第134話 神はいつだって……
こんにちは^ ^
また投稿させて頂きました。
ぜひ暇な時に読んでいただけたら嬉しいです♪
よろしくお願いします!!
『こんにちは、お昼のニュースです。新種ウイルスS-10.の集団感染が相次いでおり、現在国内の総患者数は5万人を超えると想定されております。
また機械万博開催予定地でも集団感染が発生し、以久科洋助大臣はこれを受け『万博は断念せざるを得ない』との見解を示しております。
今後の動きに注目が集まる中、以久科大臣を乗せた政府専用機がいま国外へ向けて飛び立ちました!
大臣はエスト対策のための査察と、機械万博に関わる予定調整を行うために各国を訪問するとの事です。また詳しい情報が入り次第、お伝えさせていただきます』
「この数日で凄いことになった。ここはもうエストの巣窟だよ」
所長がテレビを見ながらひとりごとのように呟いた。
「にしてもこんな時に国外を訪問だなんてなぁ……。大臣は何を考えてるんだか。喜美くんの奥さんもここへ来てたけど、大丈夫だったのかい?」
「はい、おそらくは。ここ数日顔を見てませんでしたが、電話した時は元気そうでしたので」
「万博が開催しても良いように泊まり込みで準備してたそうじゃないか。駄目だよ、ちゃんと帰らないと」
万博ホールに芽衣が来てくれてから数日が経つ。しかし私はあれから芽衣と顔を合わせていなかった。
くだらない展示品に拘って家に帰ろうとしなかったのだ。
今思えばこれが最大の、私の過ちだったのかもしれない。
そうとは知らず喜美維吹はどうやらまだくだらないことに拘っているらしい。
「帰るだなんて、そんなわけにはいきません。国の一大イベントですから。私を応援してくれた芽衣のためにもここで諦めるわけには……!」
「でもね、以久科大臣がああ言ってるんだよ。もう帰りなさい。しばらくは自宅待機だ。万博に参加するはずだった研究機関の人間だってここにはもう殆どいない。このホールに残ってるのは私と君、その他研究員が数名程度。みんな撤収作業を始めてる」
「撤収って……まだ大臣は予定調整を考えているんでしょ……!?」
所長は大きくため息をつき、首を横に振った。
「上からの指示は何も来ていないがこの状況での開催は到底、考えられない。喜美くん。君はよく頑張ってくれたよ。ありがとう」
喜美維吹は恨めしそうに所長を見つめる。
芽衣に……芽衣に会いたい。
彼女なら私の話を聞いて、何と言ってくれるだろうか。
所長がその場を離れてからすぐ、携帯電話を耳を近づける喜美維吹の手には力が込められた。
長いコールの後に聞こえてくるのは芽衣の穏やかな声。
「どうしたの?」
その声を聞き、喜美維吹は堰を切ったように話し始める。
全く、自分の事しか考えていない何と愚かで馬鹿な男だ………私という人間は。
「芽衣、しばらく家に帰って来られなくてすまない。僕は今日から自宅待機になった。みんな機械万博の開催を諦めているんだ。僕は……僕に出来ることはもう、何もなくなってしまったよ」
「そう? じゃあ帰ってきてよ、喜美さん」
「えっ?」
おかしい。
あの時の私でも流石に芽衣に違和感を感じた。
芽衣が私のことを『喜美さん』と呼んだことは一度もなかったから。
「帰ってきてよ。ねぇ、帰ってきて。違う……駄目。帰ってきちゃ駄目、絶対に帰らないで、維吹さんっ!!」
携帯電話が切れる直前に聞こえた芽衣の奇声。
やっぱり芽衣の様子がおかしい。
何か嫌な予感がする。
その後のことはよく覚えていなかった。
喜美維吹は万博ホールを飛び出し自宅に向かって走る。
それから…………家に着いた時、目にしたのはリビングの床に横たわる芽衣。
身体は熱く、息も荒く、か細い腕にはキッチンでよく使われていた包丁が刺さったまま倒れている芽衣であった。
「芽衣……、芽衣っ!!」
私は芽衣を抱きかかえ、訳も分からずに彼女の名前を呼び続ける。
芽衣を抱える腕に血がついた。
真っ白な白衣が真っ赤な血で滲んでゆく。
太陽に向かって凛と咲く向日葵は、その身から赤く流れ出たものに染まっていたのだ。
その光景だけは……今でも鮮明に覚えている。
忘れることなんかできないくらいに。
芽衣は私の呼びかけにピクリと瞼を動かして薄目を開く。
「悪魔め。悪魔、悪魔だ。お前は悪魔だぁぁぁぁ!!」
まるで地の底から絞り出すような芽衣の声に、私は呆然として動くことができなかった。
暴れる芽衣の爪が私の頬を引っ掻き、顔から血が伝って流れ落ちてゆく。
それから…………暫くして防護服に身を包んだ救急隊がやって来ると、私たち夫婦を救急車に乗せた。
私が救急車を呼んだのだろうが、もう記憶にない。
混乱していてそれどころではなかったのだ。
「ええ、エスト感染の疑いがある患者2名です。1名は体温36.5℃無症状、もう1名は体温39.5℃、ウイルスが脳に到達した可能性あり。異常行動が見られたのち意識不明。至急、受け入れをお願いします」
私が……芽衣が……エスト?
目の前にいる救急隊員の言葉を信じることができなかった。
だって芽衣は……数日前まであんなにも元気そうだったじゃないか。私を抱きしめて……笑ってしまうような途方もない夢を応援してくれたんだ!
こんなこと、あって良いはずがない。
病院へ向かう救急車の中、私はだらんと伸びる芽衣の手を強く握った。
神はいつだって横暴だ。
その大きすぎる力で、人間の幸せをいとも簡単に蹂躙し嘲笑う。
悔しい。
私には芽衣を救ってやることなど、出来はしなかった。
それから…………。
――――芽衣がエストに感染しているとはっきり判明したのは、数時間後の検査結果が出てからだった。
いつも読んで頂きありがとうございますT^T
相変わらず真央•マオに続き、私•喜美維吹にこだわってる今日この頃ですwwww
(変なこだわりでルビやら視点やら傍点を存分に使って表現したくなる笑)
過去の喜美の夢を見る今の喜美。
それは彼の脳が行う記憶整理の一時。
私(今の喜美)と喜美維吹(過去の喜美)は同一人物ですが、ある日を境に考え方が変わってしまいました。
本人が過去の自分と今の自分を混同させ、感情的になる様を楽しんでいただけたら嬉しいです!
(もしかすると喜美維吹が段々と私に近づいていってるのかも笑笑)
※読みづらくて申し訳ありません。脳科学をフィールドにしたら完全に自分好みのシチュエーションができそうだったので一度、書いてみたくなりました笑笑
また続きを作成しに行ってきますっ!!




