第19話 sea angel
こんにちは(*´꒳`*)
本日も更新させていただきます!
また暇な時間に読んでいただけたら嬉しいです。
カイ所長が去った後、マオはユキトの背中を軽くどついた。
「何が『大丈夫だ、ちゃんと許可は取ってある』ですか!?
この大嘘つき!!!
もしこれで所長に怪しまれて私たちのした事が白日の下に晒されたら……」
「完全にクビが飛ぶな」
何故かフッと笑うユキトにマオはうっすら殺意さえ覚える。
「笑い事じゃないですよ!!
私を騙しましたね!?
どうするんですか、これから!!」
「さぁな……。どうしたものか。
この件に関してはシラを切り通すつもりだったがそうも行かなかったみたいだ」
はぁ……。本当にこの人は……。
マオはすっかり意気消沈していた。
「ユキトさんを少しでも信じてついて行った私がバカでした。
もう二度と信じません」
「そう怒るなよ。
どうやら俺も自分では気づかないくらいには動揺しているのかもしれん。
なにせあんな動画を見てしまったら、いくらカイ所長に心配しなくて良いなんて言われても心配してしまうだろう」
「それは……っ!」
そうかもしれない。とマオは思った。
あれがドッキリ動画か何かでなければ今、ヤヨイの身に危険が迫っているのは確かだ。
カイ所長が確認した限りでは近くの病院に運び込まれているわけではなさそうだし。
そうなるとヤヨイは、〈クリオネ〉に協力してもらってどこかへ匿われているのか。
あるいは秘密に行っていた何かの調査を快く思わない連中に捕まってしまい……。
ありとあらゆる恐ろしい想像がマオの頭を駆け巡る。
不安を振り払うようにマオは早口でユキトに言った。
「とにかく〈クリオネ〉を探しましょう。
絶対ヤヨイさんの居場所を知っているはずです。
早くヤヨイさんの力になってあげないと……」
「探すったってどこを?」
ユキトからの問いにマオは言葉を詰まらせる。
どこを探せば〈クリオネ〉に会えるのか、正直わからない。そんなのこっちが聞きたい。
「さぁ。
〈クリオネ〉っていうくらいだから海の近くにでもいるんじゃないですか?」
「海、か……」
若干投げやりになって答えたマオの返答を受けてユキトは何かを考え込んでいた。
自然とマオの眉間に皺が寄っていく。
「やっぱりこの限られた情報だけじゃ、私たちだけで〈クリオネ〉とコンタクトを取るなんて不可能……」
「いや、そうでもないみたいだぞ。
これを見てみろ!!」
そう言ってユキトが突然慌ててマオに見せたのは自分のスマホに来ていた一通のメールだった。
「これ、たった今来たばかりのメール……?」
随分とおかしな差出人のメールである。
差出人:sea angel
件名: やっとあのファイルを見たようだね
鬚ィ歟ヤヨイの居場所が知りたければ今日PM21:00に港の第4埠頭倉庫まで↓↓
文章はそれだけで、その下に地図が貼り付けられていた。
「sea Angelって………」
怪しい、怪しすぎる。
「このメール、ラボの管理センターに宛てたものだ!!」
「どういうことですか?」
首を傾げるマオにユキトは説明する。
「設計上、管理センターにあるPCにはメールアドレスがない。
メールのやりとりをする必要性がないPCだからだ。
普通のやり方では管理センターにメールを送ることはできないが、それを無理矢理送ろうとすると警告も兼ねて俺のスマホにメールの内容が送られてくるようになっている」
「えっと、つまり?」
「こいつ、俺のシステムにハッキングしやがったかもしれない!」
ユキトの眉間にシワが寄った。
どうやらユキトがこのメールを見て慌てていた一番の原因はそこにあるようだ。
「それってさっきユキトさんが所長のPCの中を見てたみたいにですか?」
「それと似たような感じだ。
よし、第4埠頭ならここからそう離れていない。
奴のテリトリーなのかもしれないな」
「え、まさか本当に行くつもりですか?」
マオの問いかけにユキトは即座に答える。
「当たり前だろう。差出人をちゃんと見たか?」
「そりゃ、見ましたけど……確かにsea Angelは英語でクリオネという意味もありますけど……港とか埠頭とかもやっぱり海ですけど……怪しすぎませんか?」
会った途端に袋叩きに会うかもしれないし、メールを送ってきた人物が〈クリオネ〉本人とは限らないかもしれない。
「こっちから探す手間が省けたんだぞ!
どのみちメールの差出人が何か知っているのは事実だ!!
そしてズィファイルの存在にも、俺たちがそれを見たことにもたぶん気づいている」
やっとあのファイルを見たようだね。と言う文章と元のメールの宛先。
ユキトはそのふたつの事柄からそう判断したみたいだ。
まるで目の前で自分たちの行動を見ていたかのようなタイミング。
カメラか何かをハッキングで乗っ取って覗いていたとでも言うのだろうか?
マオの背中をスゥと一筋の生ぬるい風が撫でていった。
「なんだか気味が悪い。
それにこのメール、文字化けだってしてるし……」
「は? どこが?」
ぶっきらぼうに返事をするユキトにマオは画面を指差して答える。
「ほら、ここです。
このヤヨイっていう文字の手前!!」
ユキトは画面をじっと見つめた後すぐにあぁ、と納得する。
「文字が上手く表示されなかっただけだろう。
別段珍しいことでも何でもない。よくあることだ」
ユキトの返答にマオは首を傾げた。
「それにしても最近文字化けって、けっこう見かけませんか?
ネットの記事とか……メールでも。
こんなことって以前からよくありましたっけ?」
マオの疑問にユキトは鼻で笑った。
「所詮は人の作ったものだ。
完全なものなんてありゃしないだろう」
「そういうもの……なんですかね?」
「そういうもんだ」
唾をそこら辺に吐き出すように言葉を投げ捨てたユキトは話を続ける。
「とにかく俺は1人でも行く。
おまえはあの動画を見たことは忘れて、散々世話になったヤヨイの事は気にせずこのラボに残ると良い」
相も変わらずトゲのある言い方だ。
誰もそんな事は一言も言っていないのに。
「別にそうしたいなんて言ってないです。
でもそれこそユキトさんは大丈夫なんですか?
カイ所長に次、勝手な事やったらクビだって言われたようなもんじゃないですか!」
「それでも俺は行く。
ハッキングの件も気になるが、何より他にヤヨイを探す手が思いつかないしな」
そうまでしてユキトはヤヨイの力になりたいのだ。
たとえ自分を犠牲にしてでも。
そのユキトの姿勢にマオは圧倒されてしまった。
マオもヤヨイの力になりたいという気持ちは変わらない。
しかしズィファイルの動画を見た時、ヤヨイが言っていた言葉がどうしても引っかかっていた。
いつも読んでいただきありがとうございます(*´꒳`*)
今外でゴォォォォという音が!!
かなり風が強いみたいですね。
明日(今日?)は電車も運休らしいので早起きせねばっ!!
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では、おやすみなさい。




