作戦③ すべては国の為に
「やってもらいたい…こと?」
セオドアが首を傾げる
レッドドラゴンと戦う以外に重要なことでもあるのだろうか?
「はい。彼にはノースと私の研究を完成させてもらいます」
そう話しながら右の手のひらを上に向け
魔法陣を発動した
そこには作成途中の魔鉱石の映像が写った
等身大で写しており子どもくらいの大きさだ
そんな魔鉱石を見たことがない為
この場にいるミア以外が驚く
エドワードとサイラスだけには研究内容を報告していたが実物の映像を見せるのは初めてだった
「なんと…ここまで大きくできるとは…」
エドワードが感嘆の声をあげる
レッドドラゴンとの戦いの終止符を打てる希望が
目の前にあるのだから
「この魔鉱石はいったい…?」
「ラッセル、どういうことだ?こんな貴重なもの…」
アーロ、セオドアがレオに説明を促す
まだ2人には研究内容を説明していないので
いきなり見せられても困惑するだけだろう
レオは魔鉱石を大きくする技術をミアが開発したこと、鱗の代わりとして結界に使うこと、鱗をレッドドラゴンに返せばこの戦いを終えることができる可能性があることを話した
国の今後を変える大きな話にしばし2人は驚き
そして興奮したのかレオとミアを見ながら各々喋りだす
「すごいぞ!素晴らしい研究だ!これが完成すればこの国は安泰だ!騎士たち…いや国中の者たちが喜ぶだろう!」
「こんな事ができるのですね…!魔鉱石の加工は認知されてますが大きくすることは不可能かと思っていました…!この発見は素晴らしい…!勲章モノですよ!」
セオドアは騎士団長としてレッドドラゴンと対峙したことがある
ブレスがやっかいで魔術師と共に戦うもいつも苦戦を強いられていた
また、レッドドラゴンが近隣の街周辺に現れ暴れることもあるので国民たちはいつも恐れている
だがこれからはレッドドラゴンとお互い不可侵の契約など結ぶことができれば安全な暮らしを実現できるのだ
興奮するのも無理はない
アーロは両腕をぶんぶん上下に動かしており忙しない
剣は扱えるものの兄と違い魔術師として修行している身だ
いろんな魔法を覚えている最中だが今回の件は世紀の大発見レベルであることを理解した
それを知ることができて嬉しさも爆発したのだろう
ずっとサカサカ動いている
素晴らしい快挙を成し遂げてたミア本人はいまいちピンときていない
この国の安全が確保されるなら、と思ってのこと
あくまでもそれだけだった
(第二王子殿下…ハリー君みたいだな…)
などと、この場にいない大型犬のような彼を思い出し
のほほんとしていた
するとレオは少し誇らしげに胸を張りながら咳払いをした
ミアが開発したとはいえ未完成、レオが導いてくれて完成したものであるので共同開発だと思っている
なのでレオの様子を見て見当違いのことを考えてた
(ラッセル様褒められて嬉しそう!たまに怒るけどいつも冷静なラッセルがこんな顔をするなんて〜)
(ノースの功績は素晴らしいものだと伝わってよかった!)
レオが報われない状態である
場がある程度おさまったのでレオは話を続けた
「ハリーにはスタビリティの日まで研究を続けてもらいます。私も前日まで全力で参加します。
できれば奴が行動を起こす前に交渉し、対応。もし間に合わずに魔法陣を発動されたら結界は破壊されますがこの魔鉱石で代用します。大きさが足りず小さい結界になりますが無いよりはマシです。
私がスタビリティの為魔力を使ったとしても上級ポーションを飲んである程度回復しレッドドラゴンと対峙しましょう」
ポーションには種類があり一般的に出回る初級ポーション、騎士団でよく使われる中級ポーション、数が少なく希少な上級ポーションがある
上級ポーションでも良くて7割しか回復しない
魔力を全回復するエクスポーションという存在があるが古書にその名前があるだけで確認されていないものだ
またポーションは立て続けに飲むことはできない
上級ポーションならなおさらだ
ポーションとはあくまでも身体の回復機能を向上させ回復する薬なので
下手をすれば異常をきたし死に至る
スタビリティではほとんどの魔力が使われる
つまりはレッドドラゴンと戦うには7割の力のみとなる
「正直、結界を壊したあとレッドドラゴンがどのように仕掛けてくるかわかりません。今まで戦っていたのが奴の全力かもわからないのです。ただ…やるならこの作戦しかない。」
王都に全兵力を集めるのも考えた
だがそれだと結界が壊れる前提である
できればスタビリティの日までに魔鉱石を完成、鱗をレッドドラゴンに返し穏便に済ませられたら1番良いのである
もしかしたら怒りがおさまらず戦うことになったとしても可能性があるのなら縋りたい
これもすべて国民の為
この作戦は了承され
すぐさま行動に移された




