第63話 print("STOP!")
こんばんは(^^)
遅くなりましたが、また投稿させていただきました!
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
宜しくお願いします♪
『sideB研究記録
心臓をロープで縛られ左右から引っ張られているような痛みだ。
これが悲しみというやつなのだろうか。
君は大丈夫だ、何も心配しなくて良いと言った。
なのになぜこんなにボロボロになってまでかばおうとする?
はやくユーゼンに引き渡してしまった方がいい。
君が傷つくのを私はだまってみていることはできない』
『side A 研究記録
問題ない。ただ2、3発殴られただけだ。
ユーゼンの喜美所長と話をしたよ。
あまり良い顔はしなかったが……。
月に2度、定期報告を行えばしばらくこちらで様子を見て良いとのことだ。
私は所長。守るべきものは多い。
君も、彼女も、他の研究員たちも守らなくてはならない。
もちろんラボもな。
私が少し殴られただけでそれら全てを守ることができるのなら安いものだ』
『sideB研究記録
世の中には理解できないことが多い。
所長とはそういうものなのだろうか。
元はといえばここは君が作った研究機関だ。
ここにいるのは君の研究や理念に賛同して集まった者たちだろう?
たったそれだけの関係性だ。
守るべきものとは少し違う気がする』
『side A 研究記録
君にもいずれ分かる時が来る。
その時が来たら、私よりもずっと立派な所長になっているのだろうな。
ただ、君は君のままでもいい。
私と考え方が違ったとしてもそれが君なのだから。
そして今と考え方が変わったとしても、それも君だ。
大事なのは自分の心。
自分が何をしたいか、感情は何と言ってるのか。
これからもこうやって自分と向き合っていくと良い。
そうだ、この件が落ち着いたら駅前のラーメン屋にでも行こう。
君にご馳走したい、味のいい店なんだ』
『sideB研究記録
ラーメン屋か。楽しみだな。
後でユーゼンの喜美所長の件で話がしたい。
もちろん定期報告は既に済ませてある。
また君が何かされるとも限らないしな。
しかし……これではまるで彼の計画に加担しているみたいだ。
私は喜美所長をよく思っていない』
『side A 研究記録
先程、話した通りだ。
申し訳ないが少し辛抱してくれ。
今は耐えるしか無いんだ。
行方不明になる前、イクシナ大臣はユーゼンの喜美所長とかなり親しくしていたらしい。
その名残でユーゼンがまだ政界の大物や各業界の主要人物と太いパイブがあれば簡単に手を出せない。
真っ向から歯向かってはダメだ。
何か方法を考えなければキーラボなんてすぐに潰されるだろう。
全く、困ったものだ』
『sideB研究記録
ひとつ提案がある。
私もだいぶ成長した。
全てではないにしろ、所長業務もある程度こなせるようになってきた。
そろそろ私に任せては貰えないだろうか。
そうすれば君は自由にユーゼンを調べることができる。
悪くない話だろう?』
『side A 研究記録
君のことは高く評価しているよ。
だがまだ早い。
時期が来れば君に全てを任せたいと思う。
こんな不安定な時に所長を押し付けるような真似は私がしたくないんだ』
『sideB研究記録
まずい事になった。
私の姿をヤヨイくんに見られた。
そして彼女は気づいてしまったようだ。
あぁ、君に黙って外へ出たのがいけなかった。
君の仕事をこっそり済ませておこうと思い立って部屋に入ったんだ。
でも君はシンポジウムがあってラボを離れていた。ラボにいるわけがなかったのに。本当に申し訳ない。
彼女は黙っていてくれると約束する代わりにある条件を提示してきた。
「ワタシにも手伝わせてほしい」と。
またヤヨイくんからの伝言を君に伝える』
『side A 研究記録
君は私とは違って随分度胸のある男だな。
私もヤヨイくんと話したよ。
過ぎてしまったことは仕方がない。
たが、協力してくれようとした事には感謝する。
