第119話 あの頃の伝説よ、再び……。
こんな時間にまた投稿失礼します!
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ハッポウ……はっぽう、発砲!?
マオは車内から後ろを振り返り、叫んだ。
「クリオネさん、聞こえてるんでしょう? 街中でそんなことをしたらっ!」
ガシャン。
何かが外れたような音がして、四角い鉄の塊がワゴン車目掛けて飛んでくる。
「危ねえっ!」
アクセル全開、リョウイチが加速してロボットと距離を取った。
「きゃあぁぁぁぁ!」
ヤヨイの悲鳴が聞こえた瞬間、ビリビリと身体中に響き渡る地鳴り、地面が……振動している。
ワゴン車がコンマ数秒前に通過したばかりの道路には大きな物がめり込み潰されたのであろうヒビが走っていた。
車がかなり揺れマオは舌を噛みそうになったが車内にいる全員、潰されてはいないし車にも傷ひとつ付いていない。
「間一髪っ! ふぅ、周りに車が居なくて助かったぜ」
リョウイチは息を深くつき、バックミラーを睨む。
「何が飛んできたのか知らねぇが、昼間からこんなことされてちゃ死人が出てたな、こりゃ」
全くだ。ここは昼間だと人通りの多い場所なのに。
マオは再び振り返って鎮圧型警備ロボットの胸部を見た。
商品開発室から出てきた警備ロボットは確保用のネットを胸部から出していたはず。しかしこのロボットの胸部から伸びていたのは、まるでハンマーのような鈍器。
飛んできたと思った鉄の塊の正体はこれだったようだ。発砲……こそはされていないが、こんなもの当たったらひとたまりもない。
『勘違いしないで。人殺しは趣味じゃない、血が怖いからね。そもそもこのロボットにだって人殺しの道具は搭載されていた。オレが元のプログラムを弄ってなきゃ、出てきたのは本物の弾丸さ』
ロボットを介して、クリオネはため息混じりに言葉を紡いだ。
『人はどれだけ素晴らしいものを作っても人を救うことには目を向けない。それよりも傷つけることばかり考える。ほんと、罪な生き物だよ』
「それお前が言えたことか!」
ユキトはうんざりした様子でロボットを睨みつける。
『えぇ〜、キミたちはこの程度で傷つかないでしょ。オレはそこにいるオジサンと遊びたいの! こんなただの鉄屑、オジサンなら簡単に避けられるんじゃない?』
オジサン。身体は若いながらまだその自覚があるようで、リョウイチはハッとしたように呟く。
「そうか……。おれがバイトの話を持ち掛けられたのはそういうことだったのか!」
どうやらリョウイチの心には何かしらの熱い炎が灯ったようだった。
「よし、どんと来やがれっ! 見せてやる。若い頃、文無しカースタントマンと呼ばれていたおれのドライビングテクを!!」
『あはははっ! どこまでやれるのか楽しみだな』
「ちょっと、煽ってどうするのよ! というより文無しカースタントマンって何っ!?」
リョウイチがヤヨイの突っ込みに答える暇すら与えず、ロボットはハンマーを振り上げた。
「行くぞっ!」
「ムリムリムリ、酔うっ!!」
ワゴン車が大きく左右に振られる。
リョウイチはぐるぐるとハンドルを回して振り下ろされるハンマーを上手にかわしていった。
車内にいるマオ、ユキト、アズマ……。
彼らは皆、ポカンと口を開けて呆けた顔をしている。ヤヨイに至っては少女を抱きかかえたまま、青い顔で目を回している始末だ。
その一方で鎮圧型警備ロボットはなかなかワゴン車を捕えることができず、道路に次々と穴やヒビを作っていった。
「驚いたな……、あんた本当にスタントマンやってたのか!」
ユキトが訊ね、リョウイチが答える代わりにブルルルンと唸ったワゴン車から白煙が上がる。
「へへっ、バイトだよ。昔から日銭だけは稼ぐのが上手いんだ。でも……変だ」
「変なのはあなたの方でしょう!」
