把握
「アイラ、猫の様子は…」
ガチャ、と入ってきた者はレオだった
メイドの名前はアイラというらしい
レオはほとんど残っている魚を見たあと
ミアを見つめる
ぐっすり寝れたのか昨日のような怖い顔ではないものの
無表情なので何を考えているかわからない
(残していたから怒ってるのかな…?)
「お気に召さないのか一口食べたのみであとは残されています」
「にゃ…(ごめん)」
申し訳なさそうにレオに報告するアイラをみて
ミオはさらにしょんぼりする
(アイラは悪くない)
自分のせいでアイラが怒られるのは嫌なので
魚にかじりつこうとした
「待て」
急に止められ顔を上げると
レオはミオに近づいて片膝をつく
表情ばかり見ていたがレオのグリーンの瞳がとても綺麗で
吸い込まれそうだ
なんだかぼーっとする
「魚は嫌いか?」
ふるふる
人間のように首を振る仕草にアイラが声を上げそうになる
レオは横目でそれを制止した
「お腹が空いてるか?」
こく
「魚が美味しくないのか?」
………ふるふる
「……味付きが良いのか?」
「にゃっ?(えっ?)」
なぜわかったのか、というように目を見開く
猫がご飯を食べない理由に味付きが原因など
考えるものなどいない
「アイラ、料理長にこれを人間と同じような味付けにしろと伝えろ。やや薄めでだ」
「は、はい!かしこまりました!」
食べかけの魚をアイラが受け取るとパタパタと去っていった
部屋に一人と1匹残されやや気まずい
「にゃにゃ(ありがとうございます)」
「お前もしかして人か?」
(ファッ!!?)
いきなり確信を突いた質問に冷や汗がとまらない
だが自分の意思とは関係なく首が縦に振られる
(ラッセル様、自白の魔法かけやがったな!)
「おかしいと思ったんだ。猫の姿であるが人間のようにタイミング良く鳴く。そして昨日の夜にミルクをたくさん飲んでいたそうだがお腹を壊す様子もない」
(そうなの!?お腹壊すものなの!?)
※猫に牛乳はあまりよくありません
「アイラがそのような知識がなくてミルクを飲ませてしまったが疑問のきっかけになったな。あとは自白の魔法だが…これは動物にかけたところで鳴くだけだから頷く、などの動きはしない」
(コイツ天才かよ!!)
あっさりと見破られて驚きとともに頭の回転の速さに引く
ミアの頭に手をかざし少し黙るレオ
ミアにかけられた魔法を読み取っているようだ
「初見ではわからなかったが…動物に変える魔法陣は…これは古代のものだな、かなり古い。もう1つかけられている…?これは魔力の流れを遮断しているから魔力封じか?」
「にゃあにゃにゃー…(そうです、ほんと貴方怖いです)」
説明いらずでどんどん状況を理解していくレオに
ミアは置いてけぼりだ
(獣人だということはバレてなさそう…)
そこまで知ってしまったらレオはどんな顔をするだろう?自分で想像して恐怖を感じ絶対言わないと決意した
魔力も頭のキレもバケモンレベルのレオ