第98話 真央とアズマ
こんにちは!
また投稿させていただきました^ ^
ぜひ暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪
よろしくお願いします!!
この状況をどう説明しよう。
一同はその方法がわからず、一瞬固まる。
しかしイオリはもうだめだと言わんばかりに首を横に振り、立ち上がって真央のデスクに置いてあるトレースバースへ手を伸ばした。
「ダメ、ヨシミ所長にそれを渡さないで! 何か良くないことが起こる気がする」
混乱する頭で真央が叫ぶ。
なぜそう思ったのか、今の真央には分からない。
ただ漠然と『自分は作ってはいけないものを作ってしまった』と感じたのだ。
イオリが慌てて手を引っ込めたが、もう遅い。
「それはなんだ。どうして私に渡してはいけないんだ? 面白いことを言う。さぁ、貸しなさい」
早足で真央に歩み寄る喜美。
真央はイオリに焦った様子で伝える。
「イオリさん。もしもこれから先、トレースバースや私の研究で不幸な目に遭う人がいたら……助けてあげてください。作る前にもっと、慎重に考えるべきだった……」
真央のデスクに置かれたUSBによく似た道具。
喜美はそれを手に取り、じろじろと見つめた。
「なるほど。つまり未光さんは完成させたわけだ。私の言う通りの、他人同士で脳情報の交換ができるシステムを!」
喜美の笑い声が研究室に響き渡った。
彼は側にいた真央の腕を掴み立ち上がらせると、真央をどこかへ引っ張っていこうとする。
「素晴らしい! やはり君は紛れもない天才だ。これはどうやって使う、名前は? もう誰かで試したのか? まだなら早速試しにいこう。ここの地下には被験体が掃いて捨てるほどいる。心配はいらない。地下で起こった出来事は全て生天目君に処理を任せればいいんだ」
「ヨシミ所長、痛い、離して!」
こんな喜美、誰も見たことがなかった。
喜美の豹変ぶりにイオリとアズマはその場から一歩も動けなくなる。
しかし真央の様子を見ていたアズマが表情を変えた。そしてゆっくりと喜美に近づき声をかけたのだ。
「喜美所長、離してあげてください。彼女、痛がっています」
喜美はやめない。アズマの声も届かないくらい興奮している。真央を引っ張る手、その反対の手に握られたトレースバース。
アズマは素早く喜美の手からトレースバースを取り上げた。
「君、何をする!? 私の邪魔でもしようというのかっ!!」
トレースバースに気を取られた喜美の、真央を掴む手が緩んだ。
その僅かな隙を見逃さなかったアズマは真央の反対の手を取り、そのまま走り出した。
真央の腕は喜美の手からすり抜け、喜美の手は空を掴む。
「アズマくんっ!!」
「逃げましょう。今の喜美所長は普通じゃない!」
ふたりはどこへ逃げれば良いかも分からぬまま、ひたすらに走る。
「逃がさないっ…………絶対に逃がさないっ!! 私の計画を邪魔する者は、死ぬよりも恐ろしい目に遭うことになるだろう!」
真央たちの背後でそう怒鳴る声が聞こえた。
真央が振り返ると、ふらふらとした足取りで喜美が後を追ってきているのだ。
「アズマくん、どうするつもりなの?」
「……何処か隠れられる場所に」
アズマの答えには少し間があった。
アズマ自身もどうして良いのか分からないのだ。
それでもふたりは走ることをやめない。
喜美に追いつかれれば無事では済まないと、そう感じていたからだった。
階段をひたすら登って走り、辿り着いたのは最上階の資料室。その横に数段の階段、これを登った先は屋上。
アズマは屋上へ続く重たい扉を開けると、真央を先に通す。そして自分も扉から外に出て、ドアノブのレバーを回し鍵をかけた。
その瞬間、アズマは腰が抜けたようにその場に座り込む。
「ははっ。真央さんにカッコ悪いところを見られてしまいました。自分で連れ出しておきながら、どうすれば良いか分からなくて……。でもこれなら喜美所長だって簡単に鍵を開けられないでしょう」
「アズマくん……こんなことしたら、アズマくんまで危険な目に」
