139/139
第139夜 神という記号
不可避なエントロピーを超えた何か
熱なき界より出たる何か
次元を超え
即座に
跡形なく
無限に
事を為す何か
天災はそれによる試練
禍はその激怒
転化され
みなはそこに向き直す
人はそれを神という
いやそれは東端においてであって
西、南、北
蒼球を包むそれは
唯一無二ではなく
ときに万物に宿る
その何かはどの角度からでも
様相を変えることはない
解釈という人為的作用で
蹂躙されないかぎりは
瞬きほどの百年間
我が物顔の放埒
素知らぬ顔の詐欺
その何かから目を逸らし
黴色の生涯を終えるのか
思いを念ずる
体内の微塵が震え
体外周囲やがて彼方
その波が到達し
思いという撚れが打消する
それが見える瞬間
それは日々の夜明け
なんてことはない
それがそれ
東端でいうところの
神