第136話 退転
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仕事でバタバタとしている毎日ですがカロリーメイトを片手になんとか生きています……笑
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人工呼吸器が使い放題……?
私は彼らの言葉に耳を疑う。
「あまり大声を出さないでくれ。いいか、私がここでエストの治療を受けていたことは絶対に外に漏らすな」
「承知しておりますよ。だからこそ先生が早く治るよう取り計らったんです。あの医者に高い金を積んで人工呼吸器をこっちに回して貰うのは大変だったんですから!」
「冗談はよしなさい。実際はそうでもなかったのだろう?」
「あら、バレちゃいましたか。あの医者も終わってるよなぁ。最初は重症患者を優先するって聞かなかったのに。机にどんどん札束積み上げていったら、ちょうどこのくらいのところで目の色が変わったんですよ」
男は手を胸の高さまで持ってくると、馬鹿にしたように笑うのだ。
「あぁ…………ああ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
私はたまらず大声をあげ、背を向けて立ち去ってゆく男に勢いよく掴みかかる。
「何をする!? このご時世によくもまぁ汚い手で……っ、私に触れるな!」
先程まで意気揚々と話していた男が驚いたような表情を見せた後、すぐさま顔を顰めた。
男によりあっけなくその汚い手は引き剥がされ、反動で地面を転がる私。
「芽衣は……あんたたちのせいで死んだのか」
「はぁ!? 何を言ってるんだあんたは?」
「残酷すぎる。こんなのはあんまりだ。芽衣が……どんな思いで最期を迎えたかっ!! 神は……、神はいつだってこんな仕打ちを……」
「ふんっ、頭のおかしい奴め。非常識にも程がある!!」
男は声を荒げる。
スーツのポケットから消毒スプレーを取り出した男は自分と、私にも向けてそれを噴射した。
「おい君たち、頼むからあまり事を荒立てないで欲しい。今ここで目立つわけにはいかない」
それまで黙っていたもうひとりの男が見かねて私たちのもとへと歩み寄る。彼は私のただならぬ表情を見て、すぐに状況を理解したらしい。
「なるほど。君が医者の言う、重症患者の血縁者か何かかな?」
悪びれた様子もなく淡々と私に問いかける。
だが私もその男の顔を見た途端、すぐに状況を理解し、悟った。
――――あぁ、そうか。
そういうことだったのだ。
嫌でも現実が突き刺さり、やり場のない怒りが込み上げてくる。
「人間なんて……人間なんて…………っ! みんなこの世から消えて無くなってしまえばいいっ!! なぜ芽衣を見捨てた? なぜ誰も助けようとしなかった!? 己の保身に走り平気で苦しむ者を見捨てるような奴らは皆同じ目に遭えばいい。救うだけの力がない無能な奴らは……全員消えろ、消えろ、消えてしまえぇぇぇぇ!!」
それまで消毒スプレーを執拗に噴射していた男は、冷静とは言い難い私の様子に肩をすくめる。
「こりゃダメだ、行きましょう先生。こんなのに構っていてはキリがありません。この人、きっとエストで頭がやられちゃってるんですよ」
「待ちなさい」
先生と呼ばれた彼は男を制止し、品定めするように私を見つめた。
「人工呼吸器の件は謝ろう。どうしてもここで死ぬわけにはいかなかったのだ。君は命の恩人、君の大切な人の命で私が生きながらえたのは事実。まずは礼を言う」
あっさりと頭を下げた彼に私は驚き、少しだけ冷静になる。
「あなたのした事は間違ってる。こんな汚いやり方で生き残ったところで誰が納得するというんです!?」
「そうだ、全くもってそこなんだよ」
彼の返答は思いがけないものだった。
そして私に近づき、あの言葉を囁くのだ。
「君にとってこの世界はどう見える? 私にはひどく澱んで、腐って見える。この世界という大きな箱に閉じ込められた人間たちには空気の入れ替えが必要だ。人工呼吸器のことだって本当に悪いのは誰だ? 金や権力……くだらないものに呑まれた挙句、自分の信念をねじ曲げた医者は悪くないというのか? 君はどうだ? 己の信念を貫き通そうとしたことはあるか?」
私は答えることができなかった。
もし機会万博を選んでいたら家に一切帰ることなく、芽衣とも喧嘩をしなかったかもしれない。そうすれば芽衣があの万博ホールに来ることもなかった。
芽衣を選んでいれば……彼女との幸せな日々をもっと永く過ごすことができたはずだ。彼女がエストに罹ることすらなかったのかもしれない。
「私は……結局どちらも選ぶことはできなかった。その結果、どちらも失ってしまった。中途半端な私には芽衣との未来も、機械万博での成功も……どちらも手に入らなかった……」
「機械万博? 君はその関係者か」
虚ろに答える私の顔を彼が興味深そうに見つめる。
「脳科学者です。展示品を出す予定でした」
「そうか……機械万博に展示品を……」
私にはその時、彼が何かを考え込んでいるように思えてならなかった。
「大切な人との未来と機械万博。君がそのどちらも手に収めるには、もっと大きな力が必要だった。この国を動かせるくらいの力が。なぁ、憎くはないのか? 復讐したくはないか? 君にこんな仕打ちをした奴らに、世界に……、神に!!」
私の目は憎悪に燃え、身体中を巡る血が熱くなる。
「憎い……、この世の理不尽が憎いっ! 何より……なんの力もなく、どちらも選ぶことのできなかった自分自身が一番憎い」
「そうか。いい目をしている」
満足そうに彼は笑う。
「もし君が私についてきてくれるのなら、世界を変えられるほどの力を君に貸そう。ここで会ったのも何かの縁だ」
「力を貸す? なぜ私に……?」
「身の丈に合わない強欲さ、憎悪を宿すその目が気に入った。この世の理不尽に復讐がしたいんだろう? なら私の力を使って君の信念がどこまで貫き通せるか、試してみるといい」
ずっと神の力に叶うはずがないと諦めてきた私。
神はいつだって…………。
彼と出会ったことでそんな私の世界が一変した。
「私はな、澱んで腐ったこの世界を作り変えたいのだよ。そのためならどんなことでもする覚悟がある」
「どんなことでも?」
「あぁそうだ。まずは君に私の人生……、私の世界そのものを賭けてみようか」
「賭ける……?」
「そう、これは私たちの賭けだ。勝てばこの世を統べる神に、負ければただのテロリストに。さぁ始めようか。私たちの世界を賭けた大博打を」
床に這いつくばった私へ真っ直ぐに、迷いなく差し出された手。
私はおずおずとその手を掴んだ。
「あの……あなたのことはなんとお呼びすれば?」
立ち上がった私が彼に訊ねると、彼は口角を上げてこう答えたのだった。
「そうだな、碓氷国時化.E。これからは碓氷と。そう呼んでくれて構わない」
〜ある日の私の脳内〜
「そう、これは私たちの賭けだ。勝てばこの世を統べる神に、負ければただのテロリストに。さぁ始めようか。私たちの世界を賭けた大博打を」
デデーン!
ー♪BGM(志方あきこ うたかたの花)
が流れてきておぉ、これはピッタシ!!!!
とワクワクしながら書いてました笑
(ちゃっかり好きな曲ww)
通勤中のイヤホンタイム、重要ですε-(´∀`; )
ではまた続きを書いてきたいと思います。




