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第42話 難攻不落の乙女心

こんばんは^ ^

42話、完成しました。


また投稿させていただきたいと思います。

よろしくお願いします!


「そうだわ!

まだひとりデータを取っていない社員がここにいた。

日時を修正してデータを差し替えたら提出しましょう。


 そうすれば問題ないじゃない。

ねぇ、コマイさん?」


 いや、色々問題大ありだよ!

と話を振られたマオは心の中で突っ込みを入れる。


 シノミヤは今ここにいる()()()()()のデータを取る気満々らしい。そしてマオのデータと差し替えるつもりなのだろう。


 そんなことしても無意味だ。

だって同一人物なのだから。


 3万分の1の確率が3万分の2の確率になったと悩む研究員たちの姿を想像した。


 そうなるとは知らず研究員たちは皆、期待の眼差しをこちらへ向けている。


 さて、これは面倒なことになった。


 「あの……ちょっと……。

お手洗い行ってきます!!」


 よし、逃げるが勝ちだ。

マオは一目散に化粧室へ駆け込んだ。


 「どうしましょう、クリオネさん。

これは潜入中止にするべき事態ですよ」


 自分の服についてあるマイクへ話しかけるマオ。

しかしマイク越しのクリオネは能天気に笑っている。


 「別にいいんじゃない。大げさな。

クローンボットくらい操作したって……減るもんじゃないし?」


 「そうではなくっ!

お披露目会での話、聞いてましたよね。


 アレ、多分私なんです」


 「えぇ!

じゃあマオちゃん、上手く動かせなかったんだ。


 よっ! さすが3万分の1の女!!」


 「そんなこと言ってる場合じゃないですよ。

もし私がコマイさんとしてクローンボットを動かして、そのデータとお披露目会の時のを見比べられでもしたら……」


 脳波で同一人物だとバレてしまう可能性だってあるかもしれない。


 「もぉ〜、しょうがないなぁ。

今どこにいるの?


 あ、3階のトイレ?

 ちょっと一回出て出て」


 何故出るように言われたのか分からないが、何か解決策を思いついたのだろうか。


 マオはクリオネに言われた通り外へ出た。


 「一体、何をする気ですか。クリオネさん?」


 クリオネからの返事はなかった。


 代わりにこちらへ駆け足で走ってくる警備員がひとり。


 「ちょっと、このフロアは関係者以外立ち入り禁止なんですけど!」


 中低音の甘い心地良い響きのする声が廊下に響いた。



 マオが研究室から出て行った後、シノミヤが深いため息をつく。


 「私たちって何のために研究者やってるのかしらね。


 大きい会社組織にいるから結果を重視されるのは仕方ないし、そうしないと仕事が回らない。


 気持ちに余裕なんて全くないし。


 本音を言えばデータの差し替えなんてせずに、例え3万分の1の確率でもきちんと調べて原因を突き止めたいところよ」


 シノミヤのぼやきに他の研究員たちが賛同する。


 「将来性はあるけど研究者としての先行きは不安ですよね」


 「そもそもいくら匿名と言えど、クローンボット操縦者の脳波データを無断でコソコソ取るなんてこと……。


 喜美所長は何がしたいんでしょう?」


 一同がナーバスな雰囲気の中、ドアの外から呼び出しのチャイムが鳴った。


 この研究室の中へは社員証を扉の前にある機械にかざさなければ入ることができない。


 そしてこのフロアは関係者以外立ち入り禁止で、チャイムを鳴らしてくるのはごく限られた人間だけ。

 

 シノミヤは早足で入口の方へ向かい、扉を開ける。


 「あらぁ、やっぱり!

アリシマさんね。今日も巡回ありがとうございます。


 何かありました?」


 シノミヤが急に猫撫で声を発する。


 金髪に近い明るすぎる茶髪に浅く乗った警備員の帽子。

 右の耳にはゴツゴツした銀のリングピアスが3つもぶら下がっており、警備服には似つかわしくない。


 そんな浮ついた姿でここの警備を任されているのが不思議でならないが、人当たりはとても良い警備員である。


 まるで人気男性俳優並みの出迎えを受けたアリシマはシノミヤに向かってニッコリ笑いかけた。


 「どうも〜。シノミヤさん。

実はね、普段あまり見かけないコをこのフロアで見かけて。

 侵入者だと思って捕まえてきちゃったんだけど、このコ知ってる人?」


 アリシマの後ろからひょこっとマオが顔を出した。


 「え!?

コマイさん!?」


 先程の猫撫で声とは違う声がシノミヤから発せられる。


 「あのー、お手洗いから帰ってくる途中、声をかけられまして……」


 マオ自身も突然のことだったので驚いたが、この警備員の正体こそ正真正銘のクリオネなのである。


 もちろん、アリシマという名前は偽名だ。


 マオが侵入する少し前から警備員としてユーゼンに雇われていたらしいが、いつの間にシノミヤと仲良くなっていたのだろう。と言うか、いるならいると言ってくれればよかったのに……。


 マオは心中、不満を漏らす。


 「あれぇ?

やっぱシノミヤさんの知り合いかぁ〜」


 「すいません。

新入社員なんです、その子」


 「これは失礼。

そうとは知らずに……。


 でも、このコがいてくれたおかげで初めてこんなにじっくり見たよ」


 クリオネはじぃっと一点を凝視した。


 部屋の奥に一台置かれているクローンボットだ。

お披露目会で使っていたものだろうか。姿形がよく似ている。


 「まだ試作段階なんです。

あまりお見せできるようなものでは……」


 「あぁ、ゴメン。

最新の技術だしそれこそ部外者には、秘密にしないとだよね。


 でもきっとこんな最新鋭ロボットを動かすことができたときの感動って、すごいんだろうなぁ〜」


 クリオネの言葉を聞いたシノミヤは少し考え込んでいる。


 クリオネの演じる警備員は一流俳優の名演技かのようだった。


 研究員たちの置かれている状況、ユーゼンの内部、『新人類』のこと、本当は知っていることばかりなのに何も知らないフリをして無邪気に振る舞う。


 今ここにいるのは間違いなくクリオネではない。

ただひとりの警備員、アリシマそのものだった。

 

 「……少し動かしてみます?」


 「え、マジっすか!?」


 「ええ。でも決して誰にも言わないでください。

一応、機密事項なので」


 「了解。いやぁ、シノミヤさんに感謝しなくちゃ。まさか動かせると思ってなかったから!」


 これもクリオネの計算のうちなのだろう。


 シノミヤはクリオネに好意的だ。

 そして今、差し替え用のデータを欲している。

目の前にいるクリオネがクローンボットを動かせばそのデータが手に入るのだ。


 これらの条件が揃ったうえでのクリオネの一押し。


 落ちない訳がないということか。


 マオはクリオネの心理操作に圧巻させられた。


 自分に白羽の矢が立ったのを、クリオネが払ってくれたおかげで何とかなりそうだ。


 マオはひとまず安心してクリオネと共に研究室の中へ入ったのだった。


 


 

 

 

 


いつも読んでいただきありがとうございます♪


さっき地震があったので寝るのが怖いですが……とりあえずキャンプ用のランタンを枕元に置いて寝ることにします笑


皆さんも地震には気をつけて!


ではおやすみなさい。


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