第51話 エヴァンディール計画への同意
お久しぶりです。
今日は自分の誕生日に合わせて投稿してみました(´∀`)
また読んでいただけたら嬉しいです!
4階から階段で降りてきた団体の最後尾にクリオネが追いついたのは、ちょうど地下1階の踊り場に差し掛かった辺りだった。
跳躍からのトンっという軽い音と共に踊り場に着地する。
静かに降りるよう最新の注意を払ったので、おそらく誰も階段を降りてきた時の音は聞いていないだろう。
警備員が中央ホールにたどり着くまで、もう間もなくだろうか。
ここまで来たら彼女を動かしても問題ない。
「マオちゃん、聞こえる?」
クリオネはマイクに向かってマオへ話かけた。
「はい。あの、もう行っても大丈夫ですか。
今エレベーターが動き出しました。
多分中に警備員が乗ってます。
どうしよう、このフロアに来る!」
「分かった、すぐ階段の方へ。
4階はもう誰もいないよ」
「分かりました」
マオの声は慌てていた。
が、なんとかギリギリ間に合ったみたいだ。
「頼んだよ、マオちゃん」
クリオネは地下2階に着くと、その場にいた警備員に声をかける。
「お疲れ様です。
いやぁ、4階の空調が調子悪くて……。
色々いじってたら元に戻ったんすけど落ち着くまでの間、4階の人たちにはここで待機してもらうことになりました。
オレがついてるんで問題ないっすよね?」
「なにっ!?
ここで?
室内にいる者は全員待機という指示が出ていただろう。
早くその人たちと新入りは4階に戻れ」
まったく融通が利かなさそうな警備員だ。
オレは今、ここでサカキの監視もしなくてはならないのに!
クリオネは内心、舌打ちをしながらなんとかそこに留まる方法を考えていた。
マオはクリオネの指示を受けて階段を急いで駆け上る。
「というかこれ、階段で登る必要あるんですか?」
2階まで登ったあたりでマオは息を切らしながら音をあげた。
実は生まれてこの方、体力には自信がないと自信を持って言える。
「そう言えば言ってたなかったっけ?
ユーゼンの警備マニュアルの話」
何かで忙しくしていたのか少し経った後、クリオネからの応答があった。
「聞いてませんよ、そんな話」
「あぁ、ゴメンゴメン。
話しておかなきゃね。
ユーゼンで緊急対応があった場合、まず全警備員が地下に向かうことになってる。
そこから徹底的に巡回を行なって、エレベーターで徐々に上の階へ移動するんだ。
余程滅多なことがない限り階段を使うことは禁止されている」
「何それ?
そんなのザル警備じゃないですか!
もし泥棒とかが入ってきたらこうやって階段を使って最悪は逃げられちゃいますよ」
「でもそのおかげで警備員に会わずこうやって4階まで行けるからね。良いか悪いかは別として……。
でもあと10分もすれば警備員が4階まで辿り着く。
それまでにはPCの識別番号とデータを手に入れなくちゃ。
泣き言と警備の文句を言ってる暇はないよ、走って!」
「だから……さっきから……走って……ますよぉ」
暫くして息も絶え絶えにようやく4階まで辿り着くマオ。
気がつくと非常ベルの音はもうすっかり鳴り止んでいた。
このフロア全体はがらんとして人の気配を全く感じない。
クリオネが上手くやってくれたのだろう。
それにしても部屋数がそこそこ多い。
一体どこがサカキのPCがある部屋なのかも、まるで検討がつかない。
そしてこの柑橘系の匂い……。
「なんでここで1階の匂いが……?」
マオの呟きにクリオネが反応する。
「さっき4階で盛大に焚いたの、アロマ。
なんとか無事に辿り着いたみたいだね。
じゃあまず右奥の部屋に入って。
幹部には個室が与えられているはず。
サカキはさっき、その部屋から複数の研究員と出てきた。
だからその部屋の中に個室的なものがあればビンゴ。
そこがサカキの部屋ということになる」
「なるほど……分かりました」
息を整えて右奥の部屋の扉を開けた。
ふわっと広がる柑橘系の匂いが心を落ち着かせてくれる。
部屋の中には沢山のPCとデスク。
サカキの部屋、サカキの部屋はどこ……?
あった、見つけたかもしれない。
部屋の奥へ進むとガラスパーテーションで囲われた扉付きの部屋が姿を現す。
マオは躊躇いながらその扉を開けデスクの周辺を物色し始めた。
デスクに置かれた何かの書類には書きかけのサイン。
恐らく自分の名前を書こうとしたのだろうが、途中でペンが止まっている。
間違いない、ここがサカキの部屋だ。
そう確信したマオは素早くデスクの上に置かれたノートPCを舐め回すように見る。
「クリオネさん、サカキの部屋とPCを見つけました。
ノートPCなんですが、繋がってるケーブルに何かタグがついています!
ZXXY-0000-04って書いてますけど……これが識別番号なんでしょうか?」
マオが問いかける。
「ZXXY?
ありがとうマオちゃん!
すぐにユーゼンのサイバーシステムでこのPCとオレの端末を繋げてみるよ。
後はデータをコピーしたら5階に上がって。
そこから階段で1階まで降りれば警備員に見つからずに済む」
「分かりました」
どうやらこれが識別番号で合っていたらしい。
マオは少しホッとしたのも束の間、クリオネから渡されていたUSBメモリをサカキのPCに差し込む。
3秒、とまではいかないだろうがデータのコピーは意外と早く終わりそうだ。
待っている間、マオはサカキのデスクに置かれた書類をもう一度眺める。
一体なんの書類なのだろう。
先程目に溜まった時から気になって仕方がない。
「何これ……?
エヴァンディール計画……?」
マオが見た書類には確かにそう書いてあった。
『エヴァンディール計画に伴う脳情報提供同意書
本計画は脳波、思考、記憶など多くの脳情報が必要となります。
"本計画への協力の為、私は脳情報を提供することに同意します"』
チェックがついたこの文章の下、名前の欄にはサカキの書きかけたサインがある。
「なに……エヴァンディール計画って……」
胸騒ぎがする。
もう少しサカキのデスクを調べたら、もっと何か分かるかもしれない。
マオがサカキのデスクに積まれた書類へ手をかけた時、クリオネから通信があった。
「マオちゃん、データのコピーはもう済んだ?
今、頭のお堅い警備員が4階まで行くと言い出して聞かないんだ。
ごめん、こいつオレでも止められない。
予定より早く警備員がそっちに行きそう。
急いでそこから離れて!」
「えっ、そんな!
まだ調べたいことが……っ!」
もう少しだけ、もう少しでユーゼンが何を企んでいるか分かりそうなのに。
数秒、マオは考える。
この状態で警備員に見つかるわけにはいかない。
サカキのPCデータからエヴァンディール計画について分かることがあるかもしれないし。
「…………分かりました」
クリオネにそう返事をしたマオは急いでUSBメモリを抜き取り大急ぎで階段へと向かった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
また次回の作成に取り掛かりますのでよろしくお願いします。
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それではまた書いてきます!!




