第31話 イベント•リスト
おはようございます(´∀`*)
本日も投稿させていただきました。
また見ていただけると嬉しいです!
「何故だ?」
冷静に問い詰めるユキト。
支配人は申し訳なさそうにそれに答える。
「お気を悪くなさらないでください。
お客様の個人情報を守るためです。
幾らオーナーのご子息といえど、流石にイベントの参加者までお伝えするわけには……。
どうかそれが支配人という役職の責任だということをご理解の程よろしくお願いします」
ユキトは黙って息を吐いた。
支配人の立場も理解できる。
ただ、今後の研究のためという理由で個人情報を渡すわけにはいかない。
逆に言うと、今おかれている状況とクリオネが話した内容を包み隠さず伝えればきっと協力してくれていただろう。
だが、それはあまりにもリスクが高い。
なら私たちは大人しく引き下がる他ないのだ。
マオはそう考えつつもユキトが何と言うのか気になって言葉を待つ。
「分かった、今日はもう帰るとしよう。
遅くまですまなかったな」
意外だった。
意外にもユキトは大人しく引き下がるようだ。
「帰るぞ」
と一言、マオの顔を見ずに声をかけて部屋を出る。
「あっ、ユキトさん!」
予想していなかったユキトの行動に何とか追いつこうとマオは席を立つ。
「あの、ありがとうございました。
助かりました」
マオは一応、礼儀なので支配人に頭を下げた。
「いえ、あまりお役に立てず申し訳ありません。
ああ見えて悪い人ではないので……これからもユキト様をよろしくお願いします」
支配人もマオに負けないくらい深々と頭を下げた。
その姿を見て部屋を出たマオは足早でユキトを追いかける。
「ユキトさん、待ってください!」
もう真夜中と言っても良い時間だろう。
ユキトの姿をホテルの出入り口で見かけたマオは小声で声をかけた。
マオが追いついてきたのを確認し、ユキトは黙って何かを差し出す。
近づいていくとそれは先程、支配人にもらったイベント情報の記録資料だった。
「お前も一応目を通しておけ」
「分かりました。
でも、ユーゼンのイベントに参加した企業はどうしますか?
何か他の方法を使って調べることができれば良いんですけど……。
というか、何でユーゼンのイベント記録を調べようと思ったんですか?」
マオは資料を受け取りユキトに訊ねる。
「情報は多い方がいい。
今、俺の周りでユーゼンの情報を集められるとしたらここだと思っただけだ」
「なるほど……。
もしかするとこの記録も手元にあれば何かの時に役に立つかもしれないってことですよね」
「そうだ。
後でクリオネにもそのデータを送っておこう。
情報は情報屋に処理してもらうのが一番だ」
ふたりはその後、再びバイクに乗り夜の街を走った。
ユキトと自宅の近くで別れたマオは正直もうクタクタだ。
一日が飛ぶように過ぎて行く。
早く帰って横になりたい。
寝て頭の中の情報を整理したい。
そんな一心でなんとか自宅に帰り、その日は深い眠りについたのだった。
翌朝。まだあまり日も登りきっていない頃、マオは携帯の着信音で目が覚めた。
眠い中、目を擦りながら画面を見ると非通知。
まだ寝ぼけた頭で考える。
非通知?
誰から……?
マオの頭の中で思い当たる番号がないものの、とりあえず電話に出ることにする。
「もしもし……?」
「もしもーし!
おはよう、昨夜はよく眠れた?」
中低音の甘い心地良い響きのする声、男性だ。
マオはハッとして、途端に頭をフル回転させようとする。
「ク、クリオネさん!?
何で私の携帯番号……」
知ってるんですか!
と言おうと思ってやめた。
どうせまたハッキングか何だかして私の携帯番号を突き止めたのだろう。聞くだけ無駄な行為だ。
「あたり。
そして多分、キミの推測通りだよ。
携帯番号くらい朝飯前だからねぇ」
電話越しにクリオネが笑っている。
つくづく困った人だ。
「それで、ご用件は?」
マオが続きを促すとクリオネは淡々と答える。
「あぁ、キミが今持っているイベント記録のリストあるでしょ?
さっきユキトくんがデータを送ってくれて調べてたんだけど、凄いことに気がついちゃった」
「何ですか、凄いことって?」
イベント記録のリスト。
昨日の記憶がマオの中で蘇ってきた。
あのホテルの支配人に貰ってユキトに渡されたまま、まだ何も読んでいないあのリスト。
ユキトがいつの間にかクリオネに送っていたらしい。
そしてクリオネはそれをすぐ調べた。
クリオネの迅速さに意外と仕事はきっちりこなすタイプなのだと感心する。
それと同時に、自分だけゆっくりと寝てしまっていたことを反省したのだった。
「今、あのリスト見れる?」
「見れますよ!
えーっと……あった、あった」
昨夜、ポケットの中に畳んでしまっていた資料をマオは取り出した。
そういえば昨日、帰ってきてから着替えずに眠ってしまったみたいだ。資料は幸いにもシワシワになっていなかったのでマオはホッと胸を撫で下ろす。
資料を広げてみるとユキトが支配人に指示した通り、ユーゼンのイベントが中心に記載されていた。
『クローンボットお披露目会』
昨日話していた企業向けのお披露目会イベントだ。
こうして見ると割と頻繁に行われているのが分かる。
そのイベントの前後にはあまり関係のなさそうなイベントが小さく記載されていた。
『SUITS終活フェア〜賢い生前贈与を身につける〜』
『トマトファイナンス 研修会』
『オカルト同好会〜真夏の夜の恐怖体験〜』
『テン•転•転職セミナー』
ざっと目を通しただけだが特にクリオネの言う凄いことは見当たらない。
それにしても……。
「何だか名前が印象深いイベントがいくつもありますけど……これが凄いことなんですか?」
どのイベントにも突っ込みどころ満載なタイトルが付けられている。
個人的には『トマトファイナンス 研修会』と銘打ったイベントにすごく興味があるが、今は突っ込まないでおこうとマオは思った。
「そう、あたり。
マオちゃんはいいカンしてるねぇ!
情報屋になるのも夢じゃないかもしれないよ?」
「いや、別になりたいと思ってないです!」
逆に変なところで突っ込んでしまった。
クリオネはマオの返答を聞いて
だろうね。と一言、満足そうに笑う。
「まぁ、それは置いといて……。
ユーゼンはこの半年で12回クローンボットお披露目会を開いている。マオちゃん達が行ったのを含めると13回、大体月に2回くらいのペースだね」
いつも読んでいただきありがとうございます(´∀`*)
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