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鎌倉千一夜  作者: Kamakura Betty
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第61夜 GO PROLOGUE

父はある時から散歩の時はネックストラップでGOPROを常に回していた。そして1週間前にあの世まで歩いて行ってしまった。葬儀を終え書斎を整理していると使い込んだGOPROが引き出しから出てきた。前に使っていたHERO8だ。メディアはそのまま入っていたので再生してみる。

 そこに映っていたのは、

ゴミを片付けたり

人の犬を撫でたり

橋からせせらぎを眺め続けたり

生垣の花の香りに鼻を近づけたり

声をかけたりかけられたり

自販機で迷ったり

掲示板に近づいたままいつまでも読み終わらなかったり

鼻歌歌ったり

水たまりで跳ね上げだ車に文句言ったり

私たちにはあまり見せない姿だった。

 メディアを抜き私のPCに落とす。父の声は生かし、スケジュール帳に父が書いていた書き込みを下段に小さくテロップで入れていった

5月1日 社休日 ジャガイモの芽かきをする

5月2日 令通澤田さん打ち合わせ

5月3日 憲法記念日 母さんの秋冬物を押し入れに

5月4日 みどりの日 吉郎の誕生日 カニを解凍しておく

5月5日 こどもの日 孫たちとみなとみらいへ

 父の毎日は自身のためでないことばかりだった。それでも父の散歩の足取りは軽快だ

手ブレ軽減機能でも水平維持機能のせいではない。なぜなら被写体が笑顔だからだ。誰も花も猫も父を心配なんかしていない。皆笑顔で父に挨拶をしている。こんな生き方がいい。いやこの瞬間から始めなくてはいけない。あんな風に被写体を向く人生を。

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