回想②
それから数日、王城で過ごした
王城は貴族がたくさんいる、と母から言われていたので好奇の目が怖くて常に耳と尻尾を魔法で隠していた
昔、街に行ったとき通りかかった貴族から嫌な目を向けられた
母が生きていたときはそんなことを気にしてなかったけど
1人になったらそのことがとても怖くなった
常連さんである魔法雑貨屋のおばあちゃんに話したら隠し方を教えてくれた
その後も色んな魔法を教えてくれてとても感謝している
母と暮らしていたときよりも贅沢でいまだ慣れない
たくさんのドレスを用意してくれたが似合わないし
なんだか窮屈なのでワンピースを着ていた
それを怒ることはなく国王陛下はニコニコと微笑んでいた
その笑顔は純粋な優しさだとこの数日で良くわかったが今まで家族は母しかいなかったのでどのような接し方が良いか分からない
国王陛下の前でも耳と尻尾を隠していたら
隠さなくていいんだよと言われたけど曖昧な返事をするだけだった
薬売りも畑の手入れもしなくてよくなり暇を持て余していた
外の天気が良いので庭園でお散歩をするも護衛の方が常についているのでなんとも居心地が良くない
だけど王妃殿下が管理している庭園はとても綺麗で心が安らぐ
王妃殿下も散歩をしていたようでガゼボでお茶をすることになった
小さくカットされたアップルパイを食べてみると美味しくてガツガツ食べてしまった
はしたないことに気づいてちらりと王妃殿下を見れば優しく微笑んでいた
母に似ていて、少しだけ泣きそうになった
その時大きな魔力が近づいてくるのを感じた
王妃殿下も同じだったようで立ち上がり私を後ろに隠した
目の前に魔法陣が浮かび上がり人が現れた
60代くらいの男性で金髪蒼目だった
国王陛下と、肖像画に描かれた父に良く似た人だった
『…先代…!』
王妃殿下の言葉で確信した
この人は先代の国王陛下、私の祖父であると
その人はひどく疲れたような顔をしていて目が血走っていた
あとから知ったが本当の年齢は50代で年齢より老け込んでいたようだ
『…お前のせいだ…』
『え…?』
ボソリと呟いた声が聞こえなかった
血走っていた目は私に向けられ身体が硬直する
『お前が…!お前と母親がアレックスを奪ったんだ!お前らさえいなければ…!アレックスは…!』
指を指しながらジリジリと近づいてくる
何故こんなことを言われなければいけないのだろう
私と母はただ幸せに生きたかっただけなのに
王妃殿下が私を庇うように更に前へ出る
『ご隠居されていたのにどうされたのでしょう?今は女性のみでお茶会をしてましてよ?来て頂いて早々申し訳ないのですがお帰り頂けます?』
そう告げると王妃殿下は護衛の人達を呼ぶ
しかし祖父はもう狂っているのだろう
王妃殿下の言葉が届かず罵倒するだけ
『お前の母親をやっと見つけて呪い殺したのに何故お前は生きているのだ』
頭が真っ白になった
次に覚えている記憶は
目の前で倒れている王妃殿下と
血だらけで息絶えた祖父の姿だった
回想続きます…




