表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/164

第123話 アズマの独白

おはようございます。

また今日も投稿させていただきました。


ぜひ暇な時に読んでいただけたら嬉しいです!

よろしくお願いします♪


 「碓氷国時化.Eって何者なの。そんなに偉い人?」


 ヤヨイが不思議そうな顔をマオに向ける。


 「碓氷国時化.Eはオカルトサイエンスのジャーナリストです。ある研究員の話だとユーゼンに取材に来たって噂があるらしいんですが、ヤヨイさんはあれをキーラボの資料室で見つけたんですよね?」


 マオの問いにヤヨイはこくりと頷いた。


 「手がかりを見つけに資料室へ行ったの。年代を遡って奥から順番に資料を読んでいった。途中で躓いた時に掴んじゃった資料があったから少しだけ目を通したらね、それが生天目の実験と似てる気がしてきて。でもシミだらけだし文字が霞んでるし、なんか汚いから後で読もうと思ってとりあえずデスクに持って来たんだけど……」


 「なるほど、それで引き出しの前にもあんなにたくさんの書類が……。片付けるのに苦労しました」


 マオが苦笑して引き出しからUSBを見つけた時のことを思い出していると、ユキトが遠くを見て呟く。


 「あぁ、そういえば俺も片付けるのには苦労したな。どうしてお前の部屋のクローゼットから世界の珍味図鑑なんてものが10冊も出てくるんだ!? 何でも引き出しやらクローゼットに仕舞えば良いってもんじゃない」


 ヤヨイの頬が途端に真っ赤に染まった。


 「仕方ないでしょ。考古学者の両親がたまに送ってくるんだもん。あんなのどうすれば良いか分かんないよ!!」


 確かに。

 

 それにはマオも同情せざるを得ない。


 「あれ? もしかしなくてもユキト、ワタシの部屋に入って勝手にクローゼット開けたよね!? 嘘でしょう、やってることがヘンタイそのものよ!」


 「違うっ、誤解だっ! 俺はあの段ボールに入った資料を探しに部屋に来て、掃除して帰っただけだ。それを言うならテロメアだって俺に協力しただろう!」


 「掃除って……ワタシの部屋、そんなに汚かった?」


 慌ててテロメアに縋るような目を向けるユキト。

 しかしテロメアはそっとそっぽを向いた。


 「私は何も知らない」


 自分に救いの手が差し伸べられなかったユキトは舌打ちをして、額に手を当てる。


 「クソ、だいたい何なんだ!? 部屋に置いてた資料もあのUSBの中身もお前は目を通して知ってるんじゃないのか。ならそれを暴露してもうとっととこんなこと終わらせてしまえば良い」


 「ダメです! ここで慎重にならなければ、真央さんやイオリのやってきたことが無駄になってしまうっ!!」


 咄嗟に声を発したアズマをユキトがキッと睨みつける。


 「元はと言えばお前のせいだぞ! なぁ、そろそろ話してくれないか。お前はどうやってヤヨイの部屋に入った? なぜ内通者なんて……。ガキじゃないんだ、お前のした事がここにいる全員を危険に晒したことくらい理解してるよな?」


 八つ当たりも多少含まれていたのだろう。

 ユキトの言葉に棘を感じたヤヨイが止めに入った。


 「やめてよ、ユキト! ワタシだって月城先生から送られた資料は読んだけど、USBの中身は詳しく知ろうとしなかったの。クリオネに任せっきりにしてしまった」


 「あぁ、そうだな。お前がUSBの中身を知らないのは当然だ。どうせそこらじゅうに書類を広げすぎて、USBを入れた引き出しが開けられなくなったんだろう。お前はツメが甘すぎる。だからアズマにしてやられたんだ」


 ユキトの辛辣な嫌味にヤヨイは唇を噛む。


 「そうね、確かに甘かった……。それに怖くもなった。真実を全て知ってしまうことが。もっとワタシがしっかりしてれば、マオちゃんやユキトを巻き込むことなんてなかったかもしれない。だから、アズマくんひとりを責めるべきじゃないよ」


 ヤヨイはそう言ってアズマの方へ身体を向けた。


 「ねぇアズマくん、マオちゃんが言ってた。あなたはエヴァンディール計画に進んで協力してるわけじゃないって。あなたも誰かを守る為に必死だったのよね。それがユーゼンの内通者をやってた理由……違う?」


 訊ねられたアズマの唇は色を失っていた。


 「僕が守りたかったもの……それは…………今ここで、こうして生きているマオさん」


 その掠れた声は、重い空気が流れるように続く。


 「喜美所長はあなたの脳にかけられたプロテクトを解除したがってた。その為にはあなたをユーゼンという鳥籠から出して、様々な経験をさせることが必要になると予想したんです。そうしてこの実験は始まった。キーラボにはカイ所長と、以前は真央さんもいたことがあったので、実験にはうってつけの環境だと思ったんでしょう」


 アズマはマオを真剣な眼差しで見つめた。


 「でももし……それでもプロテクトの解除に失敗してしまったら、喜美所長はあなたを処理場へ送るつもりでした。僕は今度こそ、あなたを守りたかった。けどあなたは何も知らなくていい。何も知らないままあの時みたいに笑ってくれればそれで良い」


 「アズマさん……」


 彼にとってのこの言葉は、どれだけ重みのある言葉だったのか。


 真央の記憶が呼び起こされ、マオにはアズマの言葉の重みが痛いくらいに伝わった。


 「断る理由が思い浮かばなかったんです。実験の見届け役と、キーラボでの監視役。まさに天が味方をしてくれたのだとさえ思った。これでもう一度、あなたの側に居ることができる。あなたの側で、もう一度あの笑顔を守ることができるのだと。カイ所長や皆さんは気づいていませんでしたが、それが……僕がキーラボに来た理由です」


 マオを捉えるアズマの目は優しく緩む。


 「勿論、あなたは真央さんとは違う存在。頭ではそう分かっているのについ重なって見えてしまう。あなたには真央さんとは全く違った魅力もあるのに」


 「全く違った魅力……、私に?」


 マオの問いにかけに答えることなく、アズマはふっと笑みをこぼした。


 「でもヤヨイさんやカイ所長はその全く違う部分に違和感を覚えた。やがて本当の真央さんが死んだということにも薄々気が付いたんでしょう。そして真央さんの死には僕や、ユーゼンが関わっていることも」


 それを聞いたヤヨイが躊躇いがちに言う。


 「ユーゼンが関わっているのは知ってた。でもまさか、アズマくんまで関わっていたなんて……」


 「もしあなたとカイ所長がこのまま真相を探っていたら、いずれ僕に辿り着いたかもしれませんね」


 憂いを帯びた表情のアズマはその場にいる全員の注目を集め、まるで舞台上で独白するかのように告げるのだった。

 

いつも読んで頂きありがとうございます^ ^

どうしよう、切るに切れない展開が来てしまいました笑


なので2話セットで投稿します!!

引き続きお楽しみいただければ幸いです……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