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第97話 螳医k縺ケ縺阪b縺ョ縺溘■

おはようございます。

また投稿させていただきました!


ぜひ暇な時に見ていただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします^ ^


 「トレースバースね。悪くないんじゃない? この研究が成功していればユーゼンどころか、世界中で注目されるわよ」


 「間違いないです。すぐに研究成果を喜美所長に報告しましょう。そうすれば真央さんの契約期間も延長されて、ずっとユーゼンに居られるかもしれません!」


 会話が盛り上がるふたり。真央は静かに首を横に振る。


 「私は自分の研究が完成しただけで満足です。地位も名誉もいらない。ユーゼンにはずっと居たいけれど……それはふたりと一緒に研究したいからだけなんです。私にはこんな大きな組織に腰を据えるなんてことできません。性に合わなくて。だからフリーランスでいいんです」


 「ならどうするんですか、これから……」


 どうしようか。アズマに聞かれ、真央は答えに戸惑う。

 ずっと考えていたのだ。


 もし、トレースバースが完成したことを喜美に話せば真っ先に誰かで試そうとするだろう。


 喜美は自分の妻を再現するためにユーゼンを作った。

 その妻の再現にトレースバースが必要になるのかは分からない。


 しかし喜美には妻のためなら、どんなものでも犠牲にしようとする覚悟が垣間見えた。あんなに憎しみを溜め込んだ目をする彼にトレースバースを渡しても良いのか。


 真央はアズマに言う。


 「実はひとつ、トレースバースには大きな問題があるの。それを解決しないと……」


 「問題?」


 「東くん、前に屋上で言ってたよね。悪用される可能性がある研究結果をどうしても公表しなければいけないのなら、肝心な部分は自分にしか分からないようにして公表するって」


 「確かに言いましたが、トレースバースはそんなに危険なものなんですか?」


 首を傾げるアズマに真央は説明する。


 「トレースバースがあれば別人同士をそっくり入れ替えることができるし、針が刺さった相手の頭の中の情報を全て覗くことだってできる」


 そこでアズマははっとする。

 

 「そうか! もし万が一真央さんの頭にトレースバースが刺さってしまえば……」


 「そう。トレースバースの作り方や仕組み、肝心な部分そのものが全て他人に渡ってしまうかもしれない。そしてそれが悪用されてしまうかもしれない」


 「でもそんなの防ぎようないでしょう? もしそんなことが起こったとしても、それはあなたの責任じゃない」


 イオリは真剣な表情で真央を諭した。

 しかし真央はまたもや首を横に振るのだ。


 「いいえ。ひとつだけ方法があります」


 「えっ?」


 アズマとイオリがほぼ同時にそう答える。


 「トレースバースが脳をコピーする道具なら、私の脳にコピーガードを作ってしまえばいいんです。所謂プロテクト、になるんでしょうか?」


 「コピーガード? プロテクトって……PCソフトとかを自由にコピーできなくするアレを? 脳に!?」


 途方もない話にイオリが困惑する。


 「そんなことして真央さんの脳は大丈夫なんですか……」


 分からない。そんなこと誰もやったことはない、自分すらもやったことがない、前例はないのだ。


 もしかすると喜美がトレースバースの最初の被験者に選ぶのは、真央自身かもしれない。


 結果的に喜美が望むトレースバースを作ってしまった以上、その責任を果たさなければならないと真央は思っていた。


 たとえ自分がどうなろうとも……。



 「トレースバースの作成過程で、脳の情報をデータ化する仕組みが分かりました。通常のデータにプロテクトをかけるよう処理すれば、できなくはないと思うんです」


 「危険です、それはやめましょう! そんなの聞いたことがありません」


 アズマは真央の覚悟をなんとなく察したのか、必死に止めようとする。


 「ありがとう。でも私は大丈夫。だからふたりにはこの件、暫く喜美所長に黙っていて欲しいんです。お願いできますか?」


 「それは構わないけれど……」


 イオリも真央を気にしているようで、落ち着かない様子で返事をした。


 「大丈夫、きっと上手くいきます。これが終わったら、喜美所長に研究結果を報告してみんなで喫茶店にでも行きましょう!」



 その夜だった。


 イオリとアズマが帰った後。ひとりきりの研究室で真央は自分の頭に電極をつけていた。電極に繋がれた研究機材の設定を微調整し、最後に震える手で機材のボタンを押そうとする。


 このボタンを押してしまったら、自分はどうなるのだろう。脳へのプロテクトはこの手順でかけることができるはず。それなのに実行開始のボタンがどうしても押せないのだ。


 恐怖で息が苦しかった。


 今、真央の頭をよぎるのは笑顔の素敵なイオリ、最近少しだけ気になっていたアズマ。今まで出会ってきて力になってくれた多くの人たち。そんな人たちに私の研究で迷惑をかけてはいけない。


 真央は深呼吸をすると一思いに実行開始のボタンを押した。


 「ーーーーっ!!」


 脳に衝撃が走る。

 真央の意識はそこで途絶えたのだった。




 「真央、真央っ!! しっかりして!!」


 遠くで焦った声が聞こえてくる。


 「イオリ……さん? どうしてここに……」


 イオリの呼びかけによって真央はうっすら意識を取り戻す。


 「どうして、じゃないでしょう! 今朝の様子がおかしかったから東くんと心配して戻ってきたのよ。あなたが何か危険なことしようとしてるんじゃないかって……」


 涙を目にためてその場にへたり込むイオリ。

 少し遅れてアズマが研究室へ走ってくる。


 「真央さんっ!」


 「東くん、走るの遅いっ!!」


 イオリはそう言うと、ポロポロと涙をこぼした。


 「ごめんなさい。私、ふたりに迷惑かけた……」


 真央は頭がはっきりしないまま、そっとイオリの肩を抱きしめる。


 その時、違和感を感じた。


 偶然に目についたイオリが首からぶら下げている社員証、その名前が文字化けして見えるのだ。


   『U-zen株式会社

     機械研究課 研究員

            豌エ荵 衣織』


 どういうこと……?


 真央は社員証を二度見しながら考える。


 「真央さん、こんな時間までいったい何してたんですか?」


 息を切らしながら尋ねるアズマ。


 何って……そもそもなぜ自分がこの時間に研究室にいたのか。なぜ意識を失っていたのか。全く思い出せなくなっていた。


 アズマは真央の側に置かれた機材を見ておそるおそる尋ねる。


 「まさか……トレースバースのために脳にプロテクトをかけたんですか……?」


 イオリが驚いた顔でこちらを見る。


 トレースバースを作ったことは覚えているのだが、いったいそれをどうやって作ったのか。


 アズマやイオリと今朝、話したばかりの気がするのに。


 「アズマくん、今朝の話なんだけどプロテクトって……」


 真央の質問を遮るかのように廊下に靴音が響く。

 そしてその靴音が研究室の前で止まり、ゆっくりと扉が開かれた。


 部屋の中に入ってきたのは喜美だったのだ。


 「騒がしいから来てみれば……君たちはこんな時間まで研究室に残っていたのか。何をしていたのかな?」

 

 喜美は真央がいることを確認すると、わざととぼけた様子でそう尋ねた。




いつも読んでいただきありがとうございます(*´ω`*)


タイトルまで文字化けしてしまいましたが、訳すと「守るべきもの」になるみたいです笑


真央は自分の大切な人たちを守るため自分の脳にプロテクトをかけてしまいました。


喜美の執念と真央の覚悟、結果的にどちらが強かったのか見届けていただけたら嬉しいです♪


ではまた続きを書いてきます!!


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