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第121話 グランド•フィナーレ

こんばんは。

遅くなり申し訳ありません!

また本日も投稿させていただきます^ ^


ボソッ)縦読みすると……?


 リポーターの言う現場とは、紛れもなく昨夜リョウイチのワゴン車をクリオネの動かすロボットが追いかけ回していた場所だ。


 カメラの視点が切り替わり、穴だらけになった道路がズームされる。そこに落ちていたのは新品さながらに状態の良いタブレット。


 テレビ画面はさらに切り替わる。これはおそらくそのタブレットに打ち込まれていたメッセージだろう。休憩室のテレビにはテロップで、ある奇妙な文章が表示された。



 あのロボットには秘密がある。

 なにも知らない人々は

 ただ権力者たちに踊らされているだけだ。

 へたに秘密を公表すれば

 のうみそがおかしいと思われ殺される。

 ちょうど良いタイミングを見計らって

 せけんに公表したかったのになぜみ

 んな気づかないんだ。全員この異常な

 状態にいい加減気づくべきだ

 


 「何でしょうこれ。こんなの昨日、落ちてましたっけ。いや、これはクリオネさんが残したもの?」


 「やっぱりマオちゃんもそう思う?」


 マオはこくりと頷く。


 「そうですね。私たちが去った後に置いたとしか考えられません」


 サンドイッチを食べ終えたヤヨイがじっとマオを見つめた。


 「ねぇ。ワタシ、前にもクリオネに依頼を頼んだことがあったって言ったでしょ。それはユーゼンの生天目(ナバタメ)がある人物と共同で行なっていた実験を追っていくうちに、辿り着いたのが彼だったからなの」


 「えっ、クリオネさんが? どうしてまた……」


 ヤヨイはコーヒーを一口飲んで続ける。


 「生天目の実験の内容を知ってる? 彼らは真央さんのトレースバースをより深く解析しようとしてたみたい。その為には生きた人間の脳みそを死者の肉体に移植する必要があると考えたそうよ。ならその死者の肉体って何処から運ばれて来たと思う?」


 「まさかっ……!」


 「そのまさか。クリオネが死体運びのルートに関わっていたの、ブローカーとして。酷い実験よね」


 「そんな……、そんなことがあったなんて」


 マオはヤヨイの話に驚き、手に持っていたサンドイッチを落としそうになってしまう。


 「だってブローカーってことは、死体を欲しがった生天目と死体を運んできた人物とをお金で繋げたのがクリオネさんってことでしょう!?」


 「ええ。でもクリオネは誰に頼まれたか、誰の指示で動いていたのかは絶対に言わなかった。彼が深く関わっていたのは生天目の方ではなく、死体を運んできた人物の方だというのは間違いないみたいなんだけどね」


 「ヤヨイさんはなぜその実験を調べていたんですか?」


 「んー……逆、かな。真央さんのことを知りたくて調べていたら実験のことまで知ることになった、っていう方が正しいのかも」


 何処から話そうかと迷う素振りを見せながら、ヤヨイは話を続けた。

 

 「いくらマオちゃんを真央さんだと言われてもワタシには信じられなかった。カイ所長がシンポジウムで出かけた日、所長室にはテロメアがいたの。テロメアを見て疑念が確信に変わったわ。カイ所長とテロメア、真央さんとマオちゃん。ひとりの人物から分かれた表と裏のようなこの関係性、とてもよく似ていた。じゃあ真央さんは何処? 一体、真央さんの身に何が起こったのか。ワタシはカイ所長に我儘を言って、ふたりと一緒に真実を調べようとしたのよ」


 カイ所長とテロメアが残した研究記録と、ヤヨイの話がマオの脳内で繋がってゆく。


 「でも調べれば調べただけ、どんどんワタシなんかが知ってはいけない真実が見えてきた。結局、真央さんの死の真相も生天目と共同で実験していた人物が誰だったのかも分からずじまい。ワタシはカイ所長にコピーしたデータチップを渡そうと外へ出たきり、そのまま捕まってしまったし」


 「コピーしたデータチップってあの引き出しに入ってたUSBを……?」


 「そう。喜美が料亭で、ナルヤ大臣と会話した内容が保存されているUSB。月城先生がくれたエヴァンディール計画の資料についてもカイ所長に報告しようとしたんだけどね。それが内通者だったアズマ君にバレちゃってたみたいで」


 「だからヤヨイさんは私たちに調査の続きを頼んだんですね」


 当然のことだ。ヤヨイとカイ所長。

 真相を調べていた人物がユーゼンに連れて行かれれば調査はそこで止まってしまい、エヴァンディール計画が実行に移されてしまう。


 ヤヨイは深くため息ついて言った。


 「でもまた振り出しに戻ってしまいそう。チップは生天目に踏み潰されてしまったみたいだし、引き出しに隠してたUSBはクリオネの手に渡った。きっと月城先生がくれた資料も、もう捨てられてしまったんでしょう?」


 少し考えた後、首を横に振ってマオが答える。


 「でもクリオネさんはあのUSBが切り札になるかもしれないとも言っていました。上手く使ってくれさえすれば、エヴァンディール計画も止められる。それに資料が無くても、計画についてイオリさんとクリオネさんが教えてくれました。大丈夫、必ずどこかに道はあるはずです!」


