ついに
28日目
アーロから定期報告がきた
研究室にてレオは水晶に目を向ける
ぬぬぬ…
【ラッセル殿。まだレッドドラゴンは現れておりません。待機して1日半経ちますのでそろそろかもしれませんね。範囲を拡げて待機してますのですぐ対応できるようにします。】
うぅぅぅん
「分かりました。殿下達がいると分かったらレッドドラゴンは何か仕掛けてくるかもしれません。警戒と共に現れたらすぐに連絡をください。どうかお気をつけて」
おおおおお
【ありがとうございます…なんかさっきから聞こえませんか?】
「そうですか?気のせいかと思います」
にっこりと否定する姿にこれ以上言うことは出来ず
そうですか、と通信を終わらせた
ブツリと映像が消える
まだレッドドラゴンは現れていない
だがスタビリティの日を考慮するとそろそろだろう
レオは魔鉱石を前に必死に魔力を込める男を見た
「ふぬぅぅぅぅぅ、まだここは調整が足りないか……おらぁぁぁぁぁぁ」
謎に声を出すハリーに溜息が出る
声を出したところで意味はないだろう
むしろ変に力んで良くなさそうだ
後ろから頭をスパンッ!と叩く
「あいたっ!!!」
「さっきからうるさい!殿下にも聞かれただろうが!」
「ええっ!俺声出てましたか?」
無自覚ほど腹立たしいものはない
いてて、と頭を抑えるハリーに再度溜息が出た
「声を出しても何も変わらん。時間が無くて焦っているんだろうがまずは落ち着け。だいぶ完成に近づいたんだ。すごいことだぞ」
レオから作戦を聞かされ
より責任重大な事を任されたと思ったハリーは空回っていた
ただ着実に進んでおりあと4分の1くらいで完成と言えるところまで来ている
「ラッセル様に褒められた!!頑張ります!」
頭を叩かれしょんぼりしたがすごい、と言われたことで目をキラキラさせすぐにニコニコと魔力を込め始めた
単純すぎてやや不安になる
そう考えながらレオはこの場にいないミアを思い出した
ミアは自分の研究室で解析を進めていた
一緒にいたほうがとレオが提案したが1人で歩いていてもレオの猫だと認知されたので危険性が無くなった
その為1人で行動している
時々何か思い詰めているようにぼーっとしていることが増えた気がする
猫の表情はよく分からないがレオはそのように感じた
(うまくいかない…ってだけじゃなさそうだ)
1度聞いてみたが少し困った顔をしただけで
大丈夫、とはぐらかされた
意外に頑固のようでこれ以上聞いても無駄だと思い
話してくれるまで待つ事にした
【…ラッセル殿!!!レッドドラゴンが来ました!】
突然の報告に空気が緊迫する
レオはすぐに水晶の前に行き映像を見た
遠目にレッドドラゴンが映っておりこちらに向かっている
「奴の両サイドに3分の1ずつ人員配置!騎士は死角に入るよう後ろ!残り3分の1はドラゴンの前方にバラけて広がってください。両サイドの部隊からは地面に降りる前に翼を攻撃してください!氷魔法です!!初級は効かない!中級以上できれば上級です!」
【了解!共鳴】
アーロは魔法陣を展開、レオからの指示を全員に共有した
本来魔法陣は詠唱などを必要としないが
使うことによって精度が上がる
また、大掛かりな魔法陣であればあるほど魔法の名と詠唱を使い展開が必要となるのだ
共鳴は術者が対象者全員に一方的ではあるが声を脳内に届ける魔法である
指示を受けた者は素早く動き一切の無駄なく各配置についた
【氷弾!】
【氷刃!】
それぞれ猛攻撃を仕掛ける
冷気がもくもくと霧のようになり視界が悪くなる
向こうの攻撃も見えなくなるためすぐさまアーロは風魔法で霧をはらす
【風刃!】
視界がクリアになったと思ったら翼の前に防御の魔法陣が浮かび上がっておりすべての氷魔法が防がれていた
反撃といわんばかりにレッドドラゴンが口を開く
【灼熱地獄】
レッドドラゴンの右手が真上に上げられる
その頭上から広範囲でいくつかの魔法陣が展開された
レッドドラゴンの手が振り下ろされ
隕石のような炎の塊が無数に降り注ぐ
アーロ達はすでに構えており防御魔法を展開、
しかし向こうは上級魔法の為防ぎきれずあちこちから悲鳴があがる
「動けるものは上空に退避!!今度は目を狙え!上級魔法を使えるものはいるか!?ありったけの氷魔法で仕掛けたあと騎士たちは剣に強化を使い後ろを狙え!尻尾には気をつけろ!動けない者はすぐさまポーションを飲んで逃げろ!転移を使って良い!」
【槍の吹雪!】
【強化!】
騎士たちが切りつけるも刃が通らずはじかれる
だが目を狙ったのは功を奏し無数の槍が目に突き刺さった
やった!と口々に聞こえたがすぐにレッドドラゴンの咆哮に掻き消えた
【おのれ…!雑魚の分際で…!!!】
レッドドラゴンの口がわずかに光ったのをレオは見逃さなかった
「まずい!ブレスが来るぞ!!防御魔法展開!奴との距離を開けろ!」
轟音と共に水晶に映るすべてが赤に染まる
火炎息吹が放たれたのだ
レオは1人でレッドドラゴンの翼を打ち抜きましたが
その技術は他の人にはできませぬ
タイミング、精度、威力が桁違いだからこそできることなのです( 'ω')




