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警察を呼んで!

「君は、いったい誰なんだ?」


教授は再度尋ねた。


そりゃそうだ。


見たことのない和装女子が目の前にいるのだから。


「牛野です。こんな見た目をしていますけど牛野ですよ」


かくかくじかじか。


助手は身振り手振りをして説明する。


「かわいいな」


「真剣に聞いてくださいっ!」


「話はわかった。ところで、その話にでてきた宇佐門府というのはどこにいるのだ?」


「そこに」


助手が、空調の真下にいるウサギの亡霊を指さすが怪訝とした顔をする。


「君は僕のことをからかっているのかね?」


「え……?」


きょとんとした助手を見かねたウサギは口を開く。


「僕の姿は呪いをかけた相手、つまり、君にしか見えないんだよ」


「そんな……」


「適当な作り話をしないでくれたまえ。勝手に大学に侵入してどこの子だ」


「!!」


まずい。


助手は思った。


このままでは警察に保護され、孤児として扱われるだろう。


そうなると、これまで積み上げてきた、研究職としてのキャリアが絶たれる。


それだけは避けなければならなかった。


助手は、ウサモフに助けを懇願する目で見つめる。


ウサモフはうるんだ目に少しドキッとしつつも目を背ける。


「牛野くんはどこに……。警備員を、警備員を呼ぼう」


教授が、固定電話に手を伸ばそうとしたそのときだった。


「キャーッ!誰か!誰か警察を呼んで!」


警備員を一歩通り越して警察。


悲鳴の主はただならぬ状況に直面していることが誰にでもわかった。


教授と少女は、悲鳴のした廊下に飛び出した。


すると、青白い顔をして倒れている青年とその傍らに見慣れた女性講師。


「し、死んでるんです!」


男の顔にはふたりは見覚えがあった。


授業をさぼることなく受講している学業に熱心な文学部の学生。


チェックのシャツにGパンと、貧乏学生らしい服装をしていた。


傍らを見ると同じようにかけつけてきた修士が携帯電話を取り出し、話をしていた。


「もしもし!警察ですか!人が!人が倒れています!先生は死んでると言っています!救急車?まだ呼んでないですけど」


警察と何やらやりとりをしているようだ。


部屋に教授が戻ろうとしたが「動かないで」と修士が静止した。


「警察が、関係者はその場から動かないでくれと言われました。虎尾先生もその場を離れないでください」


教授と助手は自分たちの立場を理解した。


建物は密室、警備員が門番をしている上に、普段から出入りする人間は限られている。


外部の人間が侵入したとは考えにくい。


内部の関係者。


容疑者リストは絞られているのだ。


助手の少女は、目を泳がせながらウサモフに見やる。


「犯人を調べる方法はなくもない」


「へ?」


万物検索演神(ばんぶつけんさくえんじん)。インターネットに一度もアップロードされたことのない文献も調べられる検索エンジンさ」




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