 ヤヨイを励ますように声をかけたマオ。


 これからクリオネがどう動くのかも分からない状況の中、根拠も何もない言葉ではあった。ヤヨイはマオを見て若干、伏し目がちになる。


 「本当にごめんね。こんなことに巻き込んでしまって……。でもクリオネのことは責めないであげて欲しいの。彼はちゃんとマオちゃん達にワタシの想いを引き継いだ。そしてここまで導いて、調べてくれていた。世界終末の計画なんて考えてるユーゼンを黙って見過ごしてたら、それこそ真央さんに叱られちゃう」


 ユーゼンでもキーラボでも真央という人物は変わらない。誰からもよく慕われており、ヤヨイにとってもそれだけ大きな存在だったということには違いないのだ。


 それにしても、ヤヨイはクリオネのことを信頼しすぎではないだろうか?


 「あの……、クリオネさんは間接的とは言え、最初はユーゼンの実験に協力していたんですよね。なのに途中からヤヨイさんに協力してくれたんですか?」


 「え? うん、そうなの」

 

 マオが訊ねると少し困ったように笑うヤヨイ。


 「本当かどうかは分からないけどクリオネは戦争孤児だったそうよ。だから今でも血が怖くて、兵器とか銃とかにはあまり良い思い出が無いみたい」


 「ならあの警備ロボットのプログラムをわざわざ書き換えたのはそれが原因……?」


 「ワタシはそうなんじゃないかと思うな」


 ヤヨイは休憩室の窓から外を見つめ、クリオネと初めて出会った時のことを思い出していた。

 



 「こんなこと間違ってる。どうしてあなたはユーゼンの、生天目の研究に手を貸そうとするの!?」


 2年前のあの夜。

 廃工場で見たあの光景が忘れられない。


 「どうしてって……生きる為だけど。これも一応、仕事だしね」


 クリオネは肩をすくめてそう言った。


 廃工場の前で止まったトラックに白衣の研究員たちが群がってくる。彼らはトラックの荷台に山ほど積まれた麻袋を次々と運び出していた。


 中に入っているものはきっと……。


 「お願い、彼らにはもう協力しないで。真央さんだってユーゼンがこんなことしてると知ったら絶対に悲しむはず。自分の研究のためなら何をしても許されるだなんて考え方、きっと誰も幸せになんかできない!」


 「マオサン? 誰それ」


 クリオネの問いに、ヤヨイは俯いて答える。


 「脳科学者の凄い先輩。ワタシはずっと真央さんに憧れてた。あの人はいつもみんなを喜ばせようって、多くの人を幸せにしたいって、ずっと自分を顧みず研究してきた人だった。もしワタシがここで何も見なかったことにして帰ってしまったら、二度と真央さんに近づくことなんて許されない。そんな気がするから」


 「へぇ、それが本当ならすごい。この世にそんな聖人君子みたいな素晴らしい人がいるのなら、ぜひ会ってみたいね」


 ヤヨイを一瞥し、クリオネは鼻で笑った。

 ヤヨイはそんなクリオネを見てキッパリと答える。


 「真央さんはもうこの世にはいない。ワタシはどうして真央さんが死ななければならなかったのか、それを知りたくてここまで来たんだから!」


 「そんなもの知ってどうするの、キミがこの実験を止めようってワケ?」


 「分かってる。何か裏で大きな力が動いているんでしょう。もしそれがみんなを不幸にすることだったとしたら……そんな実験は絶対に止めなきゃいけないの!」


 「止めなきゃいけない、か」


 何か思いついたようにクリオネはクスリと笑った。


 「いいねっ、それ。面白そうだ。ならオレももう、こんな仕事は辞めにするよ。なんならそっちに協力したっていい」


 「えっ……?」


 予想外の言葉にヤヨイが驚いて固まる。


 「そんなに驚くこと? だってキミが言ったんだ。彼らには協力するなって」


 「そうは言ったけど……」


 これには何か裏があるのではないか。


 疑うヤヨイをクリオネは見抜いていた。

 見抜いていたからこそだったのか――――。


 あの時、彼は優しい声で確かにこう言ったのだ。


 「実はさ、オレの両親ももうこの世にはいない。隣国の戦争に巻き込まれて亡くなったんだ。血生臭い荒んだ街の路地裏で、飢えと寒さで震えていた時にオレの師匠……センセイに拾ってもらったのさ。そっくりなんだよ、キミはそのセンセイに」


 どうしてかは分からない。


 ただその言葉を聞いてしまった時から、ヤヨイは何となく彼を憎む気にはなれなかった。



いつも読んでいただきありがとうございますっ(´;Д;`)

ここまでがクリオネさんに頑張って頂いたお話でした。


厄介なことに話の大筋に絡んでいて、色々な人を振りまわす奴です。

何を知っていて何を知らないのかはもう分かりません笑


でも自分が振り向かせたい師匠とヤヨイさんが似ているのならクリオネがこれからどう動くのか見えてくるのかも……。


そんな彼が叩きつけた挑戦状は完結した後に続きが書きたくなったら書いていきたいと思います笑


まずはこっちの続きを進めねばっ!!

以上グランドフィナーレでした(´ω`)







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