第15話 不正アクセスの片棒
おはようございます(*´꒳`*)
今日も投稿させて頂きます♪
また暇な時に見ていただけたら嬉しいです。
「まぁ、大丈夫だろう。心配するな。
いいか、ヤヨイには他の誰にも見られたくないファイルがある。
でも、俺にはそのファイルの存在に気づいて欲しいからあんな暗号めいた文章を送ってきてるんだ。
俺がズィファイルを暴く時におまえも一緒にいるかもしれないと、ヤヨイならそれも想定済みだろう」
「仮にそうだとしても……さっきから所長に何も言わずヤヨイさんのファイルを調べようとしたり、このラボの研究員がヤヨイさんの失踪に関係しているとか言ったりして、少し突っ走りすぎてませんか?
せめてどうしてそう思っているのかちゃんと納得のいく理由を説明してください!」
マオの発言の後、一呼吸おいてユキトが重く口を開いた。
「そうか、悪かったな。
まだお前にはきちんと話していない事がある。
俺は口下手だしな。
あとヤヨイみたいに立ち回りも上手くはない。
ただ、俺の口から言える事は今のカイ所長をあまり信用しない方がいい。
そう考えて動いているつもりだ」
ユキトが珍しく素直に謝った。
だがしかし、マオにはどうも納得がいかない。
「もう、ユキトさんは……。
どうしていつもこう、1つの事を解決しないまま次々と謎を残すような話し方して勝手に突っ走っていくんですか? 猪ですか!?」
「そんな事は知らん。
とにかく説明が難しいが、今朝のカイ所長には何かこう……違和感を感じた。
まるでこうなる事を最初から分かっていたような対応だった。
もし所長がヤヨイの失踪に関わっているとするならば、ラボの他の連中だって関わっている可能性がある。
どういうつもりかは知らんが、所長の考えならばと何か知っていて黙っている奴が1人くらいいてもおかしくはない」
なるほど。
所長に対する違和感を感じていたのは私だけじゃなかったのか。
ユキトはそんなカイ所長に不信感を抱いたのだろう。
ヤヨイがただの無断欠勤ではなく、何かに巻き込まれて失踪してしまった可能性が高いと所長が考えているのを薄々勘づいているのだ。
あるいは所長自身がそれに関わっているかもしれないとさえ思っている。
だからヤヨイのメールやズィファイルの事は所長に知らせないままここへ来たのかもしれない。
そして今日、偶然にもラボのPCからデータが飛んだ。おおかたユキトはそれをなんとかしてくるなどと上手く理由をつけて管理センターへ入ったのだろうな。
少し話が読めてきた。
マオは自分なりにユキトの足りない言葉を補い解釈を進めていく。
だがしかし、カイ所長がヤヨイの失踪に関わっているとはまだ断言できない。
そうなるとユキトが次に取る行動は想像がつく。
「とにかく、おまえはヤヨイのIDを引っ張り出せ!
その間に俺はカイ所長のPCを探ってみる」
カイ所長がクロかそうではないのか。
彼ははっきりさせたいのだ。
カイ所長のPCを探り、少しでもヤヨイの失踪に結びつくものが出てくればダウトをかけるつもりなのだろう。
でもだからと言って……。
「ちょっと、流石にカイ所長のPCは……。
立派な不正アクセスですよ。
そこまでしなくたってヤヨイさんのズィファイルの中身を見れば何か分かるんじゃないですか?」
『おまえは俺が不正を働いていないかそばで見ていろ』
つい数十分前にユキトから発せられた言葉が脳裏をよぎる。本当に勝手な人なんだから。
「うるさい、早くしろ!
もうラボのPCは復旧しているのに管理センター室に長居すると所長に怪しまれる。
管理システムを使える今しか所長のPCは探れないんだ。
手分けして作業を進めるしかないだろう」
マオは再びため息をついた。
「わかりましたよ。
今回だけですからね!?」
まぁ、IDを履歴から見つけ出すくらいなら私でもなんとか出来るだろう。
マオは多少の後ろめたさを感じながらもユキトの隣にあるPCの方へ移動し、椅子へと腰を下ろした。
PCが起動する。
普通のPCとはタイプが違い、コントロールを目的としているPCのようで扱いが難しそうだ。
「ログイン履歴の検索ってありますけどこれでいいんですか!?」
慣れない手つきで操作しながら尋ねるマオを見向きもせずにユキトは超高速で手を動かしながら答える。
「あぁ、そうだ!
そこにあのパスワードを打ち込んだら後はコンピューターが勝手にやってくれる。
いいか、.zyをつけずにパスワードを打ち込むんだぞ!?」
ユキトの手がカチャカチャと音を立てながらキーボードの上で踊る。
「えーと…、ズィファイルじゃないパスワードだから…… yakata-003っと」
マオがパスワードを打ち込むとすぐさまPCが反応して検索を始めた。
しばらくすると画面にはある一つの情報だけ表示される。
そこにはヤヨイの顔写真、最近ログインした日付や時間、そしてバーコードが表示されていた。
「ユキトさん、出ましたよ。ヤヨイさんのID!」
「こっちも今、所長のPCに入った。
今のところ特に怪しいデータは無さそうだ。
おまえは次はそのIDを使って.zyのパスワードでログインしてくれ」
「わかりました」
傍から2人の会話や様子を見ているときっと、とんだハッキング集団の一員と思われかねないだろう。
だが2人は手を止めない。
ヤヨイはユキトを信頼しているからこそズィファイルを託し、ユキトはマオを信用したからこそ、この場に立ち合わせているのだ。
とても奇妙な信頼関係がこの3人の間に出来上がっていた。
私も何だかんだでユキトさんなら何か手がかりを見つけるだろうと信頼してこんな事をしているわけなのだが……。
果たしてズィファイルの中身を私が一緒に見ても良いものなんだろうか?
マオはユキトへと尋ねた。
「あのー、勢いでここまで来てしまいましたけど……。
どうして急に私を信じてくれたんですか?
今朝は私を疑って掴みかかってきたのに」
ゴクリと唾を飲み込みユキトの返答を待つ。
ユキトの間に起きた心教の変化が単純に気になっていたのだ。
「あぁ?
おまえのことは最初っから疑ってないぞ?」
「えっ!?」
あまりにも意外すぎる返答にマオの手が思わず止まる。
「あれは言うならばパフォーマンスだ。
芝居だよ、芝居!
おまえを大勢の前であれくらい責めておけばカイ所長の同情が買えるだろう?
そうすればおまえになら何かポロっと知っている事を話すかもしれないと期待してのことだ。
で、収穫は何かあったか?」
「え、……えっ!?
何それ!?
聞いてないんですが……」
「だろうな、俺も言っていない」
「はぁ…………。
私をダシに使ったってことですか?」
「まぁ、そうなるな」
「いやいやいや、そうなるな。
じゃなくて!!!」
なんだか頭が痛くなってきた。
つくづくユキトという人間自体が理解できない。
いや、もう人間ですらないのかもしれない。
きっとそうだ!!
鬼か悪魔の類に違いない!!!!
「カイ所長も私もかわいそう……」
そう呟くマオにユキトはニヤッと笑いかけた。
いつも読んでいただき、感想や評価をありがとうございます(*´꒳`*)
今日は車から呪いのビデオテープみたいな異音が聞こえてきて人生終わったか?と思いきや、そのまま走らせておくと元に戻った。という超常現象を体験しました。冬は怖いですね、色んな意味で笑
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