第16話 ズィファイルの中身
こんにちは(*´꒳`*)
本日もまた投稿させて頂きます。
暇な時にぜひ読んで頂けたら嬉しいです!!
「俺は一度でも疑ってしまえば際限なくとことん疑う質だからな。
そして白黒はっきりさせたくなる。
初めっからおまえを疑っていたらまずこの部屋にすら入れさせることはなかっただろう。
ヤヨイもおまえのことは妹みたいに大事に思っている。それと同時に信頼もしていた。
だからおまえもここへ連れてきたんだ。
少しは俺の役に立てよ」
すっかり拍子抜けした。
ユキトは本当に最初から私を疑ってなどいなかったようだ。
何よりもヤヨイが自分の事を信頼してくれているという言葉がマオには嬉しく思えた。
「ありがとうございます。
ユキトさんなりの励ましとして受け取っておきますね。でも……」
「ん?
でも何だ?」
「あ、いえ………。なんでもありません」
でも絶対に敵にまわしてはいけないタイプの人間だ!
この時、マオは心の底から全力でそう思った。
「ところでカイ所長のPCはどうでしたか?」
「ダメだ、何も出てこない。
だが所長は本当にシロなのか微妙だな。
少し様子を見たいところだ」
まるでプラスチックのコップに貼ってあるシールを剥がすのに失敗してベトベトになったときのようなすごい粘りようだ。
たぶんユキトの場合、何度洗い直してもとれるような代物ではないだろう。
やはり絶対に敵にまわしたくはない。
顔をひきつらせながらマオは返事をした。
「そうでしたか」
「クソッ!!
アテが外れたな。
所長のことだから何か知っていて隠しているのなら絶対にPCを深く見りゃボロが出てると思っていたのに……」
ヤヨイがズィファイルというデータを残すぐらいだ。
所長が何か隠しているのならば、PCの中にそれに関連するものがあるはずだと考えたのだろう。
マオは先程、所長に聞いた話を思い出していた。
ヤヨイの部屋の電気がついたままだったことはもしかするとユキトも私がラボに来る前に聞いたのかもしれない。
だが、宅配便のことは?
これはやはりユキトの推測通り、カイ所長が同情して私にだけ話してくれたことであってユキトは聞かされていないはずだ。
所長には話の内容を他言しないよう一切口止めされている。
それに今、ユキトにこれを話したところで仕方がないだろう。
今は、ズィファイルの内容を知ることの方が優先だ。
ユキトがこれ以上何も聞いてこないということは収穫は大してなかったと判断したのかもしれない。
「でも所長がまだクロと決まったわけではありませんし……こっちはログインできましたからね。
覗き見るようでヤヨイさんには悪いですけど……。
で、PCのデスクトップに.zyという見慣れないファイルがありますがズィファイルってまさかこれの事ですか?」
マオがユキトに席を譲るとユキトはそれまでマオが座っていた椅子へと腰を掛け画面を眺める。
「あぁ、それだ。
普通にログインしたらまずこのファイルはどこにも出てこない。これは間違いなくズィファイルだ」
「これが……?」
マオはそれまでユキトが座っていた椅子に腰掛ける。
さりげなく席を交換し、ズルズルとキャスターを使ってPCの画面が見える位置へと移動した。
ズィファイル。
誰にも見られることのない秘密のファイルというくらいだから、てっきりダークウェブのような雰囲気的にこっそり入っていくものだと思っていた。
しかし実際に見てみるとデスクトップ上によくあるようなファイルと変わらない。
一見するとなんの変哲もないファイルのようだ。
ズィファイルにカーソルを当てクリックしたユキトは顔色ひとつ変えずにマオに言った。
「まぁ、これでひとつ収穫はありそうだな。
ヤヨイの居場所はきっとこの中だ。
何か手がかりを残してくれているはずだろう」
ズィファイルの中に残されていたのはある1本の動画データだった。
「何これ?
動画……みたいですね」
ユキトはそのままの表情でマウスを動かす。
――――――――――――カチッ。
カーソルが画面に触れクリックされた途端、動画が再生され始めた。
最初に目に飛び込んできたのは電気がついた部屋の中。
画面には薄いピンク色のカーテンやふかふかのひとりがけソファ、クラシックなローテーブル。
そのテーブルの上に部屋とは不釣り合いな段ボールがひとつ置かれている。
至ってごく普通の女子の部屋だ。
おそらくこれはヤヨイの部屋ではないだろうか。
そう理解するのに時間はかからなかった。
数秒が経ち、よいしょと声がした後で画面の下からひょっこりとヤヨイが顔を覗かせる。
『おーい。
コレちゃんと映ってるかな?
ワタシ、こんなホームビデオまがいな事とか初めてなんだけど。
あ、言っておくけれど部屋の中はあんまりジロジロ見ないでよね!?
というかもう、見えちゃってるか。
ユキトのえっち!!!』
画面の中でヤヨイがあたふたと動き回る。
そんな姿を見てマオはほっとするのと同時に懐かしく感じた。
つい昨日、会ったばかりなのに。
今日たった一日で心がぐるぐると動かされておかしくなってしまったのだろうか?
「おいおい、早く本題を話せよ」
画面に向かってそう言ったユキトも心なしか少しほっとして口元が緩んでいるように見えた。
『ふふ。ユキトはこれを見てきっと早く本題を話せ! なんて言ってるのかな?
マオちゃんもこんなユキトにつき合ってくれてありがとうね。
たぶん今、一緒にこれ見てるんでしょう?』
マオはまるで全てを見透かしているかのようなヤヨイの言葉にドキッとする。
ユキトの言う通り、やはり私がいることはお見通しだったようだ。
『これを見ているってことはユキトがワタシのズィファイルの存在に気づいて今頃、マオちゃんと2人で管理センター室にでもいるのかしら?
今から話すことは他の人には絶対に知られたくない内容だから改めて本当に2人だけなのか確認して!
はい、確認!!!』
マオとユキトはヤヨイの念押しに従い、改めて周囲を確認した。
今更誰か入ってくるわけでもないし、元々ここには誰もいない。大丈夫だ。
2人はすっかり画面の向こう側のヤヨイに釘付けになっていた。
いつも読んで頂きありがとうございます。
なんだかタイトルの割に内容が焦らしプレイになってしまった!!
皆さま、お詫び申し上げます(汗
また明日も続きますので読んで頂けたら大変嬉しいです。
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ではおやすみなさい!




