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第73話 碓氷国時化.E

こんばんは!

また投稿させていただきました^ ^


ぜひ暇な時に見ていただけると嬉しいです♪

よろしくお願いします。




 マオはユーゼンの5階にある資料室に来ていた。

 先程、クリオネに言いかけたことがどうしても気になったからだ。


 ヤヨイのデスクで見かけた奇妙な資料。

 実験の思想や、それを記した著者の考えがかなり偏っていたように感じる。

 トレースバースの実験ともよく似ていた。


 幸いなことに、ここは資料室。

 

 あの頑固な警備員から身を隠すときにも使ったぐらいだ。


 ワンフロアまるごと膨大な資料が保管されているので、よく探せばヤヨイのデスクにあった資料と同じものが見つかるかもしれないが……。


 マオはため息をついた。


 なにせ数が多すぎる!!


 下から上まで資料だらけ、入りきらなくなった資料は適当な棚を増設してそこに無理やり押し込められている状態だ。


 隠れるのには大いに役立つが、探すとなると気の遠くなるような時間が必要だろう。


 どうしようかと頭を悩ませているマオに誰かが声をかける。


 「あれ。

 コマイさんじゃーん!


 こんなところでサボり?」


 ふざけた様子でこちらに近づいてくるのは昨日、会話をした研究員。


 あのユーゼンの七不思議を教えてくれた人物だった。

 『コマイさん』と呼ばれるのは久々な感じがする。


 マオは少し表情を硬くしながら答えた。


 「調べものです。

 でもなかなか見つけられなくて……」


 「へぇ。どんなの?」


 「身体と記憶の関係性という、脳科学者に取材して作った備忘録と人間の遺伝子交配実験……?

 そんなタイトルだったような」


 どうせ言っても分からないだろうと思いながらマオがタイトルを研究員に伝えると


 「あぁ、どっちも超レアものな碓氷国時化.Eだね!

 こっちの棚。おいで」


 なんと研究員はあっさり案内してくれたではないか。


 「なっ……なんです、それ?

 ウスイ……?」


 予想外の出来事にマオの頭が追いつかない。


 「碓氷国時化.E(ウスイクナシケ.イー)。オカルトサイエンスの世界では有名なジャーナリストだよ。


 でもコマイさんが探してるのはもう廃版になってる。

 普通の書店で見つけることはまず無理だ。

 

 七不思議とかそういうのに興味持ってそうだったから知ってるかと思ってた!」


 「オカルトサイエンス?

 書店?」


 「そう!

 クローンとか死体を使った実験ってなんかオカルトっぽくて……怖いもの見たさとか、そういうのあるでしょ。


 そんな実験について本を出してるのが碓氷国時化.E。


 ほんとにそんな実験に立ち会ってんのか謎だけど、一応ジャーナリストで名が通ってるからね。


 オカルトマニアから見れば謎に包まれた憧れの存在だよ」


 研究員はある列の棚の前で止まると、上段にあった埃っぽい本を背伸びして掴んだ。


 「はい、これだよね?」


 資料……。いや本がマオの手に渡される。

 その表紙に目を移すと、見覚えのあるタイトルと共に『碓氷国時化.E』という著者が印字されていた。


 「確かにこれです。

 でも、なんでこれが?」


 ヤヨイのデスクに置いてあったのだろう。

 

 マオの言葉を聞いた研究員は声をひそめて得意気に話しだす。


 「なんでこれがユーゼンにって?

 うん、その気持ちはよく分かるよ。


 おれも見つけた時は本当に驚いた!

 だけど噂じゃあ、この碓氷国時化.Eがユーゼンに来て取材してったって話らしい。


 これはその時のお礼として出版後に、本人が直接ユーゼンへ持ってきたものなんだってさ」


 自分の言葉の意図を勘違いした研究員によって知ることになった情報に、マオは多少なりとも興味をおぼえる。


 「でもそれ、ただの噂でしょう?」


 「いやいや。考えてもみなよ!

 この資料室はユーゼンの実験内容とか、参考資料とか、論文、そんなのばっかりでしょ?


 ようは電子データ化されていない誰かの古い研究資料を寄せ集めた場所さ。


 そんな中にポツンとジャーナリストの本が置いてある。

 図書館にあった方がお似合いものが何故ここにあるんだ?


