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第81話 望まれた姿

こんばんは^ ^

また続きを書いてきました。


暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪

よろしくお願いします!


 『それで、あの天才の脳に掛けられたプロテクトの解除方法は見つかったのか?』


 『いいえ、まだです』


 まるでプレッシャーをかけてくるかのような喜美のため息が聞こえてくる。


 『君にはプランBの他にもやるべきことがあるだろう。

 君が今以上のクオリティで新人類の脳を作れないというのなら、せめてそれくらいのことはやってくれ』


 『……分かっています』


 『残念だがとてもそうは思えない。

 君はそんなことお構いなしに人材ばかり集めていると聞くが。一体どうするつもりなんだ?』


 『エヴァンディール計画は秘密裏に進めなければなりません。その割には被験者の数が多すぎます。ですので少しでも早く、計画を進められるよう努めているだけです』


 『そうか、君の連れてきた榊は営業部長からプランAの責任者にまで上り詰めた。しかしもとより研究職の人間ではない。


 だから新人類の開発は君にもサポートを頼んでいたわけだ。


 さて、これから君に残された選択肢はふたつ。


 さっさとプロテクトを解除して例の天才に助けてもらうか、今以上の働きを見せてくれるかのどちらかだ。


 もしどちらも出来ないというのなら……この先は生天目君に任せることにする。期待しているよ?』


 イオリは歩きながら数日前の出来事を思い出していた。

 喜美に呼び出され、忠告を受けた時の事だ。


 心にもないことを平気で発言するのにはもう慣れた。

 今までこうして喜美や生天目を欺いてきたのだから。


 ()()()()()()()()、か。


 それはつまり私は必要なくなる、という意味だ。


 頭の中でそう結論づけるイオリ。


 どこでもいい。今までエヴァンディール計画に僅かでも穴が開けば、少しでも遅れが生じれば、そう考えて行動してきたつもりだった。


 だが既に生天目がプランAへ介入してきたところを見ると、自分が向かう先は自ずと処理場になることは間違いない。


 それは明日か、明後日かーーーー。


 時間がないのにやるべき事が山のようにある。


 「部長、部長っ!」


 側にいた研究員に呼び止められ、イオリは我に返る。


 「ごめんなさい、何?」


 「やっと気がついた。

 随分お疲れのようですが、もしよければ私が様子を見てきましょうか?」


 「いえ。あなただって疲れてるでしょう。

 大丈夫、私が行くから。


 申し訳ないけど、例の映像だけあの人に送ってもらえる?


 あれを見たら……もしかしたら動いてくれるかもしれない」


 「難しいと思いますが……。

 だってこれまでも何度か同じことを試したでしょう。

 でも結局、外部の人間は見て見ぬフリ。


 誰も私たちの置かれている状況に疑問を感じない。

 保身からか、それはおかしいと声ひとつあげてくれない!」


 「それでも……送るの。

 今は静かに訴え続けるしかできない」

 

 「私たち、みんな殺されるんでしょうか。

 せっかく喜美所長に極秘の新規プロジェクトだと誘われて喜んで参加したのに」


 「組織がダメならその外部へ。

 この計画は必ず止めるわ。


 そして全員で生き残る方法を探しましょう」


 こうして強がって部下を励ましてはいるもののイオリ自身、内心では喜美という男に人一倍怖れを抱いていたのだ。


 研究員と別れた後、イオリはある部屋の中へと吸い込まれるように消えた。


 部屋の中にあるのは唸ることを止めた大きすぎる奇妙な機械。近くには寝台がひとつ。


 そこに若い男性がうなだれて腰掛け、悲痛な叫び声をあげ続けていた。


 それは悲しみという感情だけではなく、憎悪も入り混じった何とも言い難い泣き声のようだった。


 「人間なんて……人間なんて…………っ!

 みんなこの世から消えて無くなってしまえばいいっ!!


 なぜ芽衣を見捨てた?

 なぜ誰も助けようとしなかった!?


