第56話 不審者を捕らえろ!
おはようございます!
今日は寒いですね(*´Д`*)
また更新させていただきましたので是非暇な時に見ていただけたら嬉しいです。
よろしくお願いします!!
「どうですか、皆さん。
これで彼の望みも叶いました。
トレースバースの力をもう誰も疑う方はいないでしょう!」
サカキ曰くあの男性も第二の人生が始まったみたいだ。
「あぁ?
何が起こってんだ!?」
角刈りの男性は目の前の光景に呆然としている。
自分で身体のあちこちを触って何かを確認しているようだった。
「ご協力ありがとうございます、もうお帰りいただいて大丈夫ですよ。
最後まで居ても構いませんけど」
サカキがそう言うと角刈りの男性は眉を顰めた。
「本当にこれで何か変わったってのか?」
先程までの吃音混じりの話し方ではない。
それよりも寧ろ、口が悪くなっている気がする。
ユキトはステージの上を見て考え込んだ。
「もちろん、あなたは変わりましたよ。
どうかこれから素晴らしい人生をお過ごしください」
「へぇ、そうかい。
そこまで言うんなら帰るわ。どうもね」
角刈りの男性が誘導されあっさりと出口へ向かっていく。
どうやら再び席に戻る気はないらしい。
「吃音混じりの話し方が消えて、望み通り堂々と話せるようになった彼のこれからが楽しみですね。
では、次に"生まれ変わり"たい方は……」
今まで数名だった手の挙がり方とは違い、今度は沢山の手が挙がった。
サカキは仮面の下でフッと笑った。
この部屋に集まった人々の警戒心が薄れ始めているのかもしれない。
ユキトはその隙に席を立ち、屈みながら出口へと移動する。
角刈りの男性を追いかける気なのだ。
「おや、沢山の手が挙がってますね。
この調子ならもう聞く必要はない。
端の席の方から順番に参りましょうか」
挙げられた大勢の手に隠され、ステージ上のサカキからユキトが移動する姿は見えていない。
そのおかげか特に呼び止められることもなく出口へ辿り着いた。
しかし扉を開けようとユキトが手に力を込めた時、
「どこへ行くんですか」
という声に止められてしまう。
驚いて扉から離れると横には受付の女性がいる。
「少しお手洗いに」
これで通してくれるだろうか。
「ダメです、途中退室はできませんと事前にお伝えしていたはずですが?」
「すまない、どうしても行きたいんだ」
ユキトは制止を振り切って無理矢理、扉を開けた。
「ちょっと、さっきから何なんですかあなた!」
受付の女性は何とか食い止めようと必死でユキトのコートを引っ張る。
よし、今だ。
ユキトは素早くコートから腕を抜き走り出した。
「あっ!」
受付の女性がコートを引っ張った反動で尻餅をつく。
時代に乗り遅れた海賊のようなコートだけがそこに残された。
ユキトの後ろで甲高い声が聞こえる。
「不審者、不審者よ!
誰か捕まえて!!
早くしないと逃げてしまう!!」
受付の女性が大声で警備を呼んでいるのだ。
ユキトは走りながら舌打ちをする。
「クソっ!
まさか親父のホテルで自分が不審者呼ばわりされる日が来るとはな」
「居たぞ、あそこだ!」
「捕まえろ!」
声を聞きつけやってきた警備員が迷うことなくユキトを不審者だと断定する。
そもそもこの格好で走っているのが良くない。
それは俺でも分かるが、かなりまずいことになった。
再び舌打ちをしたユキトだがそれでも走り続ける。
「んもう、大人しく座っててねって言ったじゃん!
どーすんの、コレ」
クリオネが通信機越しにため息をついた。
「あんな怪しい会場で話を聞くより、角刈りの男に直接聞いた方が早い」
「警備員から逃げながらあの男を探すの?」
「あぁ、男が部屋を出てからまだそんなに時間は経ってない。きっとホテルの中に居るはずだ」
すぐにユキトを見つけた警備員複数が全速力で走って突進して来ようとする。
「おい、そこのお前止まれ!」
「俺に何か用か?」
ユキトは不意に立ち止まり振り返った。
後ろにいた警備員たちが正面、すぐ目の前まで迫ってきている。
しかしユキトは微動だにしない。
「ちょっと、ユキトさん……!?
このままじゃ捕まっちゃいますよ!」
見ていて思わず語気が強くなるマオ。それも束の間、ユキトは数歩後ろへ下がり警備員たちと距離を取る。
すると上から大きな扉がガシャンと音を立て降りてきた。
「クソっ!
防火シャッターだ」
「なぜ今降りてきたんだ!?」
警備員たちは惜しくもその目前でユキトと分断されたのだった。
ユキトと警備員たちの間には分厚い鉄の扉一枚の隔たりができている。
「ねー、マオちゃん。
ユキトくんに任せておけば安心だね。
オレたちがサカキの部屋に行った時よりもずっと派手にやってくれたみたいだし?
とても目立ってる。
なかなかセンスが良いね、お陰でこっちは見ているだけで済みそうだ」
クリオネの賞賛とも皮肉とも取れる言葉にユキトはふぅと息を吐く。
「まぁ、 お陰で追いかけっこする手間は暫くかからなさそうだな。助かった」
おそらくクリオネがすんでのところで防火シャッターを下ろしたのだろう。
ホテルの設備を乗っ取って……。
「それにしても、よく防火シャッターが降りて来るって分かりましたね?」
マオがユキトに尋ねる。
「まぁな。頭上にシャッターがあると気づいた時、赤いランプが点灯していた。防火シャッターが起動するときの合図だ」
ユキトは顎をグイッと上に向けてランプを見つめる。
さすが、ホテルオーナーの息子だ。
「とにかく早くあの男性を見つけて、このホテルから離れた方がいい。
ユキトくんの後始末はもうごめんだからね」
「よし、その辺のことは任せよう」
軽口を叩くクリオネにとぼけた様子のユキト。
ふたりは何だかんだで息ぴったりだとマオは妙に納得する。
「おい、何の音だ!?」
すぐそばの男性トイレから声が聞こえた。
ユキトがトイレの方を見ると男性が慌てて出てくる。
よほど急いでいたのか、社会の窓が開きっぱなしだ。
「あんたはっ……!!」
見間違えようもない、隣に座っていた角刈りの男性だった。
いつも読んでいただきありがとうございます^ ^
最近すっかりハマってしまったアニメに気を取られて更新が遅くなりました、申し訳ありません!!
頑張って更新します!!
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