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未来鏡が映すもの

「本人にこっそり教えてくれたんだよ」


「北村くんが?」


琥珀は妙に思った。


みんなに知られては困ることをなぜ、よりによって元就に言ったのか。


なにか、何か自分が気づいていない裏の事情がある。


琥珀は、違和感を感じたが、それ以上追求しないことにした。


「じゃあ、このことは3人の内緒でみんなに言わない方がいいね」


「そうだな。俺たちの内緒だ」


「ゆーびりーりげんまーんうそついたらはりせんぼんのーます」


3人は小指を近づけて、子ども流の誓いの儀式を済ませた。


「ふっふっふ」


パンダの亡霊は笑っていた。


「くすくすくす」


うさぎの亡霊も笑っていた。


元就も琥珀もなぜ一兎あるいは一頭が笑っているのか、変だと思いつつも、理由については知る由もなかった。


「ただいまー。誰もいないねー」


自宅に帰宅した琥珀はウサモフにわざとらしく独り言を聞かせた。


だらしなくベッドにダイビングすると枕に顔を沈める。


琥珀は、長い髪が鼻孔をくすぐる感触を楽しみ足をばたばたと動かす。


「ところでさあ。ウサモフ?」


自分のかわいさを少し自覚しはじめた琥珀はあざとく小さく首を傾げた。


「なんで笑ってたの?」


「君たちの未来を見てほほえましくなったのさ」


「未来?」


ウサモフは大きな鏡を見せびらかした。


「未来鏡と言って未来が見れる鏡があるんだ」


ウサモフの言葉に、琥珀の好奇心がくすぐられた。


「何それ!?すごく面白そう!」


好奇心の強さも子どもそのものだった。


「僕たちが歴史を研究してきたのは、過去を知り未来を知る、温故知新のためなんだ。もし、未来が知れるのなら、それは歴史学にとって大きな一歩じゃないか!」


「だが、夢見がちな君にとってひとつだけ残念がお知らせがある」


琥珀は、検索演神の制約条件を思い出し、先回りする。


「1日5回とか言わないだろうね」


だが、ウサギは落ち着いて返事をする。


「1か月に1回」


想像をはるかに超える厳しさだった。


そして、琥珀はウサギがさっきこれを使って笑っていたことを思い出す。


「なるほど?それをさっき使ったから?」


「1か月後だよ」


がくりと肩を落としつつも琥珀の好奇心は消えない。


「それで、さっき、僕たちのどんな未来を見てたの?」


「さっき保存したから見せてあげよう」


鏡を何もない空間から取り出した。


「おお!そんなこともできるんだね」


「持ち歩くわけにはいかないでしょ?」


「知らなかった」


「てや」


鏡面が光る。


「こ、これは……」

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