第45話 アズマの想い
こんばんは!
また投稿させていただきました(*´ω`*)
また暇な時に読んでいただけたら嬉しいです。
マオはたまらず、そのままドアを開けて部屋へと入っていく。
「何してるんですか……ふたりとも」
ユキトもアズマも驚いてマオの方を見る。
アズマの顔つきが徐々にいつもの優しそうな雰囲気に戻っていった。
「マオさん。
出てきて大丈夫ですか。
具合はいかがです?」
マオのそばへ駆け寄りアズマが心配そうにその顔を覗き込む。
おそらく、自分の有給休暇の理由をユキトが体調不良とでも話したからなのだろう。
それなら話を合わせるべきだとマオは察する。
「えっと……とりあえず今は落ち着いてます。
心配いただいてありがとうございます」
それを聞き、アズマはほっとした表情を浮かべた。
「そうですか。
少しふたりきりで話しませんか?」
ちらりと、マオはさり気なくユキトの様子を伺うがユキトはこちらを見向きもしない。
アズマの誘いを怪訝に思いながらもマオは承諾して部屋を出た。
残されたユキトが気掛かりだが……後でゆっくり話を聞くとしよう。
アズマは滅多に人が使っていない小さな空き部屋にマオを通すと扉を閉める。
そんなに誰にも聞かれたくない重大な話があるのだろうか。
「何でしょう?
お話って……」
この密室で沈黙の時間があるとあまりに重苦しい。
マオはその雰囲気が苦手だったので先手を打ってアズマの話を促す。
アズマも気を遣ってくれているのだろうか。
いつものような穏やかな口調で話し出した。
「いやぁ、年甲斐もなくユキトさんと喧嘩……、というか少し口論になってしまって。
マオさんにはお恥ずかしいところをお見せしました」
「どうしてあんなことに?」
「今朝、マオさんが体調不良でしばらく休暇を取ると聞きました。
ヤヨイさんのことや、そのせいでユキトさんに掴み掛かられたこと、沢山のことが重なって疲れが出てしまったんだと思ったんです。
そもそも僕はあの時の、あなたに対するユキトさんの態度に納得がいっていない。
余計なお世話かも知れませんが……その……。
ユキトさんに勝手に色々と言ってしまいました。
すいません」
「そんな、謝らないでください!
アズマさんは私のことを思って心配してくれたんですよね?
ありがとうございます。
寧ろユキトさんにはあれくらい言っとかなくちゃ分かんないですよ」
自分でそう言ってマオはじぃんと涙が出そうになる。ユキトとは大違いだ。
やはりアズマは優しい。
きっとアズマはユキトに掴み掛かられたことを気にしてくれているのだろう。
しかし真実はとてもじゃないがアズマに言えない。
結局、ユキトは誤解されたままになってしまうが仕方がないとマオは思うことにした。
「あの……マオさん。
今まで言うべきかどうか迷っていました。
でも言わせてください!」
アズマが突然、真剣な表情になる。
マオはどんな言葉がアズマの口から出てくるのか分からず、身構えた。
「突然すいません。
でも……ずっとあなたが好きだったんです」
「え……?」
今なんて……?
想像もしていなかった言葉が聞こえてきたのでマオは言葉に詰まる。
「あー、いえ……返事が聞きたいとかそういうわけではないんで気にしないでください。
ただ、ずっと想いを伝えられなかったから」
「えっと、あの、私……」
マオの言葉を遮り、アズマは首を横に振って続けた。
「これはただ、僕の自己満足です。
一方的すぎて困っちゃうでしょう?」
「いえ、そんなことは……」
アズマの悲しそうに笑う顔を見て、マオはそれ以上何も言うことができない。
「でもこれで気持ちが少しだけすっきりしました。
ありがとうございます。
マオさんもゆっくり休んでください」
そう言ってアズマは先に部屋を出て行った。
部屋に残された後でマオは考える。
アズマはなぜあんなにも悲しそうだったのだろう。
あんな悲しげな告白なんてテレビでも見たことがなかった。
もしかしてユキトのように、望んではいないが婚約者がいるという状況に置かれているのだろうか?
いや、そんな稀なことはそうないはず。
というか、まさかアズマさんが私を……。
思い出して顔が真っ赤になる。
これがよく見るオフィスラブというやつなのか。
「いやぁ、熱烈な愛の告白だったね」
突然の一言で一気に現実へと引き戻された。
「え……クリオネさん!?
今の聞いてたんですか!?」
「当たり前でしょ。
こんな面白い話、聞かないわけないじゃん。
彼、相当キミに執着してるね。
なんか見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいに」
忘れていた。
キーラボに無線通信機をつけたまま入っていたことを。
つまり、クリオネはこれまでの会話を一部始終聞いていたわけだ。
「クリオネさん……。
もうちょっと気を遣って話を聞かないようにするとか、何かできなかったんですか!?」
恥ずかしさのあまり、つい先程まで真っ赤だったマオの顔がさらに赤くなる。
「ごめーん。
オレのこの無線機さ、スイッチ壊れててずっと音声入りっぱなしなの」
いかにも棒読みでわざとらしい返事だ。
「でもさ、普通そんなに好きなら付き合ってくださいとか何とか言うでしょ。
ダメなら実力行使とか。
何でしないんだろう」
「分かりません。
アズマさんにはそれができない事情があるんじゃないですか」
実のところ、マオもそれが気になっていた。
好きです、付き合ってください。
これはよく聞く告白のフレーズだ。
好きだったのにずっとそれを伝えられなかった。
この言葉の裏に隠されたアズマの気持ちを汲み取るのは難しい。
「それにしても、あんなにキミを好きなのにただ想いを伝えておしまいっていうのはあんまり美味しくないよねぇ?」
「美味しいか美味しくないかの問題じゃありません!
これからアズマさんとどう接していけばいいのか……」
「まぁ、普通に接していけばいいんじゃない。
別に返事が聞きたいわけでもなさそうだし。
きっとその方が彼も喜ぶと思うよ」
「そういうもの、なんでしょうか?」
「さぁね。それはオレには分からない価値観だから」
本当に適当なことばっかり言ってこの人は……。
マイクが拾わない程度に小さく呟き、マオは部屋を出てユキトを探しに行った。
いつも読んでいただきありがとうございます♪
最近クロノトリガーというゲームのBGMが脳内再生されてます。
トイレ掃除する時も、茶碗を洗う時も、洗濯物を干す時も……。
いつも頭に流れるのはガルディア王国千年祭です笑
(ハッ!!)
いつも評価•感想•ブックマークなどありがとうございます。(ハッ!!)