ヤヨイくんは賢いからな。
守るべきものに気がついたんだろう。
そしてその為に私がどれほど非道な手段を使っているのかにも……。
私たちは今回、彼女に一本取られたようだ。
ヤヨイくんはこうなると何度止めても聞く耳を持たない。
仕方がないな。
これからはヤヨイくんにも危険が及ばないよう十分に注意して調査を進めたいと思う』
『sideB研究記録
君が不在のここ数日間、私はユーゼンについて調べていた。
やはり政治家や官僚、大手テレビ局社長、警察官と多岐に渡りコネがある。
その者たちの間では、イクシナ大臣の行方を喜美所長が知っているとまで噂されているようだ。
またユーゼンでは以前、生天目という研究者がある大物と共同で実験を行なっていた。
その大物が誰なのかは分からない。
それに私は脳科学の知識はまだ君に追いついていないしな。
だからユーゼンでの実験内容を私の理解できる範囲で説明すると、研究の末に出来上がった脳みそを死者の肉体に移植してロボット人間を作るとかなんとか……。
とにかく噂が本当であるならば私たちの方で証拠を掴んで、全て公にしてはどうだろう。
いくらあのユーゼンだって世間的に叩かれれば大人しくせざるを得ない。
これでキーラボのみんなや君にも危害が及ぶことなく、守り抜くことができる』
『side A研究記録
分かった、ひとまず噂の真偽を確かめるべきだな。
実験の内容、イクシナ大臣の行方やユーゼンの今までの動き……。
これは何か裏で大きな計画が動いている可能性がある。
ヤヨイくんの知り合いでこういった情報を扱うのに長けた人物がいるらしい。
この件はヤヨイくんたちに任せよう。
私たちはヤヨイくんが動きやすいように何か喜美所長を引きつける策を考えなければ』
『sideB研究記録
なら論文だ、論文を使おう。
君はラボの所長をする前は〈最初で最後の超一流技術師〉だったそうじゃないか。
論文のひとつやふたつ書いているはずだ。
それをネットに公開する。
喜美所長の目に留まりやすいよう君の名前を検索したら、その論文が検索サイトの一番上に来るようにするんだ。
そして喜美所長が君を気にするように仕向ける。
奴は腐っても科学者。
気になるものはとことん調べるさ。
まさか君が〈最初で最後の超一流技術師〉だったと知ればもう手荒な真似はしてこないだろう。
それとも実験に協力しろと強硬手段に出るだろうか?
もしそうなった場合は私が君の盾となる。
私はその為に存在しているのだから』
『side A 研究記録
やめろ。
そんな言い方はしないでくれ!
私はあの日からずっと自分を責めていた。
私みたいな人間が関わるべきではないと思い、自ら医療業界を去ったんだ。
それくらい後悔している。
なにせ私は自分の存在ごと消そうとしたような人間だ。
せめて、君には自由に生きてほしい。
君の存在意義は他にも沢山ある!
幸いヤヨイくんはまだ誰にも、協力者にすら君の事を話していないらしい。
だから全てが終わったら君が『私』となることも、それまでの事を忘れて自由に生きる事だってできるんだ。
その時、盾となるのは私だ。
明日、喜美所長が料亭で誰か……大物政治家と会う予定らしい。
ヤヨイくんの協力者は流石、耳が早いな。
ここで何か決定的な証拠を得ることができればすべてから解放され、ユーゼンも大人しくしてくれるだろう。
大事な局面だ、慎重に行こう』
『side A 研究記録』はこれを最後に更新が止まっていた。
いつも読んでいただきありがとうございます!
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冬に投稿を始めて、今までの投稿を見返すと思ったよりも長編になったなぁとやっちまった感が否めません笑
これからの展開、広げ過ぎた風呂敷をちゃんと畳めるように頑張りたいと思います♪
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ではおやすみなさい。




