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第134夜 8月の雑木林
枯渇した黄土に影を落としつつ
南西の厳光に対峙する
それでもたまに来るそよ風に僅かに葉を揺らし
ますますその大きさを顕示する
地中深く広く根を張り自らを維持する
何ものの手も借りず落葉を積み上げ
慈雨を溜め込む節制と理性
枝葉を伸長させる堅牢と柔軟
厳光に対峙することもなく影に逃げ込み
それでも地上の頂点を謳う者の笑止
ひとたまりもない淡雪の如き身に
奇跡の青球を託されるべき資格は備わるのか
星雲の片隅で瞬きする容赦ない灼熱
知恵という名の水鉄砲でもって
地上の焼石に
一瞬の湯気を立ち昇らせるだけの虚無
かつての村は森となり
かつての森は開かれる
かろうじて残った道は
かなたまで土埃を上げる
地平線の陽炎に森を見る
幹は朧ながらも180度広がる頂葉たちは
入道雲さながら増殖し
鼓動しながら我と距離を保つ