の転換が訪れた。

 学校の遠足の時、バスの転倒事故が起き、重症の怪我(けが)を負った。だが、なんとその重症の怪我(けが)から奇跡的に回復したのだ。その理由は絶対危機的に目覚めた固有理術(こゆうりじゅつ)の能力によるものだ。

 理術(りじゅつ)の目覚めに目を付けた精霊教会の者に勧誘され、理術(りじゅつ)使いとして人々の(ため)に役立とうと入信に決心した。

 母と姉は可愛がっていた子がいなくなると寂しいと泣かれて止められたが、父は止め(よう)とはしなかった。理術(りじゅつ)使いになったあの後、父の目が化け物を見る目でソウラは思い出すだけでも悲しい気持ちになった。

 それから一年前、理術(りじゅつ)使いの養成施設都市"聖学園島(せいがくえんじま)"を卒業した後、生まれ故郷が近い理由から花畑の国プランタンの大聖堂に配属された。治癒系理術(りじゅつ)が使える医療騎士の役職を与えられたソウラは、精霊教会の要の(ひと)つにして平和と癒しの象徴とも言える聖女と共に、世の人々に災いをもたらす悪霊、ディアボロスを討伐する守護騎士団の入団へ目指していたのだが、理術(りじゅつ)使いの武器である霊装(れいそう)の顕現が(いま)だに出来てなかった。

 霊装(れいそう)を持たないソウラは守護騎士団へ入団する(こと)が出来ず、聖堂で怪我(けが)人や病人(たち)に治癒系理術(りじゅつ)と学園で学んだ医術で毎日治療を(おこな)う日々を送ってきた。

 それでもプランタン(ここ)の聖女であるラティナも戦闘が苦手らしいのて守護騎士団と一緒に行く(こと)が出来ないので憧れの人と一緒に働く(こと)(さいわ)いだと考えていた。

 ところがある日、新人の監督役であるシルーズ・ルブルーショ教官から転属命令を言い渡された。

 突然の転属に戸惑ったソウラは一旦落ち込んだ後、理由だけでも聞こうとルブルーショの(もと)へ出向いた。そこでルブルーショがプランタンには無い(はず)の通信機で何者かと自分や同じ(よう)に移転を言い渡された他の修道士(たち)を実験台として送るという話を聞いてしまった。そこでルブルーショに気付かれてしまい、捕まって(ただ)ちに、人や物を別の場所へ空間超えて移す(こと)が出来る古代文明の遺産、転移門(ゲート)で送り飛ばれて—―何故(なぜ)かこの海に移されるという現在に至る。


「・・・僕はこのまま死ぬのかな・・・・・・?」


 そう絶望的な未来を考えているとゆらゆらで穏やかだった波が突然大きく高い波となってソウラを飲み込んで海の下へと沈んだ。


(あぁっ・・・やっぱり死ぬんだな、僕は・・・・・・)


 (すで)に長時間も海の上に漂っていたので最早泳ぐ体力も失われて海の底へ沈んて行くソウラ。意識も闇へ沈みそうになったその時、上から誰かの手が差し伸べてきた。

 海上から陽光で影しか見えないのだが、その姿は—―人魚だ。そしてソウラの顔に近づき・・・・・・。


(!?)


 キスされた。

いきなりの聖天魔物語の外伝スタートです。

これまで「聖天魔物語」本編を書いてきたのですが、この四ヶ月本業の仕事の忙しさに加え、スランプになったので気分転換に別の話を書くことにしました。

今後の調子とアイデア次第で「聖天魔物語」本編の続きを書くことを約束します。本当に申し訳ありませんでした。

同じ世界だけど舞台が海で主人公も違う「聖天魔物語」、今後もお楽しみにしてください。

続きが気になる人は応援をお願いします。質問も受けつけます。

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