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第9話 向けられた疑念

こんにちは( ´ ▽ ` )

本当は12時過ぎに投稿しようと思っていましたが、すっかり波に乗り遅れてしまいました。


今日もまた読んで頂けたら嬉しいです!


 

 「やぁねぇ。

ワタシ、マオちゃんに人生の先輩って言われるくらい歳とってないから!!」


 「あ、それは失礼しました」


 下げかかっていた頭を元の位置に戻しながら4つだけ人生の先輩に詫びを入れる。


 「もう、そういうところユキト先輩にそっくり。

マオちゃんは将来あんなふうになっちゃダメだからね?」


「き、気をつけます……!」


 マオにとってはどちらも先輩なので、とりあえずどちらの方からもブーイングが来ないよう無難に答えておく。


 「でもワタシはね、この先何があってもマオちゃんには『そのままのマオちゃん』でいて欲しいの。笑ったり、怒ったり、落ち込んだりしたっていい。


 不得意なことがあったっていい。


 今の『そのままのマオちゃん』がワタシは好きだなぁって思うの。

だから自分を見失わないようにね?」


 ヤヨイはこちらを振り向き、とびきりの笑顔でマオに笑いかけた。

 

 夕日に照らされて佇む彼女がなぜかこの時ばかりは少し淋しそうな、儚げな笑顔を浮かべたようなような気がしたのだ。


 「えっと、どういう意味ですか?」


「特に深い意味はないんだけど、これだけは言っておかなきゃなと思って!

んー、愛の告白……みたいな?」


 「えええぇ!

それ本当ですか!?」


「冗談よ。さぁ、帰りましょう」


 あの淋しそうで儚げな笑顔はすぐに消え、すっかりいつものヤヨイの表情に戻っている。


 見間違いだったのだろうか?


 ただ一瞬だけ、ほんの一瞬だけマオにはそう見えた気がしたのだ。






 翌朝、マオはいつも通りの時間に研究所へ行くと所内からは慌ただしい雰囲気が漂っていた。


 何かあったのだろうか。


 ヤヨイさんに聞いてみよう。ヤヨイさんならいつもこの時間帯には休憩室でコーヒーでも飲みながら、朝のウシオさんのテレビ番組を見ているに違いない。


まぁ、この慌ただしさに巻き込まれていなければの話なのだが……。

 そう思ってマオは休憩室へと向かっていた。


 ーーーーーーガチャ。


 部屋の前に立ちドアノブを回して扉を開けると部屋にいた全員の視線がマオへ集中する。


 「おはようございます」


 いつも通りに挨拶をするマオに挨拶を返してくれるものは誰一人としていなかった。

代わりに何とも言えない視線がこちらへ向けられるばかりだ。


 ユキト、アズマと他数名、カイ所長までもが休憩室に集まって何かを話していたようなのだが、いつもいるはずのヤヨイの姿はそこにはなかった。

 どうやら予想は外れてしまったようだ。


 それにしても自分が休憩室に入った途端、場の空気が変わったような気がする。


 マオはそんな重い沈黙に耐えられなくなり思わず声を発した。


 「どうしたんですか?

皆さん、険しい顔してここに集まって。

何かトラブルでもあったんですか?」


 明らかにいつもとは何かが違っていた。


 きょとんとしているマオにユキトが足早で近づき、そして信じられない言葉を口にするのだった。


 「おい、おまえ。

ヤヨイをどこへやった!?

何か知ってるんだろ、おまえのせいじゃないのかっ!?」


 「えっ?

ヤヨイさんがどうか……」


 「今さらとぼける気かっ!!」


 怒号が響き渡る。


マオが言い終わるより早くユキトはマオの胸ぐらに掴みかかった。


 「ユキトくんっ!

