第25話 イクシナ騒動
おはようございます。
今日はこの時間帯に投稿させていただきます!
いつもバラバラになってしまい申し訳ありません。
また暇な時間に読んでいただけたら嬉しいです。
その強者がスナック菓子の粉がついた指を舐めながらこう言った。
「とにかくヤヨイサンが調べていた事は、まともな人間がこんなチャランポランなオレとも関わりができちゃうくらいヤバい案件だよ!
だからあの人、下手に動画で内容を言えなかったんじゃないかな?
時間がなかったのもあるだろうけど。
どちらにせよキミたちがオレを尋ねてきたら調査のこと全部話すようあの人に言われている」
「それはお前がヤヨイの居場所も分かっていると思っていいんだな?」
「まぁ、そうだね。
本当は情報料欲しいところだけど……。
あの人は上客だからなぁ。
これに関してはオマケしてあげるよ!」
タバコを取り出して断りもなく火をつけたユキトは話し始める〈クリオネ〉をただまっすぐに見ていた。
「イクシナ騒動ってキミたちは知ってる?」
「イクシナ……って確かあの30年前に起こったアレか!」
「そう。よく知っていたね。
あれからこの世界ではAIやロボット、PCとかの情報システム技術が飛躍的に向上した」
イクシナ騒動。
自分が生まれる少し前に起こった話だがよく知っている。マオはその内容を思い返していた。
ある日、外の国で新種のウイルスが発見されたと思ったらそれはあっという間に世界中に広がり感染症を引き起こす。パンデミックだ。
この国でも多くの人が苦しむことになる。
だがその2年後にはこの国で大切なイベントごとが控えていた。
そう、機械万博だ。
以前から諸国と準備を進めていた都合上、中止にはできず国民からの猛烈な反対を押し切って無理に開催したのが当時この国のトップであったイクシナ大臣である。
もちろんこの頃には新種のウイルスに対抗できる術はほとんどない。
感染症にかかった人々を治療できる薬すらも開発されていなかった。
そんな中で世界中の人たちが大勢やってくる。
画期的な電子機器や目新しいロボット技術を見るためにこの国に集まってくるのだ。
「当時はあのウイルスにみんな怯えていた。
人との接触で感染が拡大する。
それなのに大人数との接触が予想される万博が開催されるのはおかしいという声が相当数挙がった。
お祭りや他の小さなイベントごとは自粛させていたのにね。
けど、イクシナ大臣は何て言ったと思う?
『人類がウイルスに打ち勝った証として開催を決定する』だってさ!
笑っちゃうよね。国民だってバカじゃない。
死者も大勢出ている最中、まだ打ち勝ってもいない状況の中でそんなこと言ってるオメデタイ奴になんて誰もついていかないでしょ」
「でも結局、機械万博は開催されてその後に爆発的な勢いで感染者が増えた。
政府は因果関係はないなんて言ってるけど実のところ、その真偽は不明なんでしたっけ?」
「おぉ、すごい!
さすがマオちゃんも勉強家だねぇ〜」
〈クリオネ〉がそう言ってマオを茶化す。
「馬鹿にしないでください。それだけ重大なことですから、知らないわけありませんよ」
ユキトはタバコの火を消して吐き捨てるように会話に加わった。
「馬鹿なのはそのイクシナ大臣だ!
その後、国民の不満から支持率が爆下がりしたせいか逃げるように姿を消したっきり今も行方不明なんだろ?」
「そうそう。政府でさえ誰ひとりとしてどこへ消えたかわからなかったんだってね。
結果として辞任という形で政界を退いて今のナルヤ大臣に変わったワケだけど……」
〈クリオネ〉は眉をひそめて続ける。
「ヘンな噂があってね。
実は機械万博を何としてでも開催したいと言い出したのは、当時イクシナ大臣と繋がりが深かったU-zen株式会社だって話なんだ。
イクシナ大臣は裏でユーゼンに操られていたのではないかとまことしやかに囁かれている」
「ユーゼンに操られているだと!?
そんなバカげた話があってたまるか。
ただの情報システムを扱う一企業だぞ」
「でも規模が大きすぎるでしょ。
あいつらのAIロボットは今じゃ警察でも使われ始めているし、オレの知る限りでは見ずっとTVの社長さんやナルヤ大臣とも繋がりがある大企業さ」
「確かに私もユーゼンの黒い噂はよく耳にします。
情報システム企業における株の買い占め、私的独占、健康な人間を使った非人道的な実験を秘密裏に行っているとか……」
マオがユーゼンに良い印象を持っていないのはこういった噂をよく耳にしているせいだろう。
火のないところに煙は立たない。
そう考えていたからでもあった。
「あくまで噂は噂だ。
いくら汚い手を使いそうなユーゼンでも流石にそこまでは……」
否定するユキトを見て〈クリオネ〉はくつくつと笑って何かのスイッチを押す。
「それがそうでもないんだよねぇ。これを見て」
ゆっくりと目の前に白いスクリーンが現れた。
今、押されたスイッチはスクリーンを下ろすためのものだったのだろう。
プロジェクターからスクリーンに映る画像が再生されると、マオとユキトはそちらの方へ目を向ける。
「ヤヨイサンは今、ここにいる」
〈クリオネ〉が指をさして言った。
白いスクリーンに映し出されていたのは航空写真の地図の一部だった。
その中で一箇所、赤い丸印がずっと点滅を繰り返している。
マオは〈クリオネ〉の指の先を辿る。
見覚えのある風景、施設。
間違いない。
「嘘でしょう!?
これってユーゼンの研究所じゃ……」
「うん、そう。
あの人にGPSを持たせておいたのは正解だった。
GPSを手放したか、死んでいなければ昨日の夜からずっとここにいることになる」
「おい、冗談でも死ぬとかそういうことを抜かすな!!
ヤヨイは生きている。今朝だってどこかの端末を使って俺にメールを送ってきたんだぞ!」
「ユキトさん。
だから落ち着いてくださいってば!」
ユキトは威嚇するような目で〈クリオネ〉を睨んでいた。
まったく、ヤヨイさんのことになるとすぐ熱くなるのだから。
マオはユキトを制すると〈クリオネ〉に話しかけた。
「〈クリオネ〉さんもヤヨイさんが死んでいるだなんて思ってないんでしょう?
敢えてそんな言い方するのはやめてください!」
「どうして?
オレは事実を言っただけだよ。
あの人の調べていることは危険すぎる。
だからGPSを持たせて、もしもの時の為に備えてたワケだし……」
「だとしてもです。
誰もそんな結果は望んでいないから」
マオは内心、不安になりながらヤヨイが無事であることを祈るばかりだ。
いつも読んでくださりありがとうございます。
今日の夢で私はハリーポッターのスニッチみたいに暴れるオレンジ(果物の)を牛乳パックに閉じ込めようとしてました笑
しかもそのオレンジ、顔がついててバカリズム似だった気がしますw
毎度、何でそんな夢になるのか分かりません。
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