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第74話 謎の女性

おはようございます^ ^


眠れずまたこんな時間に投稿してしまいした笑

ぜひ暇な時に見ていただけたら嬉しいです。



 

 しまった、つい熱中して時間が経つのを忘れてしまった。

 窓の外を見れば隣のビルが煌々と明るい。


 マオはテーブルの上の資料を片付け大きく伸びをした。


 ここにあった碓氷国時化.Eに関する資料は、本を含めて5件。


 やはりそのどれもがオカルトサイエンスな内容ばかりだった。


 唯一分かったのは、この人物の決め台詞のようなものだ。


 『私はこんなシケた国に興味はない。倫理感と文明の発展、どちらかを選べと言われればそれは間違いなく文明の発展だ。いい国は鏡に映して見える理想の世界、それが私である』


 おそらく相当な変わり者であったことに違いないだろう。


 ヤヨイはこの人物のどこが気になって何を見つけたのか。

 

 「ダメだ、さっぱり分からない……」


 資料の写真はいくつか撮った。後でユキトやクリオネにも確認してもらおうと考えマオは席を立つ。


 少し夜風にでも当たりながら休憩をしようか。

 不意にそう思い立ったのだ。


 最上階の資料室、その横に数段の階段。

 これを登った先にあるのが屋上。


 ユーゼンの施設の構造もだいぶ覚えてきたようだ。

 マオが苦笑しながら扉を開けると、心地よいひんやりとした風が出迎える。


 しばらくの間、マオは屋上の柵に身体を預け月を眺めた。


 満月だ。いつもよりほんの僅かに大きく感じる。


 この時間帯、この場所。

 もしかするとユーゼンの施設内では1番好きな場所かもしれない。


 初めのうちこそ違和感のあった潜入だが、それもまた悪くないと思えるほどの感覚だった。


 「…………綺麗な満月ね」


 急に抑揚のない声で誰かに話しかけられ、マオは驚いて振り向く。


 「えっ、と……いつからそこに?」


 「忘れた」


 屋上にいるのはずっと自分ひとりだけだと思っていたのに、気がつくと横に音もなく女性が現れたのだ。


 白衣を着ているのでここの研究員であることは確かだろう。

 特徴的な目の下のクマ、感情がまるっきり読み取れない虚ろな瞳。


 そんな表情とは対照的にショートヘアのクセ毛だけが風で踊っていた。


 もちろん目の前にいるのは明らかに生きている人間だが、その風貌は死人のようにも思える。


 マオの頭では寧ろ、どう考えてもそうとしか思えない。


 女性は何も言わず、ただ黙って夜空を見上げているようだった。


 「あの、ここで何してるんですか」


 沈黙の気まずさに耐えきれず、マオは何とか会話を絞り出す。


 「…………月を見ていたの。

 ちょうどあの日も、こんな綺麗な満月だった」


 「あの日?」

 

 「この場所で彼女が死んだ日」


 「え、死んだって……?」


 「理由は簡単。

 ある男が彼女を愛してしまったから。


 今思えばそれが悲劇の始まりだったのかもね」


 「一体なんの話をしているんですか……?」


 女性はマオの問いかけには答えず、ひとりで何か考え込んでいるようだった。


 何を考えているのか。

 突然、現れたかと思えば物騒な話をされて訳が分からない。


 仕方がなくただ無言で月を眺めているマオに、虚ろな瞳が向けられた。


 「コマイリサ。

 あなたは倫理感と文明の発展、どちらかを選べと言われたらどうする?」


 「えっ……」


 「アルベルト国際科学大学を出て医療クローニングを学び、ユーゼンという大手企業のAI適性検査をパスしたあなたの考えが聞きたいの」


 「どうしてそこまで知って……。

 もしかして……資料室でずっと私を見ていたんですか!?」


 「資料室で、だけじゃない。

 履歴書、適性検査の結果、あなたが医療クローニング技術を使った実験に参加したがっていたことも……全て、ね」

 

