07.アマプラ6001:葛藤
ここからはマイク視点です。
ルウが一礼し部屋を去るのを見送って、マイクは大きく息を吐く。
「ぶは~~。緊張した」
もういい年なのに、どうも昔から女の人と1対1は緊張してしまう。
女性に興味がないわけじゃない。というか(多分)人並みには興味がある(んだと思うケド)
「それにしても、キレイな人だったな
…チェックアウトの時も会えるかな」
会ってどうする?と内心で自分に突っ込みながらバーカウンタに向かう。
棚には有名どころの酒がズラリと並んでいる。下の方には保冷ケースもあるみたいだ。
「スゴイな。コロニーとは思えない」
う~ん、まあ、酒じゃなくてもいいか。
ふと見ると、メインダイニングに大き目のタッチパッドが置いてある。ルームサービスか。
なにか頼んだら、彼女が持ってきてくれるのかも。と思いながら起動する。
おそらくはレストランから直接サーブされてくるのだろう、フードもドリンクも ちゃんとしたものばかり。ちょっとルームサービスってレベルじゃないなあ。
コーヒー一杯だけとか、ちょっと迷惑かな。
と思ってみているとトップにある【SPECIAL】というメニューに気が付いた。
選択すると。。。女性がズラリと並んでいる。
「えっ?」
ナイトドレスに身を包み、それぞれアピールするようなポーズを取っている。
年齢とスリーサイズが書かれていて、、、
これは。
つまり。(ゴクリ)
そういうサービス。
さらに自分の目を疑う。
こちらに微笑みかける女性たちの中に…
ルウさんがいた。
さっきのベルガールの制服じゃなくて、体の線がわかるピッタリとした赤いドレスに身を包んで…
画面の向こうから、僕に微笑みかけている。
それから2時間悩む。
バーカウンターに行って、適当に手前にあった酒をあおる。
意味もなく歩き回る。
間違いかもと、端末を開きなおす。
そして、そこに彼女を見つけて安心し、狼狽える。
その間にシャワーを3回浴びる。
そして、
・
・
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ドアチャイムが鳴る
(ガチャ)
「ご指名に預かりました、ルウです。よろしくお願いいたします」
さっきと違う肩の開いたドレス、真っ赤な唇、それに、何かわからないけどイイ匂いがする。
それに何より、僕に向けられる笑顔と隠そうとしない色気。
頭の芯が痺れるようだ。
僕はうつむいたまま、黙って彼女を部屋に招き入れた。