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第87話 接点

おはようございます^ ^

今日もまた投稿させていただきました。


また暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪

よろしくお願いします。


 「大木碕(おおきさき)大学は有名校ですから、色々と。耳にしたことくらいはあるのでしょう。


 月城(ツキシロ)先生は医学と脳科学を教えていましたが今はもう退職されてここで静かに暮らしています。


 ですが時々、こうして私のような中退者や元生徒たちを家に招いて講義してくれることもあるんですよ」


 「ふーん。

 フツーに良いセンセイじゃん!


 でも何でそんな人がオレみたいなのに連絡してきたのかな?」


 淹れたての紅茶がスナック菓子の横に置かれると、クリオネはティッシュペーパーで手を軽く拭いた。


 中年男性はそれを横目にテーブルの上を片付け始める。


 「風間ヤヨイさんという人物から連絡があったそうです。先生はその連絡を受けた後、血相を変えて元生徒たちに何かの資料を用意させたとか」


 テーブルを拭く中年男性の手が止まる。

 そして一点の汚れが気になったのか、雑巾を何度もその部分だけ往復させていた。

 

 この男性は意外と神経質なのかもしれない。

 そう思ったクリオネはスナック菓子の袋を渋々しまう。


 「その資料ってもしかして段ボールに入ってなかった?

 それも送り主とここの住所は書かずに風間さんへ送ってるよね?」


 中年男性は首を傾げる。

 

 「さぁ……。私はその場に居ませんでしたから。


 でも風間さんと連絡が取れなくなったと先生は仰りましたよ。だから私があなたに連絡してここへ来てもらったんです。あなたの電話番号は先生から聞いてましたので」


 「なるほど。ちょっと読めてきたね。

 じゃあオレはここに来てよかったわけだ。


 あの段ボールの送り主を探す手間が省けそうだし♪」


 思わず笑みをこぼして呟くクリオネを中年男性は不思議そうに見つめた。


 その時、2階からトン、トン、トン、という音と共に誰かが階段を降りてくる。


 「先生です」


 中年男性はクリオネにそう告げると慌てて階段の方へ向かった。


 そのまま座ってリビングで待っていれば良いのに。


 クリオネは最初、そう思ったが『先生』と呼ばれる人物と対面してその理由に納得した。


 「君がクリオネくんか?」


 しゃがれ声のする方へ身体を向けると、杖をつき片足を引きずった老人がリビングに現れたのだ。


 曲がって小さくなった背中を先ほどの中年男性が支えている。

 

 白髪に長めの顎髭、グレーの背広を纏った姿は知識人と呼ぶのにふさわしい雰囲気だ。


 「月城センセイ、だね。

 オレに渡したい情報って何?」


 「まず君はユーゼンについてどこまで知っている?」


 月城の問いかけにクリオネはフッと笑う。


 「少なくともあなたよりは知ってるさ。

 なんてったってオレは情報屋だからねぇ」


 その答えを聞いた月城は一瞬キョトンとした表情を浮かべたが、やがて豪快に笑い出した。


 「はっはっはっは!!

 そうか、そうだったな。

 これは失礼した」


 クリオネとテーブルを隔てた向かい側のソファに腰を下ろそうとする月城。


 中年男性は月城の右足に軽く手を添えてそれを手伝う。


 引きずってきた方の足だ。

 おそらく自分では動かすことができないのだろう。

 

 クリオネは月城に尋ねた。

 

 「その足、治さないの。

 医療クローニングを使えばすぐ治るでしょ」


 しかしクリオネの問いかけには答えず、月城は右足をさするだけだ。


 「いやぁ、元教え子が脳科学のラボを始めたと聞いてね。

 そのラボの研究員から電話があったんで内心嬉しく思っていたんだが……どうやら手放しで喜べる状況でもなさそうだ」


 「元教え子……。

 ってまさか、カイ所長サンのこと!?」


 月城はこくりと頷く。


 「あぁ、そうだ、カイ君……危うく名前を忘れるところだった。

 彼は優秀な生徒だったよ。

 海外に行ってからもその才能は留まることを知らず、ついには自分自身をまるごとクローニングしてしまうなんてなぁ」


 「あの所長サンってやっぱそんなにすごい人だったんだ」


 大木碕大学、カイ所長が通っていた学校か。

 どうりで聞き覚えのある響きなわけだ。


 クリオネはカップを手に取り、熱い紅茶をちびちびと飲む。


 「確かに法的にはあまり誉められたものではなかったが、私は彼の志を高く評価していた。


 それでカイ君は今、風間ヤヨイさんとユーゼンにいるんだな?」


 「うん、そうだね」


 「ふたりとも無事なのか?」


 「だと良いんだけど」


 「あぁ……。やっぱりそうだったか……。


 ダメだ、カイ君の技術を喜美所長に渡してはダメだ、絶対に!」


 「何それ、どういうこと?」


 月城から憤りが感じられる。

 クリオネは様子を伺いながら続きを促した。


 「喜美所長が自分の目的を達成するには、カイ君の技術が必要不可欠だ。


 ましてやカイ君はユーゼンについて調べていたんだろう。


 風間さんから『先生の知る限りでいい、ユーゼンが造られた本当の理由について教えてほしい』と言われてね。


 もし連絡が途絶えたら君に会ってほしいと番号まで教えられた。


 全く、カイ君は……いつもとんでもないことをする。

 そんなことをすれば奴らに目をつけられて当然だ!」


 「センセイは随分とユーゼンに詳しいんだね。

 風間ヤヨイに資料を送ったのはセンセイでしょう?


 わざわざここの住所を隠して送ってきたのにも訳がありそうだ」


 「訳も何も!

 喜美所長は恐ろしい男だ。自分の目的の為なら何を犠牲にしようとも必ず成し遂げる。


 もしユーゼンに関する情報を漏らしたのが私だと分かればどんな手を使ってでもそれを、いや情報自体を()()()()()()にするはずだ。


 それでは意味がない。

 意味がないんだよ……」


 「あなたはいったい風間ヤヨイの家に何を送ったんだ?」


 クリオネの言葉に月城は深く息を吐いた。


 「風間さんのご自宅には、かつて私がユーゼンで見聞きした情報を資料にまとめて送った。


 あの企業は表向き、社会に貢献している優良企業を演じているが、元はと言えば喜美所長の目的の為だけに造られたんだよ。


 分かるだろう?

 あの男は正気ではない」


 声を震わせながら話す月城を見てクリオネは考える。


 ヤヨイと月城の接点。

 それはカイ所長。


 ではカイ所長と月城の接点は……。

 大木碕大学だ。


 大学とユーゼン。

 まさかこのふたつもどこかで繋がっていたのだろうか。

 

 「センセイ、大木碕大学で何かあったんだね。

 そしてあなたはユーゼンや喜美所長の目的について知ってしまった、違う?」


 「少しだけ……」


 月城がそう言いかける。


 「少しだけ、悪いが年寄りの昔話に付き合ってはもらえないだろうか」


 月城のその言葉は、スピーカーから流れるクラシック音楽をより哀愁的なものにさせた。

 

いつも読んでいただきありがとうございます^ ^

今日は珍しく早起きができました笑


最近ウチでは朝7時になるとヘヴィメタが大音量でかけられてデスボイスで強制的に起こされるの、なんなんだろう……。


今日は月城先生のように優雅なクラシックで紅茶を飲みながら朝を楽しみたいところです(´-`).。oO


出勤の方、今日も張り切って出陣ですね……!


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