第75話 反逆
おはようございます(´∀`=)
今日も暑いですね……。
お昼休憩中、パンをかじりながら投稿失礼します♪
またぜひ見ていただけると嬉しいです。
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「ユーゼンの最新の研究はクローンボット。
……表向きはね。
でも真実は違う。
私たちは医療クローニング技術を使ってあることを計画しているの。
もしあなたが望みさえすれば、私がその技術を存分に生かせる場所を与えてあげる。
まぁ、正直言ってあまり気が進まないのだけれど」
屋上を出てからマオたちはずっと階段を下りてきた。
女性はどこまでこの階段を下るつもりなのか。
警備の目を欺くのにクリオネと階段を上り下りした記憶がマオの脳裏に甦る。
まさかとは思うが、自分の予想が当たっていれば女性が向かう先は……。
マオの顔はすっかり緊張でこわばっていた。
やがて下りる階段も尽きた地点で女性は歩みを止める。
右手には扉。これはアロマの香りを避ける為、サカキが出入りに使っていた地下2階のフロアへ繋がる扉だ。
そして正面、突き当たりは壁。しかしよく見ると、まるで壁に扉があるかのような線が浮き出ている。
線の内側は人がひとり通れるくらいの大きさでドアノブの類いは一切ない。
例え階段を使ってここまで来た人物がいたとしても気がつかず、何の疑問も持たずに右手の扉から地下2階のフロアへ出て行くのが普通だろう。
クリオネはこの小さな違和感を感じ取ったようだ。
女性は突き当たりの壁の方へ向かうと、パンッと両手を強く合わせて音を出す。
次の瞬間、信じられない出来事がマオの目の前で起こった。
突然、壁の中央に電子ロックの機械が現れたのだ。
12個の数字や記号が規則正しく並んだそれに女性は素早く指を這わせ解錠のボタンを押す。
これをなんと3回繰り返し最後に社員証をかざすと、ようやく軽い機械音がして壁が消えた。
どういう仕組みなのか全く説明できない。
ただ、線より内側の壁だけが消えたのだ。
女性はこれに驚く素振りも見せず、当たり前のようにその壁の向こう側へ歩き出す。
その先にはまたさらに下へと続く階段が待ち構えていた。
階段を絶対に使わない、ユーゼンのおかしな警備方法はこれが理由か。
女性の行動がマオを妙に納得させる。
クローンボットの研究に何かあったところでユーゼンは、ヨシミはそんな事どうでも良いのだ。
彼が最も守りたいものはこの下にある。
誰でも簡単に入ることが出来ないうえ、あれだけ厳重に隠されているのだから。
この女性は一体、何者なのだろう。
研究員たちの素性を把握し、この壁の向こう側へ出入りが許された人物。
「ずっとそこに立ってるつもり?
早くこっちに来て。
あと13秒で壁が元に戻る」
「えっ……!?
は、はい!!」
この壁が元に戻る瞬間、身体がそこにあった場合はどうなるのか。
恐ろしい考えが頭の中に浮かびマオは慌てて女性の後ろへ続く。
「あの……今のは?」
壁の仕組みがどうしても気になり、階段を下りながらマオは女性に尋ねた。
「それ、本気で言ってるの。
見たことあるでしょう」
「…………いいえ」
女性は歩みを止めず、チラリとマオの方を見る。
「最新式のシークレットゲート。
重要な情報を扱う部屋や要人が身を隠すのによく使われるシステム。
ここは特定の音に反応した電子ロックを解錠してから20秒後には元の壁に戻ってしまうけど、もしその時に壁があった場所に誰かいたら警報が鳴るようにできている」
「……そうなんですか」
てっきり壁が戻る時、その位置に身体があれば潰されたりでもするのかと思っていたがそこまで手酷い仕掛けではないらしい。
とはいえ、迂闊に歩いて警報が鳴ってしまったら面倒だ。
マオはそう考え女性からあまり離れないようにして進んでゆく。
「あなた、海外で医療クローニングを学んだんでしょう?