とうとうこの状況に耐えられなくなったアズマが口を開いた。
「いいや、何というか……あのロボット、おれの動きを分かっててわざと狙いを外してる気がするんだよなぁ。自動で動いてるにしちゃ出来すぎてる。誰か試しに動かしてんだろう。それであのにいちゃん、おれが元カースタントマンだと知ってこんなバイトに誘ったのか。絶対そうだな。そうだ、きっと」
リョウイチは自分にバイトの話を持ち掛けた男と、今このロボットを動かしている男が同一人物だということに気がついていないらしい。
「確かにあの人なら分かってたかもね。あの人、処理場から出てきた時に言ってたし。自分には嘘をつくことしかできないって。実はあれ、今盗聴か監視されてるぞっていう合図なの! 前回依頼した時も似たようなことがあったから。今回も同じ方法で教えてくれたみたい」
「あぁ、それで……!」
ヤヨイの説明にマオは違和感が残っていたやり取りを思い出す。
『オレには嘘をつくことしかできない』
この言葉を聞いたヤヨイは目線だけを上に向け、それがあなただと言った。おそらく監視カメラを探していたのだろう。
あれはそういう意味だったらしい。
「なら俺も耳元で言われたぞ。監視カメラがあると。あいつ、俺に近づく程度の動きなら映像や音声をすり替えるのに支障が出ないと判断したらしいな。あれは極力、余計な動きや音を増やさないようにして俺にカメラの存在を伝えたかった……ってことなのか?」
「そうだと思う。そして警備ロボットにあのGPSの位置情報を登録したのも、ワタシやマオちゃんなら自分が渡したGPSのことを思い出すだろうと、気がついて対処するだろうと考えてたからなのかも!」
ユキトとヤヨイの仮説にアズマが顔を顰める。
「つまり、どう動いたとしてもあの情報屋は僕たちを逃そうとしている……ということですか? 確かに警備ロボットは商品開発部で作られました。サカキ部長は当時は商品開発部の営業、あれを警視庁に提案したのも彼です。おかげでユーゼンと警視庁には繋がりができた。情報屋の言う通り商品開発部と警備ロボットはサカキ部長と関係があったのも事実ですが……」
アズマがそこまで話すと、マオは何かに気がついたように後ろを振り返る。
「まさかクリオネさんには何か目的があって……だから私達や警視庁、ユーゼン、警備ロボットまでも利用して動いているんじゃないでしょうか!?」
「はっ、奴はただ人を巻き込んで遊んでるだけろう!」
「いいえ。例えば……そう、大きな騒ぎを起こしたかったとか。街やユーゼン、ユキトさんのバイクまで壊して、何もしてない一般車を警視庁の警備ロボットが追いかけてる。そんなのって大ニュースになりませんか?」
「なら仮にそうだとしても目的はなんだ」
「それはっ……」
クリオネが大きな騒ぎを起こす理由。
ユキトに聞かれたところでマオには分からない。そんなもの、本人しか知り得ないことだ。
『ふふっ。大した理由なんて無いかもしれないのによくそんなこと考えられるよね。でも人のこと考えてる場合?』
「やべぇ、完全に囲まれちまった!!」
焦った声を出すリョウイチ。
ワゴン車が少しずつ失速してゆく。4体の鎮圧型警備ロボットはワゴン車の前後左右にピッタリと距離を詰めてきて、ワゴン車の逃げ場が何処にも無くなっていた。
いつも読んで頂きありがとうございます!
ブックマークも大変感謝です。・゜・(ノД`)・゜・。
クリオネが落ち着くところまで書こうと思ってたら9700字になってしまったので分けて投稿することにしました笑
121話、グランド•フィナーレまで毎日投稿できたらいいなと思ってます!!
(フィナーレと言いつつまだ終わらないwwww)
現在リョウイチも暴走中(´Д` )
また明日も暇な時に覗きに来て頂けると嬉しいです……。
ではおやすみなさい!!




