回想〜セオドア視点〜
物心ついた頃に違和感を感じていた
なぜ王城の廊下に並べられている歴代の王族達の肖像画に祖父と伯父が無いのか
なぜ伯父の肖像画が父の隠れた私室に飾られているのか
その答えを知ったのは15歳のときだった
剣術の師と稽古をしていたとき母が倒れたと聞いた
慌てて駆けつけると母はベッドで寝ており
やつれたような顔をして覇気がない
意識は戻ったようで話せるものの起き上がることができないという
私は父に詰め寄った
なぜこんなことになったのかを強く言うと
父は母をちらりとみる
頷く母を見て私を私室に連れて行った
アーロは心配してただただ母のベッドにしがみつき泣いているので私一人で向かった
私室に通されると奥にある簡素な机
その左側の壁に父に良く似た肖像画が飾られていた
『…お前も15歳だ。今回のこともある。全てを教える』
覚悟を決めたその顔に少したじろいだが
何も知らないよりはいい
そう決めた心を見透かしたように静かに話し出す
私が産まれる2年前に伯父が駆け落ちした
祖父が血眼になって探しているが跡継ぎを考え父が王太子になった
駆け落ちして4年、私が2歳の時に伯父が見つかり祖父が幽閉した
すでに父が王太子になっているのに伯父をその座に戻そうと躍起になったそうだ
周りから止められても暴れて手がつけられなかったという
両親は駆け落ち相手を保護したかったそうだが見つけることができない
祖父に狙われる可能性があったので心残りだったがそのまま逃げきってほしいと願っていたそうだ
両親は駆け落ち相手を恨んでいない
むしろ人を愛することが分からず淡々と生きていた伯父を愛してくれ、変えてくれた人に感謝していたという
伯父が協力者である元側近と一緒に毒をあおって亡くなった
もう逃げられないと思ったのだろう
祖父は発狂したのち大人しくなった
祖母はなんとか立て直そうと思ったが狂った祖父を見続け諦めたのだろう
王都から離れた街に隠居した
祖母は止められなかった責任を感じ祖父を監視するとのことだった
そして少し前に見つかった伯父の娘…ミアが王城にいる
そのミアの母…駆け落ち相手は最近になって亡くなったという
子どもがいた事に驚いたが母を亡くしていたことにも驚いた
どこから知ったのか祖父が転移で現れミアを殺そうとした
母はそれを庇い倒れた
父から聞かされなんとも言えない気持ちになった
祖父が狂った、という話は聞いたことがある
あまりにも凄まじい話だった為、皆口をつぐみ詳しい話は私の耳に入らなかった
私が子どもだったからだろう
伯父の話こそタブーとなり知ることができなかったのだ
『…シャーロットだが他者の魔力を注げば中和できるそうだ。呪いなので解呪しない限り続くらしい』
『そうなんですね…』
対応策があることに安堵する
これから解呪していけばいい
それからミアのことは伏せられた
母が倒れたのは自分のせいだと部屋に篭っている
いきなり王族の一員だと知らされて自身の母のことなど重なりすぎた
祖父が母を攻撃したことは公表されていない
国民に改めて公表した事実は
『元王太子が亡くなったこと』
『元国王陛下の体調が優れず隠居した』
『王妃殿下が倒れた』
この3点のみだった
ただ噂話は止められない
伯父の失踪、伯父を幽閉、祖父の狂い様は王城にいる者であれば見聞きしてしまう
ミアのことだけは信頼ある少数のもののみしか知らされていなかったので噂になることは避けられた
王家の失態が続いてしまった為
信頼が地に落ちたという
だが元々父は国民より支持されており
国の為に常に動き信頼が回復していった
ミアが落ち着いた頃に対面することができた
猫族だったらしく猫耳と尻尾が生えてた
正直…テンションが上がってしまった
いまだ塞ぎ込んでいるらしく笑顔はないため邪心を払う
アーロも同じ場におりまだ8歳の為、祖父のことなどは言わずミアのことと母のことのみしか知らせていない
会って早々頭を下げられ私達は困惑した
つらいのは自分だろうに…
むしろ祖父が元凶なのでこちらから謝罪した
それからしばらくしてミアは魔術師になると言い出した
何か決意したような顔をしていた
前向きに生きてくれるならと両親は喜んでいた
もちろん私もアーロもだ
ミアは王族らしく魔力が多い
真面目で国の為に貢献してくれているのもあり爵位と性を与えられた
ミアは私達とどの距離で接したら良いかわからなかったのだろう
一定の距離を保たれており可愛がることもままならない
それが彼女の望みであるのならとノースと呼ぶようにした
ミアは強い
だが強がっている部分もある
昔より笑うことが増えた
だけどたまに母の元で泣いていることを知っている
つらいならつらいと言ってほしい
だって私達はいとこ同士
そして私達は家族なのだから
真面目な場面でミアたんの猫耳と尻尾に萌える男。
ほんとは全力で『守ってやる!』と宣言したいけど自制心が働き最低限のやり取りしかできないポンコツセオドアでした