確か海外のそういう施設には同じシステムがあったはずだけど……」
「えっ……」
あぁ、しまった。
この女性はどこか普通の研究員とは違う。
うっかりした発言のせいで正体がバレないようにしなければ。
「あ、……そ、そうだったかもしれませんね」
一瞬、ドキリとしたマオだったが咄嗟に笑って誤魔化す。
クリオネがこの会話を聞いていたら、きっと無線通信機から助言が聞こえてきたであろう。
早くクリオネが戻ってくることを祈るばかりだ。
「そう……」
話題に興味を無くしたかのような相槌を打った女性は、再び現れた扉に社員証をかざし手をかける。
今度は取手付き、普通の扉だ。
ガチャーーーー。
扉が開かれると女性はマオを通して言った。
「着いたわよ。
ここがユーゼンの地下3階研究所。
通称、Eフロア」
地下3階ーーーー。
聞き間違いでなければ本来、ユーゼンでは絶対に聞くことがないはずの階数だった。
やつれた顔の研究員が数人、マオたちの前を忙しなく通り過ぎる。
数日徹夜したのではないかと思うほど目の下に刻まれた深いクマ。
シノミヤたちのいたクローンボット研究室からはこんな光景、想像ができない。
ヴゥゥゥン。
その時、何処かで機械の唸るような音がした。
音が聞こえた途端、女性の陰気な顔がさらに曇ってゆく。
「ごめんなさい、ウシオ…………」
そう呟いた女性は音から遠ざかるようにして歩みを進めた。
マオは黙って女性の後に続き、注意深くEフロアを観察する。
他の階と同じ構造。加えてこれだけの広さがあればかなり大がかりな研究が可能だ。
「部長、今までどちらにいらっしゃったんですか!?
報告が山ほどあります!
良い知らせと悪い知らせも……」
マオたちの姿を見かけ、慌てた様子で声をかけてきたのはやはり顔のやつれた研究員。
「ご苦労。
後で聞くわ。
それよりも彼女をプランBルームへ連れて行くのが先」
部長、とはどうやらこの女性の事らしい。
部長と呼ばれた女性はマオをじっと見つめて淡々と答えた。
「連れて行くって……彼女は?」
「コマイリサ。
一応、エヴァンディール計画に必要な人材」
「あぁ、あの医療クローニングの人。
だったらプランAの方に連れて……」
「いいえ、状況が変わったの。
サカキはもういない。
ナバタメくんがその後を引き継いでAとB、兼任することになった。
だから今、プランAに連れて行くのはまずい。
ナバタメくんはヨシミ所長側の人間だし、彼に目を付けられる前にこちらが先手を打たないと」
「ご存知でしたか!
なら話は早い。
先程、サカキのPCから計画に纏わるデータを全て消去しました。
バックアップはプランBルームに転送してあります。
でも……これ、ナバタメ副長にバレたらかなりまずい状況ですよ?」
「分かってるわ。
責任は私が取るつもりだし。
どのみちサカキも消えてナバタメくんが動き出した今、計画が成功しても失敗しても私たち全員が処理場行きよ」
「ですね。ナバタメ副長もヨシミ所長もどうかしてる」
「何もせず機を待つより、何か行動を起こした方が効率は良い。
彼女に事情を説明したらすぐウシオの様子を確認してくるから。引き続きよろしく」
「承知しました」
研究員は女性の言葉に頷くと足早にその場を立ち去った。
女性と研究員との会話に出てきたのはユーゼンの幹部の名ばかりだ。
地下3階の異様な雰囲気にマオはこれから何か、とんでもないことが起こりそうな予感がしたのであった。
いつも読んでいただき、応援や感想までありがとうございます。゜(゜´Д`゜)゜。
謎の女性の正体とは!?
こいつぁ、謎すぎて難しいキャラクターですね……笑
また次回も楽しんで頂けたら嬉しいです♪
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