第50話 プロの犯行手口?
こんばんは(^^)
ご無沙汰してました!
また最新話が出来上がりましたので読んでいただけたら嬉しいです。
ユーゼンの建物は地下2階、地上5階建だ。
出入り口は地下2階と1階にあり、地下のフロアは全て研究室として使われている。
そこから1階は応接フロアと中央ホール、2階にはクローンボット研究室があり、3階がオフィスフロアと続く。
5階は膨大な資料が保管されている資料室のみである。
そしてここが4階、サカキのいる研究室フロアだ。
ついに階段で目的のフロアまで到達したクリオネは立ち止まり、息を整えてある部屋の前へ向かう。
この扉の向こう側は空調機械室。
施設内の各フロアの空調を管理している部屋だ。
クリオネは先程の巡回で持たされていた鍵束を取り出し、扉の鍵を開けて部屋へ入る。
ここまで来るのに1分費やした。
オレの役目はあと残り4分でこのフロアにいる人たちを全員追い払わなければならない。
あと4分後には他の警備員が地下の巡回を終えて、中央ホールにやって来るからだ。
オレがしくじればマオちゃんは行き場を失い中央ホールで身動きが取れなくなるだろう。
今、4階にいる人数は把握しているだけでも20名。部屋数もそこそこ多い。
普通に各部屋をまわって呼びかけたとしても4分で全員を集めて移動するのは無理だ。だから……。
辺りを見渡し、クリオネはあるものを探す。
どこだ…………、あった!!
4階の各部屋へ空気が送風される大元部分の空調ダクト。
クリオネは急いでそのダクト菅の蓋をこじ開け、次に透明な液体が入った大きな瓶を懐から引っ張り出す。
それは1階の中央ホールでくすねてきたものだった。
こんな使い方をするのは非常に惜しいが、今はそうも言っていられない。
大胆に瓶の蓋を開け、中の液体を一気に全部ダクト菅へと流し込む。
そしてダクト菅についているバルブを目一杯回す、回す、回す。
残り3分。
プシューーーーっと音を立てダクト菅が熱を持つ。
注がれた液体は揮発し、勢いよくダクト菅を伝って各部屋に送られていった。
通常は回されることのないバルブを回しすぎた為か、ダクト菅の中で空気の濁流が起こっているようだ。
これなら効果も早く出始めることだろう。
「さぁて、そろそろみんな出てくる頃かな?」
クリオネがそう呟いた途端、非常ベルの音に混じり誰かが激しくむせて咳き込んだ。
「何でこの匂いが4階まで来ているんだ!」
怒号と共に勢いよく右奥の部屋の扉が開く。
間違いない、真っ先に廊下へ出てきたアイツ。
サカキだ。
その怒号の後、同じ部屋にいた研究員たちも次々と顔をしかめながら廊下へ飛び出した。
「皆さん、大丈夫ですか?
どうしました?」
原因を作った張本人がとぼけた様子で尋ねる。
「おい、警備員!
なぜ1階のアロマがこんなところにまで流れて来ている!
ここと1階は空調が別なんだろう、故障か。
それにこの非常ベルはなんだ!?
部屋が暑くなってきたが……火事なのか!?」
サカキが早口で捲し立てた。
「火事ではないみたいですよ、安心してください。
もしかすると空調設備の故障で非常ベルが誤作動してるのかもしれませんね。
おかしいなぁ。さっきまで異常なかったんですけどねぇ」
「とにかく早くなんとかしてくれ。
暑い部屋で嫌な匂いを嗅ぎ続けていたら具合が悪くなりそうだ。私は屋上へ行って外の空気を吸ってくる」
サカキが勝手に屋上へ行こうとするのをクリオネは慌てて止める。
「ちょっと待ってください!
非常ベルが鳴っているのは泥棒の可能性もあって今、警備員が下から順に点検をしています。
屋上はまだ点検が済んでいないので危険です。
安全の為、巡回が終わるまで皆さんにはまとまって行動して貰います」
「はあ? 泥棒?
だからと言ってここで待てというのか!」
サカキの額からは大量の汗が吹き出し、顔色も真っ白だ。
皆、熱とアロマに当てられたのだろう。
サカキと話をしている間に、いつの間にかフロアにいたほとんどの者が部屋から出てきて廊下へ並んで立っていた。
その数、30人くらいはいるだろうか。
各部屋から人がいる気配はもう感じられない。
そのうちひとりの研究員がクリオネに声をかけた。
「すんません、俺も限界です。
柑橘の匂いは好きだけどこのままここにいたら具合が悪くなりそうで」
クリオネはその言葉を聞き、待っていましたとばかりに素早く答える。
「分かりました。では、やむを得ない事情ということで皆さんで地下に移動しましょう。
あそこならもう巡回も済んでいて安全ですし。
先程、地下から空調設備含めどこも異常がなかったと報告も上がりました。
少なくともこの匂いと暑さからは解放されると思いますよ」
残り2分。
クリオネの一声を聞き、フロアにいた全員が安堵の表情を浮かべ自然と列を作って移動を始める。
暑さ、人工的な強い香り、不安を掻き立てるベルの音。
人は悪い環境に晒されると判断能力が鈍くなるらしい。
とにかくこの劣悪な環境から早く逃げだしたいという心理が働くのだろう。
そもそも地下から報告なんて上がっていないし、空調設備の故障というのも真実ではない。
さらに言うとこんな時、オレだったら屋上へ逃げる。
4階から地下に行くより屋上へ行った方がずっと早く移動できるからだ。
例え空調が故障していたとしても屋上なら関係ないし、警備員を先に屋上へ行かせて安全が証明されればそれで良いのだから。
しかしこの人達にはなるべく4階の近くにいて欲しくない。
万が一、これからオシゴトの邪魔をされてしまっては困る。
皆が扉を開けっ放しで廊下へ出たせいか、既に廊下にもその匂いと暑さが充満していた。
1階で嗅いだ時よりずっと濃い。
うわぁ、ひどい匂いだ。
クリオネは顔をしかめた後、警備員たちにこの事態の発見を遅らせる為、階段へと皆を誘導した。
「念のためこちらから行きましょう。
地下の出入り口があるフロアまで。
ほら皆さん、落ち着いて」
全員が4階フロアから出たのを確認する。
その後クリオネは再び空調機械室へ。
バルブを元の位置へ回し直し扉に鍵をかけた。
これで4階の空調は元に戻るはずだ。
まぁ、この香りはもしかすると暫く続くかもしれないがそれは知ったことではない。
残り1分。
クリオネは階段へ向かって走る。
「これはちょっと普通に降りたんじゃ間に合わないかもしれないな」
クリオネはそう言うが早いか、あっという間に階段の手すりに足を乗せ勢いよく手すりから滑り降りる。
勢い余って踊り場の壁にぶつかりそうになった瞬間、壁を蹴って宙へ舞った。
素早く対角の壁を蹴り返し方向転換をして階段を降りて……いや、飛んでゆく。
それはまるでサーカス団員のショーを見ているかのような華麗な階段の降り方だった。
いつも読んで頂きありがとうございます(´∀`)
今回は空調設備のこと、知らなすぎてめっちゃ調べてたら遅くなりました……。
前回中途半端に終わってしまったのに申し訳ありません。
この方法が実践で役立つのか分かりませんが、嫌いな上司がオフィスにいても危険ですので決してマネしないでください笑
評価•感想•ブックマーク•正しい空調設備についてのコメントなどお待ちしております♪
では、続きを作成して参ります。