 どう考えても不自然。


 だからおれは噂が本当とみたね」


 「じゃあ……ここに書いてある研究を行ったのはユーゼンの誰だと思いますか?」


 マオは本を上げて研究員に問いかける。

 研究員は笑顔で自信あり気に答えた。


 「そりゃ幹部の誰かだな。

 ユーゼンの七不思議によれば、幹部にカルト教メンバーがいるんだから。


 あ、もしかして喜美所長だったりして!?」


 確かにあり得ない話ではない。

 研究員の言い分からマオはそう考えていた。


 「ところでこの本、いつ廃版になったんです?」


 「なんと世に出て1週間!

 超レアだろ?


 発行部数が需要に追いつかなかったのと、あまりにも過激すぎる内容が話題になってそのまま止まったんだ」


 ヤヨイのデスクに置いてあった資料はおそらくキーラボで保管していたものだろう。


 この本がマニアの間では有名で、しかもすぐ廃版になったのならやはり本自体を手に入れることは難しい。


 ただ、内容の一部ならネット上に出回っていてもおかしくはない。


 例えば本が出てすぐ、当時キーラボにいたオカルトサイエンスマニアが内容の一部を書き写してコピーした。


 それがキーラボで保管され、時が経つにつれてシミができ著者も霞んで分からなくなった。


 そうすればあの古びた資料に説明がつく。


 キーラボの資料は保管の質が悪いと言ってしまえばそれまでだが、ユーゼンでは手に入りにくかった本が他の資料に混ざって大切に保管されているのだ。


 しかもそれが研究記録というよりは、一介のジャーナリストが出した本なのだから不思議である。


 それはやはり、ユーゼンの実験内容を取材して書いた本だからなのか?


 ヤヨイは碓氷国時化.Eとユーゼンは関係があると考えていた?


 そもそも碓氷国時化.Eとは何者なんだ?


 「あの、他に碓氷国時化.Eが著者の資料ってありますか?」


 マオは頭の中に浮かんだ疑問を解決するべく研究員に尋ねた。

 片っ端から資料を読んでいけば何か分かるかもしれない。


 「ここら辺の棚、よく探せばいくつかあると思うよ」


 研究員は先程、本を取った上段の棚を指差して答える。


 「でも本として残ってるのはそれくらいだと思うけどね。


 じゃあおれ行かないと。

 ここでサボってるのがバレたらシノミヤさんに怒られるからさ。


 コマイさんも酷い目に遭いたくなければバレない程度にサボらないとね。


 あ、やべ。

 ほんとにもう行かないと。じゃあね!!」


 壁に掛かった時計を見て段々と早口になり、足早で立ち去っていった研究員。


 後で研究員にお礼くらいは言った方がいいのかもしれないな。もちろん、シノミヤにも。

 マオは自分が仮眠室へ運ばれた時のことを思い出す。


 ヤヨイもあの仮眠室にいた。そしてデスクでこの資料を読んでいたのだろう。


 こうしてヤヨイの足跡を辿っていけば会えるのだろうか。

 

 マオは近くにあった椅子に腰掛け、テーブルの上で本を広げて読み始める。


 

 

 気がつくと、外はすっかり暗くなっていた。

 

 

いつも読んでいただきありがとうございます!!

評価やブックマーク、感想もありがとうございます*・゜゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・゜゜・*


この間、自分で始めたTwitterの名前が間違っているのに気がつきめちゃくちゃびっくりしました笑

(教えてくれた紳士な方、ありがとう!!)


実は木谷天音も木屋天音も私ですwwww

たまたまやった画数占いで良い画数だったので、Twitterも木谷天音に統一しました。


こんなガサツでテキトーな人間ですが、まだ完結まで続きますのでもう少しお付き合いいただければ嬉しいです♪


評価•ブックマーク•感想などありましたら励みになります!何卒よろしくお願いします!!



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― 新着の感想 ―
[一言] 木谷さん、最後まで読ませて頂きました〜。 SFらしさのある壮大なスケールで、個人的にとても興味のある題材でした。 まだまだ物語はこれからというところで、未解決の問題が多く残っています。 ヤ…
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