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第135夜 神という記号
街を離れ人を断つ
自我すら離脱し宙に浮遊する
瞼を閉じた瞬間から
意識は宙を舞い
時空を超えて自在となる
鬱屈も苦悩も挫折も絶望も
瞼を閉じることで消滅する
それだけのこと
容易いこと
それは逃避ではなく
表象化するならば帰巣
物質界のスクリーンをOFFにすることで
元の静寂が戻ってくる
その振動する岩に坐し
結跏し瞼を閉じよ
振動の波は坐骨を震わせ
次第につむじへと伝わる
それは相輪の宝珠
仏塔天高く掲げる舎利
伝達された振動の波が
障害なく拡散されていく
波は樹液を震わせ
谷を渡る
寡黙に淡々と
緻密に満遍なく
全てを震わせ
波は宝珠へと帰ってくる
つむじより入り
坐骨から岩へと戻る
身は唯の媒介
在れば在るし
無ければ無い
木々も岩々も同じ