 いけないっ!!!」


 持ち上げられそうになるほど上へ強く引っ張られる。


 訳がわからない。

マオの頭の中には沢山の疑問符が浮んでいた。


 カイ所長とアズマはすぐさまマオのもとへ駆け寄り、暴走したユキトをマオから引き剥がした。


 「お、おちついてください、ユキトさん。

まだ彼女が関わっていると決まったわけでは……」


 ユキトの片腕を抱えながらアズマはここまで言いかけ、はっとして口をつぐんだ。

そして気まずそうにマオの方を見る。


 そこで初めてわかった。


 どうやらヤヨイさんがいなくなってしまい、

 さらにどういう訳か私が疑われているのだと……。


 今朝の慌ただしい原因はこれだったのか。


 ジワジワとマオの背中に冷や汗が湧き出る。


 「確かにヤヨイさんは昨日、私と一緒にクローンボットのお披露目会へ行きました。

けどその後はすぐ帰ったし、また明日って言って別れたんです。


 ヤヨイさん、もしかしてまだ帰っていないんですか?

一体、あの後何があったんですか!?」


 黙ってマオをじっと睨みつけるユキトの目は只事ではないことを物語っていた。

 今にも、もう一度マオに飛びかかりそうな勢いはある。


 しかしマオは怯まない。いや、怯んではいけない。

自分が疑われているのであればその疑いを晴らさなければならないからだ。


 私は何もしていない!


 そして、ヤヨイさんに何があったのかを知らなくてはならない。


 ユキトをまっすぐな目で見つめていると、しばらくしてユキトから殺気が消えた。

 目つきは相変わらず鋭いもののそこには冷静さが戻ってきているようだった。


 カイ所長とアズマはそのユキトの変化を感じ取ったのか、腕を離すと一歩後ろへ下がる。


 「ヤヨイが消えた。連絡がつかない。

カイ所長が家まで様子を見に行ってくれたが家にはいなかったそうだ。


 あいつはアホだが無断欠勤するようなアホじゃない」


 ユキトは近くにあった椅子にどかっと腰掛けうなだれる。


 ヤヨイが消えた。

衝撃的な言葉がマオの頭の中で何度も繰り返されていく。


 会話の流れで頭では薄々わかっていたものの、こうして改めてきちんと聞くと真実味が増す。


 「何か理由があってご両親や友人の家にいるとか……。

ご両親とかとは連絡は取れて無いんですか?


 それかもしかしてここへ来る途中、事故にあって今は病院にいるとか……」


 ユキトが首を横に振る。


 「あいつの両親は考古学者で世界中を飛び回っている。家なんてあって無いようなものだし連絡もまだついていない。


 友人の家という線も薄いだろう。

そもそも俺たちはあいつの友人を知らない。


だが、ヤヨイは休む前には必ず連絡を入れるようなやつだということを少なくとも知っている。


 今日休むのであれば余程のことがない限りどこにいても連絡を入れるはずだと推測できるだろうからな。


 だとすると考えられることはここへ来る途中の事故、自分から失踪したか、あるいは誰かに連れ去られたか、だ」


 「そんな……。

連れ去られたって、誰がそんなことを……」


 「そんなの俺が知りたい!!」


 「2人とも、一度落ち着いてくれ」

 ついに2人がヒートアップしていくと判断したカイ所長が割って止めに入った。

 

 「わかった、じゃあこうしよう。

私は一応すぐ近くの大きな病院にそれらしき人が運び込まれていないか確認してみるよ。


 マオくん。昨日はお披露目会が終わった後すぐヤヨイくんと別れたんだね?」


 「はい。夕方には終わっていたので……。

その後、どこにも寄らずにそのまま帰りました」


 カイ所長の質問にマオはこくりと頷いて答える。


 「そうか。

 マオくんはすまないがここに残ってくれないか?

事情をもう少し詳しく知りたい。


 その他の人員は仕事に戻ってくれ!」

 




読んで頂きありがとうございました!

また明日もよろしくお願いします♪

おやすみなさい!

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