 女性はそう言うと、白衣のポケットから飴玉を取り出し口に放り投げる。


 ガリガリガリ。


 彼女の口に入ってすぐ、飴玉は咀嚼音と共に砕かれていった。


 「自分の行動や言動には気をつけた方がいいわよ。

 誰が見てるか分かったもんじゃない。


 七不思議だの噂だのは、いつの時代も人間の大好物だから。

 まぁ、違和感を感じる出来事があったら推測したがるのが脳の性分なんでしょうね……。


 時としてそれは、あながち間違いでもない」


 「目的は……。

 私をそこまで監視している目的は何ですか?」


 マオは心臓の鼓動が早くなるのを感じた。


 この女性のことは何も知らない。だが、自分がユーゼンの中で演じていた『コマイさん』を彼女は知っている。


 もしかするともう気がついているのかもしれない。


 目の前にいるのが本物の『コマイさん』ではない事に。


 「目的?

 さっきから質問ばかり。

 好きじゃないわ、疲れるから。


 でも……あなたが倫理観より文明の発展を選ぶのならいずれ分かること、か」

 

 女性は口の中に残った飴玉のかけらを全て飲み込むと話を続けた。

 

 「知っての通りユーゼンではAIが面接をして社員を決めている。私はそこからさらに、適性がある社員を見極めて声をかける役目。


 『もっと大きな、名誉ある実験に参加しないか』とね。


 例えば……あなたの上司のシノミヤさん。

 彼女は自信家で神経質、努力も怠らない。医療系の大学に通っていた記録もある。学費が払えず中退してしまったけど。介護職に就いてからも医療の勉強を続けていたそうよ。


 そして介護施設で知り合ったユーゼンの元研究員が彼女の知識の豊富さと事情を知りユーゼンを勧める。AI適性検査にパスした彼女は次第に頭角を現すようになり、室長にまで上り詰めた。


 博士号は持っていないけど経歴としては申し分ないわ。


 でも彼女には声をかけなかった。

 どうしてか分かる?」


 マオは聞き入るように次の言葉を待つ。


 「彼女の根底には『人を救いたい』という想いがあるからよ。行動はその想いに起因する。


 彼女のように真っ直ぐで綺麗な人物は私たちと関わってはいけない」


 「『人を救いたい』という想いはいけないものなんでしょうか?」


 思わず口から出た『コマイさん』としてではない、マオの本音を聞き、女性は意外そうな表情を浮かべた。


 そして今までのように単調なものではなく、心なしか子供を諭すような優しい口調で答えたのだ。


 「駄目な事ではないわ。

 本気でそう想える人間はなかなかいないもの。


 でもね、その想いが彼女を苦しめる事だってあるのよ。

 私はもうこれ以上、関わってきた人間が死ぬところを見たくないだけ」

 

 再び飴玉を口に入れ、女性は月を眺める。

 ガリガリガリ。

 

 この女性は……倫理観と文明の発展、どちらを選ぶのだろう。


 マオは死人のような女性の、虚ろな瞳の理由を考える。


 「あなたに案内したい場所があるの。

 そこで行われていることをよく見て。

 あなたの答えはそれから聞かせてもらう事にするから」

 

 女性はマオの方へ向き直ると、自分についてくるよう促した。


 試されているのだ、とマオは直感する。


 ここで怖気付いたり、気味悪がってこの場を立ち去るような人物には明かせないと暗に言っているのだろう。

 

 もっと大きな、名誉ある実験。


 女性の言葉通りならこれは、『新人類』や『エヴァンディール計画』に大きく近づけるチャンスだ。


 「分かりました」


 マオはそれだけ答えると、女性と共に屋上から立ち去った。

いつも読んでいただきありがとうございます!


ユーゼンの七不思議五つめ、『研究室のデスクにアメ玉を置いて誰もいなくなると、帰ってきた時になぜかアメ玉が無くなっている』


謎の女性がポケットから出した飴玉は誰かのデスクからこっそり頂戴した飴玉だった……のかもしれません笑


関係ありそうな出来事が2つ起こると結びつけたくなってしまいます(´∀`=)


噂はそうやって出来事を結びつけて広がっていくのかな?

なんて考えながら書いていましたwwww


また続きもゆっくりで恐縮ですが書いていきたいと思います!!

暇な時に見ていただけると嬉しいです♪


何卒、よろしくお願いします。

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