気が動転している真央をなだめようとしたのか、アズマは穏やかに笑った。
「僕はあなたの幸せを願ってるんです。こんなことをひとりで抱え込んで悩んでる姿は、見ていて辛かった。それだけです」
立ち上がるアズマ、そして優しく真央を抱き寄せる。
「真央さん、やっぱり自分の脳にプロテクトをかけてしまったんですね。僕なんかよりもずっと辛かったでしょうに。もうひとりで頑張らなくてもいいんです。あなたは、もう充分頑張った」
アズマの言葉に真央の目から自然と涙が溢れ出す。溢れて止まらない。
「……っ、うっ…………ゥゥっ!」
記憶の波と共に嗚咽する真央を、アズマがしっかりと抱きしめる。
思い出したのだ。
喜美の誰かを憎んでいるようなあの目つき、自分がトレースバースの悪用を防ぐために考えたこと、そして……あの機材のボタンを押した時の感触。
アズマはそんな真央の全てを受け止めるかのように頷き、優しく頭を撫でた。
「本当に、よく頑張りました」
それから真央が泣き止むまでずっとそうしていた。
ひとしきり泣き腫らした真央はアズマから離れると、涙に濡れた目をこする。
「もう大丈夫。ごめんね、心配かけて。でも私には……まだやらなくちゃいけないことがある」
真央の視線の先には、アズマの手に握られているトレースバース。
「私、それをどうやって作ったのか思い出せないの。だからプロテクトが成功したのかもしれないし、もしかしたら失敗してるのかもしれない。分からないけど、でも、トレースバースをこのまま存在させておきたくない!」
アズマは頷き、真央にトレースバースを返す。
「壊さなくちゃ……あと、研究室に残ってる研究記録も全部破棄する」
「協力します。僕で良ければ……いえ、絶対に」
語気を強めるアズマ。
真央がまたひとりで抱え込むのではないかと思っているようだ。
真央はアズマに笑いかける。そして自分なりの精一杯の気持ちを伝えた。
「アズマくん……ありがとうっ!」
その時ーーーー。
ガンガンガン……ガンッ!
扉の向こう側から大きな音がした。
何か重量のあるものを扉にぶつけているような音だ。
「開けろ……開けろ、開けろっ!!」
音に混ざって聞こえてくる、低く唸るような声。
それを聞いてふたりは凍りつく。
「ヨシミ所長っ……」
真央の瞳に恐怖の色が浮かんだ。
アズマは咄嗟に真央を後ろに追いやり身構える。
ガンガンガン、ガンガンガンガン……ガシャッ。
大きな音がしばらく続いた後、とても嫌な音が聞こえてきた。これはまるで何かが壊れるような音……。
真央とアズマが扉の方へ目を向ける。するとちょうどドアノブがポッキリと力尽きたように床へ転がるのだった。
とうとう扉ごと鍵を壊して屋上に入ってくる喜美。
何処から持ってきたのかその手にはバアルが握られており、扉が開いたことで役目を終えたバアルは、喜美の手からぞんざいに放り投げられた。
カランカランッ。
屋上に不穏な音が響く。
「全く、面倒だな。早くトレースバースをこちらに渡せばいいだけのことを……」
「なぜ……っ!?」
アズマが声を発した。
なぜ喜美にあの道具の名前を伝えてもいないのに、トレースバースだと分かったのか。
だがそれを言い終える前にもうひとり、屋上へ小柄な人物がやってきたのだ。
切羽詰まった表情を浮かべて、真央とアズマを入り口から見つめている。
ふたりはその人物が誰なのかすぐに分かった。
イオリだ。
いつも読んでいただきありがとうございます、本当にっ……(*´Д`*)
気がつけばもう100話手前、そしてありがたいことに1万PVを超えてしまいました!!
読んでいただけて本当に感謝です(´;Д;`)ジワー
今フリーレン見てたらシュタルク、お誕生日だったらしい……笑
あのバカでかいハンバーグ食べたくなったので誰の誕生日でもないけど挑戦中です笑笑
なんでもない日、バンザーイ!!
ではまた続きを書いてきますので、読んでいただけたら嬉しいです♪
ようし、ハンバーグだ!!!!
コネコネコネコネコネコネʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ




