第22話 謎の男との一夜
こんにちは(*´꒳`*)
先程の投稿からあまり時間が空いていませんが、また投稿させていただきました。
また暇な時に読んでいただけたら嬉しいです。
「お前が〈クリオネ〉か?
ヤヨイはどこだ?」
ユキトの眼光が鋭く光る。
警戒しているのだ。
本当にこの男がヤヨイさんの居場所を知っているというのだろうか?
だって見るからに怪しい。
ヤヨイさんとこいつが繋がっているとは到底思えない。
もしかすると実はヤヨイさんを連れ去ったりした張本人で、私たちが何かを掴んだと見て襲いかかってくるかもしれない。
油断するな!
マオの脳の奥で警鐘が鳴り響く。
「ははっ!!
やっぱりあの人に聞いていた通りの反応だ!!
キミがユキトくんで、こっちがマオちゃんかぁ。
はじめまして!!
オレがショウシンショーメーの〈クリオネ〉です」
〈クリオネ〉は明るく笑いながら答えた。
「まぁ、とりあえず立ち話も何だし?
ついておいで」
当然、マオもユキトもその場から動かない。
「ちょっとぉ〜!
そんなに警戒しなくてもいいじゃん。
この中はオレひとりだよ?
何も大勢で囲んでボコボコにする気なんて微塵もないから安心して!」
倉庫を指差して〈クリオネ〉は必死にふたりを説得する。
その手首で金属製のブレスレットがチャリっと音を立てた。
「……やっぱ帰るぞ。
こいつから得られる情報はなさそうだ。
面白おかしくおちょくられて、適当に誤魔化されるのがオチだろう。
それにこんなチャラい奴、ヤヨイと知り合いなはずがない」
ユキトは踵を返しその場を離れようとするが、〈クリオネ〉がそれを許さない。
「ちょっと待てよ!」
ドスの効いた声と肩を掴む腕の力だけでユキトを引き止めた。
喧嘩慣れしているのか拳が潰れているのが目につく。きっといくつもの修羅場を潜ってきた相当な手練れだ。
素人の目から見ても分かるような雰囲気がその行動に現れていた。
「今の聞き捨てならないな!
オレは仮にも情報屋だぞ!?
そして、お前らはあの人が信じた最後の頼みの綱だ。
いいのか?
このままここを立ち去れば絶対後悔することになる。
それが嫌ならオレについて来な!」
ユキトを乱暴に離した〈クリオネ〉は懐中電灯を取り出して倉庫の奥へと消えていった。
今の光景を見たマオは考えを改める。
彼は嘘なんか言っていない。
今の目つき、迫力。
あれは本気の目だった。
「行きましょう、ユキトさん。
彼の言ってることはどうやら本当の気がします」
「あぁ……そうだな」
ユキトも何かを感じ取ったのか、急に静かになった。
ふたりは先へと続く懐中電灯の明かりを頼りに倉庫の中へと足を踏み入れる。
「あっ!
念の為、灯りを外に漏らしたくないからシャッター閉めてきてねー!!」
ついさっきまでの雰囲気が嘘のように穏やかな口調で〈クリオネ〉が言った。
まさか二重人格なのか?
言われた通りにシャッターを下ろすと倉庫の中はより一層暗くなる。
潮の香りと同時にカビ臭い匂いがスゥと鼻を抜けていった。
一見、外からは何の変哲もない倉庫のように見えたが床下に扉があるのを懐中電灯が照らしている。
〈クリオネ〉がその扉を開けると中から下り階段が現れた。
まるで倉庫の皮を被った秘密の地下室だ。
「階段、急だから気をつけて」
マオに声をかけて〈クリオネ〉が先に降りていく。
その後ろをマオ、ユキトの順でゆっくりと続いて降りた。
「いやぁ、それにしてもあの人は凄いな。
えぇと……キミたちからはヤヨイサンって呼ばれてるんだっけ?
オレ、言われてたもん!
オレがキミたちと会ったら絶対警戒されるってさぁ。
そうしたら本当に警戒されて、なかなかついてきてくれないから参ったよ!」
だからちょっと凄んでみた、とゲラゲラ笑う〈クリオネ〉にマオは内心思った。
当たり前だ!!!
こんな派手な見た目をして夜に人気のない倉庫まで呼び出す怪しい人間を誰が初めから信用すると言うのだろうか!!
「でもさぁ、ヤヨイサンは人を使うのがうまいよねぇ。
キミたちはどっちかというと行動する前によく考えるタイプでしょ!
考えすぎて行動するのが遅くなっちゃう的な……。
いい意味で慎重すぎるって言うのかな。
あ、ディスってるんじゃないよ?
さすがは研究者って褒めてる」
褒めてるのか貶してるのか全く分からない。
私たちが研究者だということは事前にヤヨイさんからも聞いていたのだろう。
でもひとりで勝手にベラベラと喋っている〈クリオネ〉にふたりが口を挟む余地などなかった。
「オレは考えるより先に身体が動いちゃうタイプだからさ。
ホテルのベットで朝起きたらオレの隣に知らない女が寝てて……あぁ。そういえばこいつ、昨日知り合ったばっかだったなって後から考えて後悔することなんてザラなワケ!!
そういう意味では行動派のオレと考える派のキミたちでバランスの取れた良いチームになりそうだよねぇ」
最悪な例えだ。
さっきから黙って聞いていれば!
勝手に同じチームにしないでほしい。
「お前、ヤヨイとは一体どういう関係なんだ?」
眉をぴくつかせて訊くユキトの心情を察してか、〈クリオネ〉はニタニタしながら答えた。
「んー?
身も心も結ばれた超濃厚なパートナーだよ♪」
こいつ。今すぐ階段から突き落としてやろうか。
この時ばかりはマオもユキトも同じ意見だった。
そんな空気を察したのか、〈クリオネ〉が慌てて訂正をする。
「嘘、冗談!!
昔からの知り合いだからってヤヨイサンには今はオカネで雇われているだけ。
オレはここに拠点を構えているただのしがない情報屋さ!!」
「今はぁ!?
じゃあ昔はなんだったんだ!?」
ユキトからの厳しい問い詰めに〈クリオネ〉はやれやれと頭を掻いた。
「降りたら詳しく説明するけど彼女がある調査を始めたときにオレにたどり着いたんだ。
オレは昔、その調査に大きく関係している事柄のブローカーをやっていた。
だから昔は彼女と敵対する関係だったの!
もう、冗談が通じないんだから……。
これで納得してくれた?」
「あぁ、よく分かった」
ユキトはたぶん、いや絶対納得していない。
とても不機嫌な声で返事をしていた。
それを見たクリオネが肩をすくめる。
「まぁ、いいや。
着いたよ」
いつの間にか階段を下り切っていた一行は、ある地下室への入り口の前で足を止めていた。
けっこう下まで降りた感じもするが、実際には建物の階数で言う1階から地下3階くらいまで下ったところではないかとマオは推測する。
「ようこそ。
オレの拠点、『アクアリウム』へ!」
〈クリオネ〉は怪しく笑ってマオとユキトを歓迎した。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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