第127話 リプレイ
こんばんは^ ^
また投稿させて頂きました。
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頭からひんやりとした感触が伝わってきて、マオは目を覚ます。
ここは……?
自分の身体はキーラボの仮眠室の寝台に寝かされており、広げられたブランケットが掛けられていた。
ゆっくりと頭の下に手を入れて何かを掴んだマオ。
氷枕だ。冷たくて心地の良い感触はこれだったのかとマオは納得する。
いつかの記憶のような夢を見ていた。
いや、あれは真央の記憶そのものかーーーー。
混同する夢と記憶にマオは身体を起こしてもう一度、頭の中に刻まれたあの光景を再生するのだ。
カイ所長とテロメアは、マオの記憶を消したことを隠していた。
あの光景はまるで、彼らが研究記録の中でやり取りしていたことをその場で見ているかのように繊細で、鮮明で……。
これを真央の脳が見ていたとでもいうのか?
だから知っていたのだろうか?
真央はキーラボに一度来たことがある。
それならカイ所長やヤヨイ、ユキトには一度会っているのだ。
自分はハイパーサイメシアの脳を持っていながら、何故それが思い出せないのだろう。
記憶を消されたせいなのか、プロテクトのせいなのか。自分の脳に何が起こっているのか分からない。
まだ覚醒しきれていない頭でマオはなんとか考える。
テロメアとカイ所長は〈最初で最後の超一流技術師〉が書いた論文を使って、喜美をキーラボにおびき寄せた。それはヤヨイが動きやすいよう、喜美を引きつける策として取った行動だったのだろう。
ヤヨイはテロメアと出会ってから真央の真実について知ることを望んだ。そこで彼女は真央が死んだという事実を知り、クリオネとも出会ったことでこの一件にどんどん関わらざるを得なくなってしまったのだ。
では真央は何故、死んだのか。
カイ所長とテロメア、そしてヤヨイはひとつの研究テーマを追い求めるようにして、数年前からずっと答えを探し続けていた。その先には喜美の手によって心を壊されたアズマがいるとは知らずに……。
ユキトだってそうだ。ヤヨイが何か調べていたことを薄々感じ取った。だからズィファイルなんてものをヤヨイに教えたのだろう。それだけではない、ユキトはマオが作られた存在であることまで知っていたのだ。それを今までずっと、マオには気取られないように振る舞っていた。
吐き気がする。
みんな初めから、何ひとつ話してくれようとはしなかった。誰かを守るのに自分勝手なのにも程がある!
ひとりの研究員の死が、みんなをここまで苦しめてしまうとはーーーー。
遠くの方で頭をコツコツと叩かれるような痛みがして、マオはこれ以上考えることを止めた。
寝台からふらふらと立ち上がり、夢遊病さながら仮眠室を立ち去るマオ。
どこか落ち着ける場所へ行きたい。
その一心でドアノブに手をかけていたのは、屋上へ繋がる扉であった。
時刻は18時25分。
おかしい。自分の感覚では朝食を食べたのはつい先程だったはず。
近くにあった壁掛け時計を何気なく確認して、マオは首を傾げながら外へ出た。
あれ、もう外が暗い……。
ビルの隙間から厚い雲に覆われた太陽がぼんやりと沈もうとしており、それを見てやっと自分が長いこと眠っていたのだと思い知らされる。
ユーゼンの屋上から見るよりも少しだけ遠くなった空を眺め、マオは大気の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
「君の将来が楽しみだな。小さな科学者さん」
朧げに、マオの脳裏には見たことのない記憶が浮かび上がった。これは……、真央が6歳の時の記憶。
初夏の太陽の匂い。色とりどりの国旗の装飾、大勢の人が会場を行き交う喧騒、話し声。賑やかな雰囲気。そして両脇に並べられた夢のような展示物たち。
これは……、機械万博の展示物『お化けと意思疎通が取れる電話』の前にずっと立ち尽くし、不思議そうに見つめている少女へ送られた言葉。
声をかけてきたのは白衣を着た優しそうなお兄さん。万博のスタッフか何かだったのだろう。
どうして突然、自分の幼い頃を懐かしむかのようにこんな記憶を思い出したのか。
オーバーヒートを起こしたことで、自分の脳に何か変化があったのかもしれない。
マオはため息をつく。
人は変わる。だが何年経っても、脳の仕組みは分からないことだらけなのだ。
その仕組みを少しでも理解しようと努力し、トレースバースを作り上げた真央は……凄い。
また自分と真央を比べそうになっていると気がつき、マオは慌てて目をギュッと閉じてその考えを振り払うのだった。
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食べたい、食欲の春です笑
ではまた続きを書きにいきたいと思いますっ♪




