夜をあつめて
ホットミルク/
容易く破られていく膜の 唇に感じるわずかな抵抗 きっと わたし間違っている
鳩時計/
真っ暗なリビングに響く
鳩時計の声は
静かに
押し寄せていく
硬質な月明かりの産んだ
波紋のように
掛け布団/
隙間なく覆えば
瞼の奥へ潜る
たゆたう熱の中
ここは
光も届かぬ深い水底
今宵
胎児のような
眠りにつく
おとぎばなし/
おやすみなさい
おやすみなさい
いばらに囲われたお城の天辺で
美しいお姫さまが眠ってる
だけど
健やかな寝息をたてる門番が
誰よりいっとう幸せな夢をみてる