 己の保身に走り平気で苦しむ者を見捨てるような奴らは皆同じ目に遭えばいい。


 救うだけの力がない無能な奴らは……全員消えろ、消えろ、消えてしまえぇぇぇぇ!!」

 

 錯乱した男性の元へ駆け寄り、イオリはそっとその肩に触れる。


 「ウシオ、しっかりして!

 ()()は喜美所長の記憶。


 あなたを思い通りに動かすのに入れられた意識の一部なの。


 あなたは今、ここにいる。

 忘れた?

 私が作った脳は他人の記憶に飲み込まれるほどヤワじゃない」


 「あぁ……あ…………あ……イオリ……?」


 「そう。あなたはウシオ。

 ……大丈夫?」


 「そうだ……ウシオ。

 これはイオリに貰った名前だ。

 ずっと悪夢を見ていたようだった」


 呼びかけで正気に戻ったウシオを見て、イオリは安堵した。


 最近はいつもこうだ。

 ウシオがユーゼンに戻ってから、この部屋の機械が稼働し始めた。


 何のために使う機械なのかはイオリも知らない。


 ただメンテナンスという名目でいつも決まった時間に機械に繋がれた後、ウシオは別人のようになってその場で泣いているのだ。


 それが喜美の記憶だと分かったのはつい先日。

 喜美はウシオに自分の記憶を入れて何かをしようとしている。

 

 「ねぇ、そろそろ教えて。

 いつもこの部屋で何をされているの?

 

 喜美所長はあなたに何を求めているの?」


 「……イオリ。

 人間って何だと思う?」


 「えっ?」


 「ボクは人気リポーターになることを望まれて生まれてきた。


 この身体はテレビの視聴者好みになるよう、全く知らない人たちを部位ごとにクローニングして作り合わせた身体。それを少しでも長く維持するために体内に機械が取り付けられてる。


 頭の中にはAIを活用してリポーターに必要な知識やノウハウ、教養が大量に詰め込まれた……。お陰でどの視聴者層がどの言葉を言ったら喜ぶのかが手に取るように分かるんだ。


 リポーターとして人気が出ないわけがないよね。


 でもそれは本来ボクの手で得た知識じゃないし、欲してすらいなかったもの。


 それにこの頭はあと2年もすれば機能しなくなって、ボクは望まれたリポーターという役割すらも果たすことができずに終わってしまう。


 それでもボクは人間と……人類と呼べるものなのかな?

 ボクは……何者でもない、人間ですらないのかも」


 「違う!!

 あなたは人間。身体は他人と異なるけれど、ちゃんと自分の考えや意思がそこにあるじゃない。


 誰かに必要とされた道具でもロボットでもない。

 あなたはあなた、ウシオという人間なのよ」


 イオリの言葉を聞き、ウシオは少しはにかんでみせた。


 「ははっ……!

 そうだね。ありがとう。

 イオリにそう言われたら少し自信が持てそうかも」


 ウシオはこの部屋で起こった出来事をいつも話したがらない。イオリがしつこく聞いても、その度に必ず話題を逸らすのだ。

 

 「ごめんなさい、ウシオ……。

 私にもっと力があれば……」


 「やめてほしいな。

 謝られたらますます自分の存在意義が分からなくなる」


 はっとして口をつくんだイオリにウシオは優しく声をかけた。


 「……いっそのこと、このままふたりでどこか遠くにでも逃げ出そうか?」


 

 


いつも読んでいただきありがとうございます!!

久々にウシオさん、出てきました笑


誰だ、それ!?って忘れられてるかもしれませんが、あの有名なカリスマリポーターのウシオサンです……。

(久々ですまん、ウシオさん……)   


ぜひ7話、20話、39話も合わせて読んでいただけたら嬉しいです。


ウシオさん好き、頼みましたぞ!笑


評価•感想•ブックマークなどもありましたら……٩( 'ω' )و


ではまた続きを書いてきます!


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