王都へ
結界の間
その空間の真ん中、台座の上に置かれている鱗はいつもと変わらずそこにある
(これのせいで争いは終わらない。だがこれのおかげで国は守られてきた。皮肉なものよな…)
なんとも言い難い気持ちになる
だが今日ですべてを終わらせる
鱗に手を翳し魔力を込めた
しばらく込めていると鱗の周りが発光し正常な結界が維持されたことを示す
すぐさま上級ポーションを飲み鱗に背を向けた
奴の狙いは鱗
このままここにいれば現れるだろう
*
【時は来た!!!】
咆哮と共に喜びの声を上げるレッドドラゴン
その声が合図となり魔法陣を展開した順番で光が走る
ペンデュラムが出来上がり辺り一帯の地面が光る
セオドアはポケットに忍ばせていた小型の水晶を手に取り王都を映らせた
「これは…!」
王都よりも大きい魔法陣が地面と空に浮かび上がる
そしてなにか割れるような大きな音がした
結界が破壊されたのである
そして地面が割れ、建物が崩れる
「くそっ!!アーロおよび全隊!王都へ転…!」
「邪魔しないでくれよ」
セオドアが指示を出そうとした時、アーサーの目の前に瞬時に現れ切り伏せる
「がぁぁぁ!!」
「兄さん!!」
「私はこれから王都に行くんだよ。微妙な戦力を王都に持ってかれても意味ないしちょろちょろされると不愉快だ」
アーロがセオドアに駆け寄り抱き起こして止血魔法を施す
その間アーサーがその場の全隊すべてを昏睡させた
圧倒的な力の差である
「全滅…」
アーロが怯えたような目でアーサーを見つめる
セオドアとの話を聞いた限り先代国王陛下だとは理解したがなぜこのような事になっているかまで理解できずにいた
彼はまだ幼く詳細は聞かされていなかった
ただ分かるのは国を脅かす存在だということ
【我は行くぞ】
翼を広げレッドドラゴンは王都へ向かう
誰も止めることはできない
いってらっしゃーい、とアーサーは間の抜けた声で見送る
くるりとセオドア達に向き直ると顎に手を当て考えるような仕草をする
「王族である君達を殺してもいいけど無駄に魔力があると厄介なんだよね。なかなか死なないし。…ああそうだ!」
思いついたように手をパンッと叩くと楽しげに笑い出す
「はははっ、私の目的を果たすところを見るかい?」
「目的…?」
怪訝そうに聞き返すセオドアに
アーサーは口元をさらに歪める
「小娘を殺す。それしかないだろう?」
目が笑っておらずゾクリとする
アーロは実践経験が少ない
ガタガタを震え言葉が出ないようだ
「なぜそこまで…固執する…」
瞬間弾かれたように笑い出した
「あはははははははは!!なぜって!?わからないかい!?アレックスは私の全てだった!!エドワードはだめだ!!反抗的で思い通りにならない、使えないやつだ!!アイツとバカ女がいなければアレックスは王になっていたんだ!!アイツらがいなければアレックスは、アレックスは………死ななかったのに…」
歪んだ愛
支配欲
実の父親が嫌になり愛する人と逃げ
実の父親に幽閉され逃れることがないと悟り亡くなったアレックス
捻じ曲げた真実
自身のせいではなく母娘のせいにする
ただの逆恨みだ
「もう良い」
スッと笑顔が消え冷えた真顔になる
「私も行く。見たければ王都へ来ればよい。」
転移を使い素早く消えたアーサー
取り残された2人は張り詰めた緊張感から開放され荒い息遣いになる
「アーロ…俺達も向かうぞ…」
「兄さん!止血したけど傷が深いよ!治してから…」
傷は治癒魔法で治せるものの深ければ深いほど時間がかかる
「それじゃ間に合わない!!大丈夫だ、向こうについてからも自身で回復しつつ動く。それに…俺達は王族だ…国を守らんでどうする!!」
アーロは息を呑んだ
自分は先程まで何を考えていた?
レオがいるとはいえ相手はレッドドラゴン、そしてアーサーだ
怪我を治したいがそれを待っていたら王都は完全に陥落するだろう
(自分には覚悟が足りなかった。それがとても恥ずかしい…。自分は王族。守るべきは国、そして民だ。最後まで戦わないでどうする!!)
深呼吸をし、強い目でセオドアを見た
「ごめん。行きましょう兄さん!」
今度こそちゃんと覚悟を決めた弟をみたセオドアは大きく頷く
アーサーに昏睡させられた者の中で何人か目を覚ました為、他の者達を託す
「行こう。王都へ」
アーロは実践経験がかなり少ないです
他の人にはなかなか扱えない魔法も使えます
だけどそれを臨機応変に使いこなすことができません
またどこか客観的に見てしまうところがあり今後の課題です(´ ・ω・`)




