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第27話 一筋の希望

おはようございます(*´꒳`*)


本日も投稿させていただきました。

また暇な時間に読んでいただけたら嬉しいです。


よろしくお願いします!


 「彼はこれから新しい時代の礎となる人物だ。

君もよく知っての通り、とても優秀な研究者だった。


 だから脳の先から身体中の皮膚まで、余す事なく使わせてもらうよ」


 喜美(ヨシミ)は満足そうな瞳でカイを見つめた。


 「カイ所長、起きて!!!」


 ヤヨイの呼びかけも虚しく、カイは眠ったまま目を覚さない。


 「安心したまえ。

どこにも傷一つない。


 麻酔の効果が切れれば、じきに目を覚ますだろう」


 「やめて、お願い!!

 殺さないで!!!」


 ヤヨイは必死に懇願した。


 そんなヤヨイなんて目に入らないかのように、喜美はボソボソと呟くように言う。


 その姿はまるで何かに取り憑かれているかのような狂気すら感じた。


 「殺す?

 とんでもない!


 貴重なサンプルは丁寧に扱わなければ実験に支障をきたしてしまう。


 今から彼の脳のデータをコピーしてその行動パターンをAIにダウンロードしよう。

 外装にはその健康的な色の皮膚や艶のある髪の毛を使用して……ははっ。


 本物の人間の素材を使ったロボットが果たして作れるのか、試してみるのも一興だな。


 成功すれば病にかからず、怪我で死ぬこともないのに何よりも人間に近いロボットという矛盾が生まれることになるだろう。


 それがこの世界でどうやって生活していくのか。


 いよいよだ、究極の『新人類』がついに出来上がるかもしれない!!」


 ガシャンとカイが囲われている鉄格子の鍵が開けられた。


 「カイ所長っ!!!」


 悲鳴に近い声でヤヨイが叫んだ。


 喜美は白衣のポケットからUSBメモリに似た道具を取り出す。


 本来ならばそこはPCに差し込む端子のはずなのに、代わりに小さな針が出ていた。


 その針がカイの脳天めがけ勢いよく振り下ろされる。


 コスッという音と共にUSBメモリが光だす。


 ヤヨイは見たこともない道具がカイの脳天に刺さって頭上で光っている状況にかなり混乱していた。


 「なにっ!? 何をしているの!?」


 「ニューロンを利用して脳の膨大な情報の中から必要な情報だけをこの機械に伝達してもらっている。


 集まったデータは圧縮され、これひとつに収まる。


 なかなか便利だろう?」


 「ワタシたちを実験台にして口封じするつもりってワケね……」


 「君たちは少しユーゼンについて知りすぎてしまった。

 知ってしまったからには協力してもらうほかあるまい」

 

 「協力だなんて……これは立派な人殺しじゃない!!


人間の素材を……カイ所長を使ってロボットを作ることの意味がアナタには分かってる!?」


 ヤヨイは自分の前に立ちはだかる鉄格子を掴んで左右に力一杯広げようとするが、びくともしない。


 華奢な細腕では鉄格子の柵を歪めてそこから外へ出ることなど到底叶わなかった。


 「君は何を言っているんだ?


彼は新しい時代に対応できるよう進化するだけだよ。


 例えば携帯電話を機種変更した時、新しいものにしたら今まで使っていたものを君はどうする?


 ましてやそれが壊れかけていた携帯電話だったとしたら?」


 「それは……っ!!」


 「捨てる、廃棄するしかないだろう?

これからは人間も同じだ。


 身体(うつわ)を変えることによって永遠の命が手に入るかもしれない。


 (なか)のデータさえ完璧に再現されていればね」


 「でもそれは……もうカイ所長とは呼べない」


 「呼べるさ。

元は生身の『カイ所長』だったのだから」


言っていることがあまりにも無茶苦茶だ。

 さらに喜美は鼻で笑いながら続ける。


 「そうだ、ひとつ教えてあげよう。

ユーゼンの目的は君の調査通りだよ。


 君の推測が正しかったわけだ。


 つまり、これが我々の真骨頂!


 この研究が上手くいけば、上手くいけば私は……っ!!!」


 「ひどい。狂ってる」


 ヤヨイがそう呟く傍ら、喜美はカイの頭に刺さったUSBメモリを凝視していた。


 それから間も無くして、ピーという電子音がなった後USBメモリの光が消えてゆく。


 「さぁ、これで脳のデータは取らせてもらった。


 彼の素材を使って外装に取り掛かるのはもう少し先になりそうだ。


 その間、今までの彼にお別れでもしてあげるといい」


 カイの頭から無造作にUSBメモリを引き抜くと、喜美は再び鉄格子の鍵を閉める。


 狂った喜美を見たヤヨイはキッと怒りを瞳に宿し、冷たい顔で言い放った。


 「ご心配なく。

今からアナタの計画、全て台無しにしてあげるから!」


 喜美はそれを聞いてピクリと眉を動かす。


 「ほう。それは楽しみだ。

果たしてそんな当てがどこにあるのかな?」


 そして、ヤヨイの顔をジロジロ見ると不敵に笑った。


 「実は海外のとある研究施設の人間が、賢くて優秀なアルビノの被検体を欲しがっている。


 そこに君を紹介してあげようかと思っていてね、残念ながら君に残された時間はあと僅かだ。


 それまでに私のエヴァンディール計画を台無しにしてくれると言うのなら君の勝ちだよ」


 まぁ、どうせ無理だろうけどね。と、意地悪そうな笑みを浮かべて喜美はカイの脳のデータと共にその場を立ち去った。


 紹介、か。


 聞こえはいいが実際はその研究施設にワタシを売り飛ばす気だろう。


 そうすればユーゼンには莫大な資金が入ってくる。

後は海外でワタシがどうなろうと知ったことではない、という意味だ。


 未だにこの国の外ではアルビノが特別な存在だと思っている研究者がいるらしく、アルビノの披検体をひどく欲しがっていると聞く。馬鹿な話だ。


 ワタシという邪魔者がいなくなれば、喜美は本格的に計画を実行しようと動き出すだろう。


 そうなってはもう、この国はおしまいだ。


 そうなる前に早くエヴァンディール計画を中止させなければならない。

 

 「きっと大丈夫。

 ユキトがあのメールの意味に気がついてくれていれば、今頃はクリオネと合流できているはず。


 それならまだ希望はあるわ!」


 ヤヨイは嫌な考えを振り払い、自分にそう言い聞かせて心を落ち着かせる。


 まずはカイ所長を起こして周囲の状況を確認したいところだが、こうも両手を鎖に繋がれていては鉄格子に囲われた中でさえ移動がままならない。


 どうやってここを脱出するか考えていると不意にか細い声が聞こえてきた。


 「ヤヨイちゃん……??

もしかしてそこにいるのはヤヨイちゃんでしょ?」


 「え、誰っ!?」


 幼い子供のような声が自分を呼んでいる。


今まで聞いたことがないコロコロとした澄んだ声に名前を呼ばれ、ヤヨイは返事をしたのだった。

 

いつも読んでいただきありがとうございます(*´꒳`*)


カイ所長、出てきましたが間違いではありません!

矛盾と謎も深まってきましたが、そろそろ回収に向けて頑張りたいと思います(マオたちが笑)


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