表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/164

第7話 カリスマリポーター、ウシオさん!

こんにちは( ´ ▽ ` )

今日はパイレーツオブカリビアン見てから来ました。

まだ眠れないという方いたらぜひ読んで頂けたら嬉しいです笑


 「はい、では次の方はこちらへどうぞ。


アプリのダウンロードはお済みですか?

事前に送っていたQRコード、あれを読み取るとダウンロードできますからね。


 音声や動画機能をお試しの場合はアプリとクローンボットを連動させてから始めてください」


 「はい、もう済んでまーす。

これを連動してから始めればいいんですよね?」


 「左様でございます。

このアプリのマイク機能に向かって話しかけられたことはクローンボットに取り付けてあるスピーカーから発声され、クローンボットに取り付けられたレンズから撮影した動画はこのアプリの画面に表示されます。


さあ、こちらのブレインスキャナーを」


 ヤヨイは自分のスマホをポチポチと操作した後、司会者から渡されたブレインスキャナーを手に取りまじまじと見つめる。


 「ソコノウツクシイオネエサン。

ソレヲツケタラ ボクノトナリへキテクダサイ」


 声がした方を見ると、すぐそばにはウシオの操作しているクローンボットの姿があった。

 その奥でウシオ本人が手を振ってヤヨイに笑いかけている。


 「うそっ……。私に!?

そんな、夢みたい!!」


 これほど最高のシチュエーションはないだろう。

ヤヨイは目をハート形にさせながら白すぎる頬を真っ赤に染めてブレインスキャナーを頭につけた。


 ヤヨイの頭に電極が吸い付く。

すると、もう一台のクローンボットの胸についた小さなモニターが光り出した。


 『読み込み中』の文字と共に、黒い輪のマークが回り出す。


おそらくこれはブレインスキャナーを模したマークだろう。


 「後は自分の体を動かすようにご自身の脳で命令を出してください。


 そうですね……、自分がどう動きたいかを頭でイメージすると上手くいくと思いますよ」


 司会者のアドバイスのもと、ヤヨイは自分が歩いている姿をイメージした。


 するとどうだろう。先程まで『読み込み中』だった小さなモニターの表示が『運転開始』に変わりゆっくりと前へ前へと歩き出したではないか。


 「すごい、歩いた!!」


 ヤヨイは嬉しそうにクローンボットを操縦する。


 骨組みは人の形をしてはいるが、まだ実用化前だからなのかウシオのクローンボットのように塗装はされていない。


 動きはとてもなめらかでカクカクはしていないが、見た目がまるで金属製の骸骨が歩いているかのようだ。


 ヤヨイのクローンボットはそのまま歩いてウシオのクローンボットの隣までやってくる。


 生身の2人の距離はクローンボットを隔ててはいるものの、お互いの声が聞こえるくらいには近い。


 2台のクローンボットが向き合って軽く会釈をすると、ウシオのクローンボットが手を差し伸べて喋りはじめた。


 「サァ、アナタモ テヲダシテ。アクシュデス」

 「さぁ、アナタも手を出して。握手です」


 「ハ、ハイ」

 「は、はい」


 スマホに向かってそう返事をするとヤヨイのクローンボットもその言葉通り喋る。


 「えっと……、私なんかでいいのかな」


 マイクが拾わないくらい小声でそう呟いたヤヨイは思わず自分の手を差し出してしまう。


 それにつられてヤヨイのクローンボットもニュッと手を差し出した。


 「あ、そういえば私が握手するわけじゃないのか」


 「ふふ。緊張してるみたいですね。

リラックスして!」


 ウシオは真っ赤になっているヤヨイに小声で話しかける。

 そしてウシオのクローンボットはヤヨイのクローンボットの手を掴んで握手を果たした。


 途端に他の招待客から歓声が上がる。

ヤヨイとウシオを羨望の眼差しで見る者達がそこにいた。


 「皆様、いかがでしょうか。

時代は進歩し遂にはコミュニケーションがロボットでできるような時代になりました。


 望めば誰でも操ることができる。

 思えば誰でも実現可能にできる。


 それが我が社の誇るクローンボットでございます」


 司会者が満足そうな表情を浮かべて招待客に問いかけると、その場は大きな拍手に包まれた。


 「商品化の際はぜひ、皆様の元へご案内を送らせていただきますので購入のご検討をよろしくお願い致します。


 では次の方、どうぞ」


 ちゃっかりした司会者のPRで少々の笑いが起こる中、マオはステージへと登る。


 あんなに盛り上がっては私の番がやりずらいではないか! 


とは思ったものの、本当に動けと思うだけで動いてくれるロボットを実際に目で見ていささか興味が出てきた。


 テレビで見たときにはくだらないと言ってしまった手前、ヤヨイの前では口が裂けてもこんなこと言えないが……。


 「ふふっ。ウシオさんと握手しちゃった!」


 満面の笑みでステージから降りるヤヨイがすれ違い様に肩を軽く叩いてくる。


 司会者はその様子を見て微笑みながらマオに声をかけた。


 「お連れ様が楽しそうで何よりですね。

あなたはアプリのダウンロード、お済みですか?」


 「はい、その()()()()がお楽しみ中に」


 「ふふっ。そうでしたか。

では、こちらをどうぞ。


やり方はもう、お連れ様を見てお分かりいただけているかとは思いますが……」


 司会者から手渡されたブレインスキャナーをマオは頭につける。


 確か自分がどう動きたいかをイメージするだけで良かったはずだ。

 そうすればクローンボットが動く。


 先程までヤヨイが操作をしていたクローンボットへ意識を向けて、マオはそれがスムーズに歩いている姿をイメージする。


 しばらくクローンボットのモニターに『読み込み中』のマークが映っていた。

 少し長いのではないかと心配していたものの、すぐ『運転開始』に変わり前へと進み始める。


 「あ、進んだ!」


 ただ、その姿はさながら初めて歩いた赤ん坊のようなぎこちなさがあった。


 マオの動かすクローンボットはよちよちと一生懸命歩いている。


 「あれ? 難しいな。

ヤヨイさんや他の人みたいに上手く動かない」


 それを見た司会者が言いにくそうにマオに告げる。


 「申し訳ありません。漠然とイメージしてしまうととそういったケースが起こってしまうことがあるようです。

 より明確に歩いているイメージを持って動かしてみてはどうでしょうか?」


 「そう言われても………。

何をどう明確にすればいいか……」


 「頑張って」

 「ガンバッテ」

 

 戸惑うマオに近くにいたウシオとそのクローンボットが声援を送った。

 


 

いつも読んでくださりありがとうございます!

また明日もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