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新たな敵



レッドドラゴンの鱗を使った結界は

月の決まった日に魔力を込めなければならない

それはきっちりひと月後であり

そのことを知るのはごく一部の者のみである



【それは本当なのだろうな?】



腹に響くような重みのある低い声

質問された全身黒いフードに身を包む者は答える



「はい。あの日、鱗を保管している門番が話しているのを聞きました。」



ミアが消えた日、本来なら来るはずのミアが来ず

担当する門番が不審に思ったのだ

2人いる門番が周りに人がいないのを確認し話し合う



『いつもこの時間にミア様がくるよな?』


『ああ、どうしたんだろう?トラブルかな』


『今日の正午にやらなければいけないのに…このままじゃ結界が弱まるのでは?忘れているわけじゃないだろうし…』


『そうだよな…きっちりひと月後と決まってるから間違えようがないんだが…ちょっとラッセル様に報告してくる』


『ああ。頼む』


『……』



気配を消した者が聞いていた

その者は心なしかカタカタ震えているようにも見える

気配を消したまま、踵を返す



【なるほど…ではあの猫族の娘が魔力を使えぬままであるから、あの男が結界に魔力を込めて弱くなったところで叩けば潰しやすいな】



「ミア・ノース……!猫族の娘…」



フードの者は歯ぎしりをして怒りをあらわにする

よほどの怨みがあるのだろう



「あの女が魔力を使えぬままというのがなぜわかるのですか?」



【ああ…ヤツに魔法をかけた際、目印をつけたのだ。そして完全に解読される前に新たな術式をつけることができる。あれだとなかなか元に戻れないはずだ…ククク…】



レオがいくら解読しようが遠隔でまた増やされる

違和感の正体はこれであった

レオは甘く見ていた

レッドドラゴンはどちらかというと攻撃魔法、物理攻撃が基本であるからここまでの知識はないと思ったのだろう



【目的の日まで準備をすすめる。その日にはお前に動いてもらう。あの獲物ミアはお前にくれてやる】



「ありがとうございます」



フードの中、かろうじて見える口元

それはとても歪に笑っていた






「まさかレッドドラゴンは王都を中心にして巨大な魔法陣を発動させるつもりか!?」



ミアは頷く

残りは2ヶ所

王都のやや南東、そして最初に痕跡を残した場所だ


ミアは確証がないが予想したことを伝える



「(あと4日後、結界に魔力を込める日です。私が動けない今、王都で気をつけるべきはラッセル様おひとり。魔力を多く消費し弱っているところを叩けば王都は陥落するでしょう)」



「レッドドラゴンにそんな情報があるとは思えん!たが……可能性としては高い…。しかし王太子殿下と第二王子殿下もいるのだ。すぐに陥落することはないのでは?」



王家に王太子殿下と第二王子殿下の2人がいる

金髪蒼目が特徴で魔力量がとても多い

レオが国で一番多く魔力量があり次いで王太子殿下、第二王子、ミア、ハリーである

つまりミアよりも王太子殿下達のほうが魔力量がある

しかし…



「(王太子殿下は騎士団長で武力タイプです。いくら魔力量があってもレッドドラゴンと真っ向から戦うのは厳しいです。また第二王子殿下は魔術師寄りではありますが歳が離れておりまだ15歳…技術的にもまだまだこれからでしょう)」



その懸念点はレオもすでに分かっている

ただこの状況で唯一対応できるのが自分しかないと思いたくなかった

だがミアの冷静な正論に黙るしかなかった



レオは最近怒ったり笑うことが増えましたが、元々それなりにプライドがあるため焦ることはあまりありません

だけど今回珍しく焦っています

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